先日、偶然にも同業の業者さんから2本の同じ内容の電話がありました。その内容とは、『1棟ものの賃貸の売り物件は無いですか? 当社が買取しますので何か情報がありましたらご連絡ください』とのお話でした。

 既に、購入を希望されているお客様はストックされているとのこと。このような賃貸物件の購入を希望されている方はさまざまであるとのことでした。資産家はもちろん、一般の会社員や公務員、そして中国の人等々…。

 資産家のかたは資産を増やしていくために、一般の会社員や公務員のかたは老後の年金に不安が残るため老後の収入が欲しい。中国の方は現在の中国国内の情勢に不安を感じ資産を海外に分散させたい。

 購入物件の条件は、昭和56年以降に建った新耐震基準の建物であることです。古い建物はリノベーションをし、キャッシュバリューを上げて売りに出すそうです。

 買いたい人の状況で、その求める物件は当然に様々です。年間、200~300万円の手取りキャッシュを求めるのか、1000万円を超えるキャッシュを求めるのか、はたまたインカムよりキャピタル狙いでキャッシュより立地や新しい建物を狙うのか等々… いずれにしても、収入額とキャッシュフロー、資産価値と自分の資産規模との兼ね合いで決めていくこととなるのでしょう。

 ファンドバブルのころも新耐震基準の中古の賃貸物件等の引き合いが多かったものです。信託受益権化するために買取のまえに「デューデリジェンス」と呼ばれる調査があり、建築や土地のプロがその建物や土地の隅々まで調べ上げていきした。本当に細かい調査でした。

 非難表示灯の電灯切れまでチェックされその内容には辟易されました。そこで指摘を受けた不備事項は改修しなければなりません。無許可の看板は一端外し許可を取ってからつけ直す、事務所から飲食店舗への用途変更の手続が未了であれば取得する、法令遵守が絶対でした。

 ここまでの対応をして、築30年近い物件でもファンドは買い漁りSPCを造って運用していたのでしょう。中古の賃貸物件の場合、あと何年貸せるのかが気になりますし、買取後にぎりぎりまで賃貸収入を上げていたとして最後に、いくらで売れるのかが気になったりします。資産価値の調査にはかなりの時間と労力を費やしていました。その個人版ともいうべき現象でしょうか。

 先日の2本の電話は個人が投資として不動産を見始めてきたような感じを受けました。あくまで、インカムゲイン…つまりは毎月、毎年の賃貸収支が何%の利回りで現金が残るかが重要なポイントのようです。

 気になるのは、出口戦略です。その不動産を所持し続けるのか、中途で売却するのか。ここで売ったらいくらで売れるかのキャピタルゲインをどのように考えるかでしょう。投資した金額に対して、何年の内にその元手の回収は出来るのか。将来、建て替えた場合の収支状況の予想は…建て替えで成り立つのか…等々利回り何%の情報のほか、元手回収予想〇〇年、支払利息負担予想額〇〇円、等の情報も出して欲しいなと感じています。

 話を聞く限りではきちんと購入者の考えや状況を把握したうえで売却物件のお奨めはしているような感じでした。時には、老後の年金や社会保障までもその提案要素として盛り込まなければならないかもしれません。これからの投資不動産の売買は、総合的なコンサルティングが必要となってくるでしょう。また、購入を考える方も総合的にメリット・デメリットを考えて判断すべきでしょう。

 くれぐれも、見掛けの収入のみならず、20年後、30年後の不動産の姿を思い描きながら検討してみたらいかがでしょうか。(執筆者:荒木 達也)

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