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自動車保険 「等級別料率改定」の3つのポイント 使う時は慎重に

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自動車保険 「等級別料率改定」の3つのポイント 使う時は慎重に

 読者の中で自動車ユーザーであれば、すでに周知のことと思われるが、自動車保険の等級別料率が、平成24年10月より改定がされた。ただ、損害保険会社により、改定の実施開始時期はまちまちであり、大手損保が平成24年10月1日に改定を行った一方、通販系損保と言われるインターネット経由での販売が主力の損保会社の多くは平成25年4月1日もしくはそれ以降に改定を行っている。 

 そもそも、自動車保険の保険料は、自動車の用途(業務や通勤で使用するのか、レジャー使用のみか)や車種別のリスクに応じて定め保険料に、個々の契約のリスク実態に応じた各種係数(割増もしくは割引率)を乗じて計算される。いわゆるノンフリート等級係数は各種係数の一つであり、自動車一台ごとに前年契約の等級と、事故の有無・件数に応じて決定され、1等級から20等級に区分されている。

 つまり、等級のアップ・ダウンにより、無事故の契約者と事故有りの契約者の保険料における割増引率に差を付ける仕組みが自動車保険の等級別料率制度であるのだが、今回の制度改定では、留意すべき制度がいくつか導入された。

 以下に、改定のポイントを3つにまとめる。

●等級係数が、「無事故係数」と「事故有係数」に細分化された(詳細は、SBI損保提供のウェブページを参照)

●等級据置事故が廃止され、1等級ダウン事故が新設された

●事故有係数適用期間が新設された

 改定前であれば、前年に事故が有る契約者でも、事故が無い契約者でも、同じノンフリート等級係が適用されたが、改定後は無事故係数と事故有係数に細分化されることにより、同じ等級でも割引係数に差が出る仕組みとなったわけだ。

 また、飛び石やいたずらによる自動車の破損や損傷の修理のため、車両保険を使用し保険料を受け取ると、改定前では、翌年の等級は据え置かれたが、改定後は、「1等級ダウン事故」として扱われ翌年の等級が1等級下がるとともに、事故有係数が適用される

 さらには、事故有係数が新設されたことにより、その適用期間が定められた。事故が発生し、保険金の支払いを受けた場合、翌年から「事故有係数」が適用された上で、3等級ダウン事故1件につき3年間、1等級ダウン事故1件につき1年間適用される。

 つまり、一度、3等級ダウン事故を起こして保険料支払いを受けた場合、翌年以降3年間は、割引率が低く「無事故係数」より不利な「事故有等級」の適用を受けることになった。

 今回の等級別料率制度改定の趣旨を簡単に言い表すと、「事故を起こした(今後も事故を起こす可能性が高いと考えられる)契約者への保険料負担が、従来以上に重くなる制度に改定された」といってよいだろう。

 すなわち、自動車ユーザーにとって、事故が発生した場合、保険利用をすべきかどうかの選択がより重要になったというべきか。等級ダウンに加え、事故有係数が適用されると、同じ等級でも最大で22%程度割引率が変わるため、事故が発生した翌年以降の保険料負担がこれまでと比べ大きくなるからだ。今後は、事故の損害に対して保険を使わない方が有利となるケースが増えるだろう。

 かくいう筆者も自動車ユーザーの一人であり、今回の料率改定を機会に、自動車保険の補償内容を見直すことにした。車両保険の免責金額の設定もしくは、免責額を増やすことで、保険料をある程度抑えることが可能になったが、そのための判断には、修理代がいくらまでなら、保険を使わないことが有利かを試算することが大切である。

 自動車ユーザーにとっては、自動車の維持費・保有コストについて、今まで以上に真剣に考えなければならない時代になったことは確かだろう。(執筆者:完山 芳男)

【外部参照】
自動車保険の改定について(SBI損保)

《完山 芳男》
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完山 芳男

完山 芳男

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表 米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。 寄稿者にメッセージを送る

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