最近やっと日本経済も上向き始め、日本人の懐も暖かくなってきた頃だと思います。以前は外食で牛丼ばかり食べていた人も、「今日は居酒屋で食事」などという変化も身近ではあるのではないでしょうか。「プチ贅沢」などというワードも、巷でよく耳にするようになり国民の幸福度が上がってきているような気がします。

 そんな懐に余裕が出てきた最近の日本人の、普段の食事はどうなっているのでしょうか。今回は、日本人の食事にフォーカスしたいと思います。

食産業の市場規模

 食産業のカテゴリー分類は、外食・中食・内食の3つに分類されます。外食は、その名のとおり外で食事をする意味で、主に飲食店での食事を意味します。次に、中食はスーパーの総菜やお弁当など、外部で調理・加工した食事を意味します。最後に、内食は自炊を意味し、自宅で調理した食事になります。

 これらのカテゴリーは、消費者の目的や経済状況などによって市場規模は変化し、家計の食に対する意識のパロメーターとも捉えられます。

 それでは各カテゴリーの市場規模になりますが、外食市場規模が約24兆円を下回る程度、中食が約6兆円、内食が約36兆円となっております。この3つのカテゴリーを、ここ10年間で比較してみると、外食・内食は市場が縮小傾向にありましたが、中食だけが著しい成長を遂げております。

なぜ中食だけの一人勝ちなのか?

 前述しました3つの食産業で、中食だけが一人勝ちした理由ですが、「時代の変化」と言う追い風と「自宅で気軽に食べれるという」利点があったので、急成長を遂げたのです。

 まず時代の変化と言うのは、女性の社会進出・少子高齢化・デフレ経済などが挙げられます。これらは、夫婦共稼ぎで忙しく、デフレ経済のため収入も低い家庭が多く、時間もお金も無いというのが特徴になります。

 このモデルに当てはまるのは、外食ではお金がかかってしまうので敬遠されがちであり、内食では調理するのに手間がかかるので敬遠されてしまいます。中食だと、手軽で価格も手ごろなために、働いている女性や高齢者などから人気を博しました。

 また外食産業などは、オーバーストア問題(狭い商圏に多数の店が出店していること)と、食中毒問題の影響を受けやすく、ウィルス性の食中毒やBSE問題などが発生すると、風評被害が水平的に広がってゆき、無関係で衛生面がしっかり管理されている飲食店でも大きなダメージを受けてしまいます。

 次に「自宅で気軽に食べれる」という点は、最も今現在求められていることだと思います。現代の世の人は、とにかく時間がありません。ブラック企業問題による長時間労働や、趣味の深さ、あとは技術が進歩して便利になりましたが、逆に求められる量が増加したため時間がありません。

 中食はコンビニエンス性や、クォリティーの高さ、食品加工技術の著しい発達などによって、良い商品が世に生まれていき消費者から高い支持を得てきたのです。中食業界は、円高不況時代にすでに消費者に浸透しており、今後も外食や内食業界からシェアを奪取しさらなる市場拡大が見込まれております。

 しかしこれらの結果を踏まえて感じることは、今ではゆっくり食事し家族との団欒を楽しむという機会はとても貴重な時代になりました。20年ほど前までは、内食はどこの家庭でも当たり前な時代でしたが、現代は総菜で手早く食事を済ますというのが定番かもしれません。ビジネスも家庭でも「利便」に勝るものはないのでしょうか。(執筆者:伊藤 稔)