いよいよ消費税が上がり、支出に厳しくなる一方で、少しでも有利に資産運用したいものです。だからといって、むやみにリスク資産に投資するのは危険です。資産運用を考える時、3つの事を考慮すると言われます。それは、「安全性・収益性・流動性(換金性)」です。

 「ハイリスク・ハイリターン」の言葉があるように収益性と安全性は相反しています。ただし私は流動性も安全性と相反していると考えます。たとえば株式、上場株式であれば適正な規模で市場が開放されているため、いつでも換金することは可能です。ですが、もし市場の相場が、自分が購入した価格以下に下がった時、損を覚悟で換金するでしょうか?

 5年後・10年後の学費のための費用を株式で運用し、必要な時期に市場が「投資に見合う相場である」保証は何もないのです。相場が不利な条件の時は換金しなくても済むように、投資資金の背後には、十分な預貯金が必要なのです。ですから支出の決まっているものは、預貯金などの安全資産で運用する事をメインに考えた方がいいでしょう。

 そう考えると、なかなか投資に回せるお金はありません。「失っても他で何とかカバーできる金額」を毎月5千円なり1万円なり捻出するのも大変です。千円しか捻出できない人は、「るいとう」や「積立投信」の購入単位で、投資する手段すら限られてしまいます。

 そこで注目したいのが、標準偏差です。標準偏差とはリスクを測る尺度の一つで、「平均からどれくらい離れているか」のブレ幅を表す数値です。

 例えば、期待収益率が5%で標準偏差が20%と言ったときは、「平均すると5%の儲けだけど68.27%の確率で25%(5%+20%)の儲けから15%(5%-20%)の損失の間のどこかになる」と言う意味です。そして標準偏差を2倍にすると、その範囲に収まる確率は95.44%になります。

 ほぼ確実に損をすると思っているものに投資する人はいないので、最低の予想値である期待収益率ゼロの時、95.44%の確率で、最大損失40%になるという事です。

 つまり投資してもいいお金、千円÷40%の2千5百円がリスク資産に回せる金額となります。1万円なら2万5千円です。ちなみにこの標準偏差20%という数字、投資信託のサイトの日経平均インデックスファンドの標準偏差の数字です。ですからこのケースでは日経平均株価が投資対象となります。

 期待収益率に関しては、過去の数字を使うことに否定的な意見が多い中、標準偏差に関しては「過去の平均を使ってもいい」という研究者は多いようです。そして、過去の平均で導き出した標準偏差は、確定拠出年金のサイトや投資信託のサイトで調べられます。

 投資はあくまで預貯金・手持ち資産、保険の加入状況、家計収支など総合的なバランスで判断するものです。余裕資金は自分と家計を見つめなおした結果導き出されるものです。また、標準偏差は100%の範囲で収まるわけではないのです。決して短絡的に「余裕資金÷標準偏差の2倍」を絶対的な投資可能な資金と考ず、納得したうえで自己責任でご活用ください。(執筆者:田島 稔之)