なぜいま中国株なのか 上海で訪問した急成長中の企業

 常日頃、中国株についての情報を発信しております。なぜいま中国株なのか、との声が聞こえそうですが、投資家にとって日本株も香港株もアメリカ株も区別することなく、チャンス(リターン)さえあれば、それを捉えることが投資する目的なのではないでしょうか。利益を手にした後、それを何のために使うかはまた別次元の話で、本稿では触れないことにします。

中国の金融機関事情

 2月に投資家の方と一緒に、上海を訪れました。不動産を売却したり、その売却益を海外に送金したり、長年使っていなかった銀行口座の解凍手続きをしたりした後、プロパティローンと小額貸付を手掛ける香港市場に上場する会社を訪ねました。

 中国の金融機関はと言いますと、中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国交通銀行の5大国有銀行として有名ですが、国有がための独占で、利差やサービス料などで毎年高い利益を手にしています。

 3月31日まで、2013年の本決算が出揃った銀行の業績を見てみますと、上記五大国有商業銀行の純利益は全上場銀行16行の純利益1兆3800億元の内、何と62.5%を占めることがわかります。

 銀行の普通預金の金利は0.35%で、一年もの定期預金の金利は3.25%に対して、貸出金利は最低でも6%はあるというので、銀行は暴利の業界だと言われます。にもかかわらず、国有企業や地方政府以外では、中小企業は銀行からお金を借りることは至難の業です。

 そこで生まれたのは小額貸付の会社です。2004年から以降、規制緩和で小額貸付業が急速に伸び、2013年末までには、全国で7839社が開業し、貸付残高は前年比で2268億元増の8191億元に上り、銀行の補完という位置づけを固めています。

急成長する小額貸付の会社

 上海で訪問したのはその内の一社で、訪問当日の同社の株価はちょうど1香港ドルでした。時期として、同社は業務の中心をプロパティローンから小額ローンやインターネット決済ができる第三者支払へとモデル転換の最中でした。その期待感からもあって、同社の株価はうなぎ上りの勢いで上昇し、一ヶ月も経たないうちに、130%高の2.3香港ドルまで急騰したのです。

 どうせ、消費者ローンだろうからと同行の方は日本での同業界のイメージが拭い切れないらしく、あまり関心を示されなかったのですが、一ヶ月で株価が倍以上も上がっていることについて、成長セクターでこういうことがあるんだと早速中国株の口座を作りたいと仰いました。


(画像は2月に上海で訪問した小額貸付から第三者支払へ転身する会社の一年チャートです。出典:「AASTOCKS」)

政府が育成する産業に注目

 工業化を目指している中国ですが、社会体制の違いで、日本が辿ってきたその道を完全に踏襲するわけにはいきません。しかしたどり着くその先はマイカーやマイホームなどという夢であることに変わりはありませんので、そのプロセスでは、投資家にとって非常に魅力のチャンスがあると考えます。

 しかし、中国も10数年の高度成長を経験してきましたので、一部に生産過剰など斜陽産業が出ているのも事実で、政府が育成する産業――環境や省エネ、医療などのほか、インターネット関連――Eコマースやオンライン決済、モバイルゲーム、第三者支払などネットビジネスやエンターテインメントなど今旬の業界、業種にスポットを当てて研究してほしいと考えます。(執筆者:徐 学林)

この記事を書いた人

徐 学林 徐 学林()»筆者の記事一覧 (7) http://keika-corp.co.jp/

株式会社京華創業 代表取締役
1983年北京外国語大学日本語科卒。同年北京放送に入社、放送記者を経て1991年名古屋市立大学大学院経済学研究科入学、1994年同修了。中国株投資情報紙発行の(株)日本事業通信網を経て、2001年5月、「金儲けの神様」とされる邱永漢氏と出会い、同6月(株)邱永漢事務所に秘書として入社。以来、10数年間、氏と共に中国・香港市場に上場される企業を視察する「中国投資考察団」を70数回マネジメントし、日本人投資家を引率して世界20か国、100社以上の企業や役所などを訪問、中国企業との人脈や経済、金融、株式など専門用語にも精通する。視察のメンバーに中国株投資で億万長者が続出する。
2012年9月独立し、「京華中国投資視察団」として現在も継続中。
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