最近になって、各業種の方が来年からの相続増税に向けて、お客様に有効なアドバイスができるようにならなければと、ひしひしと感じているのが窺えます。

 ある相続のセミナーで講師の先生がおしゃっていました。相続の対策というのは、究極、不動産に関わる税金を知ること、不動産がいくらで売れるかをおさえること、とおしゃっていました。元都市銀行の行員の方で、相続対策に使える節税商品なども開発してこられたそうです。

後悔のない相続を

 相続対策と言えば、(1) 遺産分割、(2) 納税の準備、(3) 節税対策、といわれています。

 遺産分割や納税のことを考えないで、節税対策として土地活用等を進めていくと、結果、円滑な分割が出来ない、納税ができる金融資産がない。結果、虎の子の不動産を売却するといったことが起こらないともいえません

 本当は、虎の子の不動産を売却しなくても、そのほかの不動産を売却すれば、とりあえず凌げたのにといった場合でも不動産業者さんが、「こっちの条件のおちる不動産を売却すれば何とか凌げそうですね」といってくれればいいですが。当然に、条件のいい土地の売却をすすめたいというのが、本音でしょう。

 もっとも、その判断が出来るほどの情報をお客様からいただけないというのが、現実のところとなってきますが。

不動産に関する税金

 まずは、所得税関係。代表的なものは、不動産を売却した時の譲渡所得、土地や建物であれば、分離課税となります。相続に絡む場合は、ほとんどが長期になるでしょうから、取得費や必要経費控除後に、住民税等を含めて約20%の税金が課されます。

 相続税を払うために相続財産である不動産を売却した場合には、相続税のうち一定額を譲渡所得の取得費に加算されることとなりますので、相続後に売却した方が納税資金の準備としては効率のよいものとなりますが、問題は不動産の売却はいつ売れるか、いくらで売れるかの具体的な予想が困難なことでしょう。

 相続後の売却で、申告期限10カ月に決済が間に合わないといった時に、税務署に事情を説明して、とりあえず延納の申請をして切り抜けたことがあります。最終的に、土地の決済が終了した段階で延納分の相続税を利子と一緒に納めて完了しました。

 他には、不動産を賃貸に供してれば、不動産所得が生じてきます。不動産所得や将来の相続の対策のために、不動産管理法人をつくって、家族を社員として所得分散をして、給与所得控除の恩恵をうけながら、超過累進税率の税率も下げていくという節税方法もよく取られています。

 不動産管理法人を設立するほどでなければ、賃貸物件の建物のみを子どもに売却か贈与をして、所得分散をするといった方法も取られています。テーマは所得分散と、法人をつくる場合は、給与所得控除の活用というところでしょう。

 また、不動産所得にからむ消費税の対策も考えられるでしょう。消費税のかかる駐車場や事業貸家の売り上げを家族の中で分散化させることで、1000万円を下回させれば、消費税の納税は回避できることとなります。

 もっとも、駐車場の所得分散は土地の譲渡や贈与が前提となってきますので、事業用の倉庫や事務所といった貸家の譲渡や贈与となるでしょう。

 他には、固定資産税等々ただの更地で稼がない遊休土地をどうするか? 土地の活用が難しい立地、周辺に住宅もお店もなく、とにかく、寂しいといった場合、太陽光発電の可能性があるかもしれません。そういった可能性がなければ、納税用に売れるときに売ってしまった方がいいかもしれません。固定資産税を、ただ払い続けるだけならば、その選択はありえるでしょう。

税法上の特例を存分に活用しよう

 そして、相続税、土地の多くを所有していれば、路線価という評価額(若しくは固定資産税評価額の一定の倍率)を、もとに課税されることとなります。相続税での不動産の注意点は、何といっても、税法上の特例の規定を意識することでしょう。

小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例
・広大地の評価
・農地の納税猶予
・さらに会社経営をされている場合、非上場株式等の納税猶予
・不整形地評価と利用区分
・貸家建築による評価減

 等々、相続税法には、適正に評価を下げられる計算方法が定められています。まずは、こういった特例を余すことなく利用することが重要です。以上が、大まかな不動産に関連する税金といったところでしょうか。

 そして、不動産の価値を知ること。それぞれの不動産が、いま、いくらで売れるかを知っておく。これが、分からないと、そもそも、考えようも無いといったことになってきます。税金によるお金の持ち出しと売ればいくらお金が入るといったことを、先ずは、知っておく。そのうえで、色々な考えが浮かんでくるものでしょう。

 まずは、不動産調査、棚卸をして全ての不動産をまず観てみる、税金を調べる、売却価格を調べてみる(自ずと建築基準法等の制限も調べられることとなります)といったことを、始めてみたらいかがでしょうか。(執筆者:荒木 達也)