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資産防衛としての「場所の分散」と「通貨の分散」

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資産防衛としての「場所の分散」と「通貨の分散」

資産防衛の具体的措置 その1「場所の分散」

 自分の与り知らないところで発生する、資産を脅かす危機。それはほとんどの場合、国家単位で起こるものである。ということは、そのリスクを逃れるまたは大幅に軽減するためには、資産を一カ国に集中している状態を解消し、その一部を別の国に移動しておけばよい。

 例えば、海外へ赴き、銀行口座を開設してそこに自分の資産の半分を預金する。そうすることで、そのどちらかに危機が訪れても悪影響を受けるのは半分に留められる。もう一カ国訪れて三カ所に銀行口座(資産の置き場所)を作って、三分の一ずつ振り分ける。どこか一カ国に何かあった場合でも危険に晒されるのは三分の一となる。仮にそのうちの二カ国に危機が到来しても三分の一が残ることになり、すべての資産を失うことは避けられる。

 自分のお金が大きく減るような金融的な危機はどの国家にでも潜在的に起こりうる。突然に、強大な力を持って。そのリスクを避けるためには、自分の資産を複数の国家に分けて保有する、「場所の分散」が必須となってくるのだ。

資産防衛の具体的措置 その2「通貨の分散」

 「場所の分散」により、複数国家・地域に資産を分散保有し、国家単位で起こる金融危機や財政破綻による悪影響のリスクを縮小する。だが、それだけでは資産防衛のために充分な措置とは言えない。

 世界に二カ所、三カ所と資産の置き場所を増やしたとして、例えばそれをすべて日本円で保有していたとしたら、それはまだ「為替の変動リスク」に晒されているからだ。米ドルと日本円の為替レートを見てもわかるように、2000年以降でも1ドル=134円~76円の範囲で激しく変動している。変動幅は実に70%以上。

 例えば、アメリカで3ドルのスターバックスのカフェラテが、あるときは400円、あるときは220円程度の値段となり、アメリカの株式取引で20%の利益を得たとしても、ドルが30%下がれば日本円換算では損をしていることになる。

 せっかく資産を日本の一極集中から解き放って、「場所の分散」を実行したにも関わらず、この激しい為替変動にさらされているのでは資産防衛策はおぼつかない。この為替変動リスクを回避するには複数通貨を並行して保有する必要がある。

 例えば2000年の時点で資産を日本円50%、米ドル50%で保有していたとすれば、資産全体の為替の変動幅は半分の30数%に留まる。これにユーロやポンドなどの主要通貨、国際決済通貨ではないが存在感の増している人民元、豪ドルやスイスフランのように規模は小さくても強い通貨なども加えると、ある通貨の為替が下がっても、別の通貨の為替が相対的に上がることになり、資産全体の価値の変動がほとんど解消される。

 これが、「通貨の分散」による資産防衛の手法である。(執筆者:玉利 将彦)

《玉利 将彦》
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玉利 将彦

玉利 将彦

Borderless Works Co.,Ltd. 代表 日本企業の海外駐在員として9年にわたる上海・香港勤務を経て2005年から現職。駐在員時代から17年に及び上海・香港を拠点におこなってきた金融や不動産投資の知識・経験を生かし、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)として活動。 香港における投資助言業(SFC)と保険代理業(PIBA)の免許を保有するエキスパートとして顧客のライフプランに即した投資計画の立案、資産運用商品・保険の仲介、海外金融機関の口座開設・運営のサポートをおこなっている。 寄稿者にメッセージを送る

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