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”宅建士”の誕生で不動産取引はどうかわるのか?

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”宅建士”の誕生で不動産取引はどうかわるのか?

 「宅地建物取引業法の改正案」が衆議院を可決し、今月には参議院でも可決され、今国会の成立し来年の春には「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」と変わることになりそうです。

 改正の内容は名称変更と欠格事項に暴排規定を入れるようですが、そのほか試験内容や業務内容については今回は変更がないようであります。昨年にこのニュースを知った時は正直うわさ程度で、実現はもっと先なのかな~と思っていましたがあれよあれよという間に実現化してしまいました。

 正直、名称変更の社会的ニーズがそれほど高いとは思えないのですが法改正を実現できる宅建業さんの”力”はすごいものがあります。中古住宅の社会的ニーズが高まっており、取引の安全性や透明性を確保するうえで、より”士業”として消費者のためになるような業務を行うためというのが名称改正の理念としてあるのはよく分かりますが、それを担保する制度の変更がないなら、「単に名前が変わっただけじゃん」といわれていもしょうがないような…。

 もちろん現段階の変更内容なので、今後はいろいろ名称改正に合わせて制度が変わると思います。おそらく既存の業務を変えるのは反対する方も多いと思うので、まずは試験制度を着手しその取得を難しくさせることが予想されます。

 お隣業務の不動産鑑定士としては、士業が増えて、ますますみなさまには違いが分かりませんが、個人的には不動産関連の話題が少しでも出ればうれしいです。

 ところで不動産という観点では、近年は単純に物的な土地と建物を売買する以外に、借家人がいる投資物件、ホテルや介護施設などの営業用不動産、そしてファンドや信託受益権の売買など、単に物理的なモノ(real estate)を取引するだけでなく、各種権利の売買など資産(real property)としての取引も増えていると思います。

 そしてそのうち金融商品となっている資産は、金融庁の管轄となり、第二種金融商品取引業として別の登録が必要となるのです。

 同じ不動産でも物的な取引は国土交通省、資産としては金融庁、ついでにいうと最近話題のリフォームについては、太陽光発電とかが関係するせいか、経済産業省がリフォーム後の一戸建てや集合住宅の資産価値を評価する新基準の導入を検討するなど、なんだかいろんな省庁からご指導頂いている状態であります。

 このように不動産=土地や建物という単純な物的側面で捉えきれなくなっている現代において、宅建士としてのあり方を議論することをきっかけに、ちょっとごちゃごちゃしている不動産取引についても議論が整理され、不動産市場の活性化につながればすばらしいと思います。(執筆者:田井 能久)

《田井 能久》
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田井 能久

執筆者:不動産鑑定士 田井 能久 田井 能久

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士 大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドに転職し、資産評価業務を担当。全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。1,000件以上の評価実績を有し特に相続や訴訟に関連する案件を得意とする。海外事業では滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」業務を行い、2015年にマレーシアの企業と業務提携開始。MM2H取得アドバイス業務や海外不動産投資アドバイスを行い(https://malaysia-longstay.com/)自身も2018年にMM2Hを取得。元愛知大学非常勤講師で現在セミナー活動もしながら各種WEBメディアに記事提供を行う。 <保有資格>:不動産鑑定士 寄稿者にメッセージを送る

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