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年金額の全部または一部が支給停止する「在職老齢年金」の仕組み

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年金額の全部または一部が支給停止する「在職老齢年金」の仕組み

 私は日頃、お客様に『人生のリスク対策における車の両輪は年金と保険』とお伝えしています。そんなある日、お客様から「どうして年金が6,000円しか貰えないの?」と質問を受けました。そのお客様は30年近くも保険料を収めているのに、いざ受け取ってみると年金の金額が少なすぎるので腑に落ちないとの事です。

 色々とお話を聞いてみますと、このお客様の年金が少ない原因は在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止でした。

 このような質問が最近特に増えてきました。原因としては、殆どの方は年金の仕組みについてあまりご存知ないこと。自分は、≪いつから・どんな年金が・いくら貰えるのか≫を前もってご確認されていないこと。勿論、年金定期便にてお知らせが届くのですが、印刷された年金額を将来必ず貰えるものと早合点していること、にあるようです。

 これではいざ年金を受け取ってみて、予定していた額と相違していてがっかりするのも頷けます。今後は定年の延長対策にて、高齢になってもお仕事を続けられる方が増えていくと思います。特に在職老齢年金については、その内容を早めに掴んでおかれる事をお勧めいたします。

在職老齢年金の事例(65歳未満)

 では、その在職老齢年金について事例(65歳未満)を挙げて見ていきます。まず、在職老齢年金は老齢厚生年金に対する調整で、老齢基礎年金とは無関係です。在職老齢年金にて支給を停止される額(支給停止基準額といいます)は、次の二つの額にて決定されます。

(1):基本月額=老齢厚生年金の1か月分(加給年金額は除きます)
(2):総報酬月額相当額=対象月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計の1/12

 この(1) と(2) の合計が28万円(65歳以降は46万円)以下の場合は、年金は全額支給されます。その他の場合は、下記の計算式となります。


≪日本年金機構ホームページより≫

・計算方法 1:基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2

・計算方法 2:基本月額-総報酬月額相当額÷2

・計算方法 3:基本月額-{(46万円+基本月額-28万円)÷2
        +(総報酬月額相当額-46万円)}

・計算方法 4:基本月額-{46万円÷2+(総報酬月額相当額-46万円)}

 例えば、基本月額が12万円、総報酬月額相当額が50万円とします。上の図に当てはめてみますと、計算方法3に該当します。

12万円-{(46万円+12万円-28万円)÷2+(50万円-46万円)}
=12万円-(15万円+4万円)=▲7万円

 となりますので、全額支給停止となります。

在職老齢年金の事例(65歳以上)

 次に、65歳以上の方の在職老齢年金はどのようになっているでしょうか。65歳未満の時に確認した、(1) と(2) については基本的に同じです。図式でも確認してみましょう。


≪日本年金機構ホームページより≫

 次に事例を考えてみましょう。基本月額が10万円、総報酬月額相当額が41万円とします。計算式に当てはめてみますと、

10万円-(10万円+41万円-46万円)÷2=7.5万円

 つまり、10万円から2.5万円が支給停止されて残額の7.5万円となるわけです。

 このように老齢厚生年金については、在職老齢年金の仕組みにより年金額の全部または一部の支給停止があります。60歳以降も働き続けるというシニアプランをお持ちの場合は、在職老齢年金についても前もって確認をしておいて下さい。(執筆者:松山 靖明)

《松山 靖明》
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松山 靖明

松山 靖明

不動産管理の営業を経て、現在は生命保険に携わる。一貫して法人に関与し、経営者に寄り添える営業を目指す。他に地域の市民講師として年金・相続等の講演。NPO法人 日本FP協会(大阪)の「くらしとお金のFP相談室」2020年 相談員。スカラシップアドバイザーとして高校にて講演活動など積極的に展開。 <保有資格>:FP技能士1級、CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)、TLC(トータル・ライフ・コンサルタント 生保協会認定FP)、宅地建物取引士、DCプランナー2級、第2種情報処理技術者、小学校教諭、養護学校教諭、ビジネス法務エキスパート、ファシリティマネージャー、第一種衛生管理者、社会保険労務士、年金アドバイザー2級、生命保険支払専門士 寄稿者にメッセージを送る

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