各種健康保険制度には、負担した医療費を抑えるための、高額療養費制度。サラリーマンが加入する健康保険には、傷病手当という手当てがあります。残念ながら、国民健康保険にはありません。

高額療養費制度とは

 私のサイトでも圧倒的にアクセスが多い【高額療養費制度】は、収入に応じて、かかった医療費を大きく軽減する制度です。現在のところ、標準月額報酬53万円を境に、【約8万円~】と【15万円~】の2段階に分かれます。4度目の該当からはさらに医療費負担が抑制されます。

 非常によい制度ですが、ご存知のように社会保障費が増え続けていますから、歯止めをかけることが検討されています。この高額療養制度は先に述べましたように、現在2段階で負担額が分かれています。ですが、これを5段階にすることにより、より応分負担にしようと制度変更される方向です。

傷病手当とは

 サラリーマンの加入する健康保険では、仕事以外…つまりプライベートでのケガや病気によって、会社を休まなければならない状況となったときに、

●4日以上の休業から最長1年6ヶ月の期間
●会社から給与が出ない場合

 健康保険から月給の2/3が給付される、というものです。

だから医療保険がいらない?

 だから「医療保険がいらない」という意見もありますが、ほんとうでしょうか?

 高額療養費制度に単発で該当する程度なら、医療費は大したことないかもしれません。多数該当になれば定額に抑えられるものの、3回目までは【8万円~】、【15万円~】かかります。多数回該当した場合と、該当しなかった場合、かかる医療費は雲泥の差になります

 長期化しやすいのが現在は『がん』と言われます。がん治療も、部位や進行具合(上皮内or悪性)、治療方法で全くことなるということを踏まえまして、高額療養費制度に該当しない範囲で、1年間治療を続けたとしましょう。

 一般所得の8万円~の方でしたら、年間96万円かかる可能性があるということです。治療には3年かかる場合もありますので、『300万円は見ておきたい』ということになります。これは医療費だけですので、交通費他様々な支出を考慮しますと、年間100万円では厳しい可能性がある、ということです。

収入は減り、支出は増える

 傷病手当は、月給の2/3の保障ということは、収入が減るわけですね。家族がいれば、通常の生活費+入院中の各種費用がかかるわけです。入院したからって住居費が減るわけではありません。つまり、余計に支出は増えるのですね。

 家族の面会には交通費またはガソリン代や病院または周辺の駐車場代、そして差し入れの購入費、こまごまな雑費も増えるわけです。短期間でも本来支出することがない支出です。意外と馬鹿になりません。

 【平成23年の政府統計による金融資産の現在高】によりますと、預金額の中央値は729万円です。ですが、多くの世帯の預貯蓄は、300万円以下の割合が多いのです。限度額認定で医療費が抑えられても、毎月万単位でお金が飛んでいく可能性があるのは痛くないですか?

 ということは、よほど潤沢な現金資産がない限りは、医療保険・がん保険である程度カバーできれば助かるわけです。

 がん保険は、今ではほとんど入院通院ともに無制限ですが、医療保険は60日型・120日型・730日型などがあります。医療保険の日数をどれを選ぶかはそれぞれの価値観にもよりますが、社会保障費を抑制させるため、

 ● 長期入院時の入院費用の低廉化(病院の負担増)
 ● 入院を必要とする患者の増大による病床不足

 などにより、長期入院する可能性は非常に少なくなっています。統計では入院平均日数が年単位となるのは、精神及び行動の障害だけですね。

 可能性の低い730日型を選択するならば、保険料差額を資産の基礎体力である【預貯蓄】に回すほうがよほど効率的ではないでしょうか。生活習慣を見直すことで、健康を守って預貯蓄が増えるかもしれません。

傷病手当が切れたら…

 さて、傷病手当は1年6ヶ月の期間受給できますが、それ以上になると、給付は打ち切られます。

 ただ、そこまでの休業を余儀なくされる場合は、障碍認定を受け、障害年金を受給できる可能性があるかもしれません。障碍年金は、障碍の程度によっては老齢年金よりも手厚く受給されます。

 公的年金は【払い損】という前に、障碍年金という制度があることを知っておいてください。(執筆者:池田 弘司)