まだ決定ではありませんが、年末の税制改正協議に向けて、金融庁が要望しようとしているのが、「子ども版NISA」。今年はじまったばかりの大人版NISAが、1年も経っていないのに、非課税枠の拡大、非課税対象者の拡大の要望が高らかに叫ばれています。

 政治のチカラを使って優遇制度を作って需要を喚起するこのやり方は、一部の業界のメリットは大きいですが、他の業界からみると不公平に見えないとも限りません。本来は、さまざまな金融機関が、厳しい競争環境のなかで切磋琢磨しつつ魅力的な金融商品を世に送り出すのが王道なのだと思いますが…税制優遇制度は、できたとたんに業界や私たちの既得権益になり、なかなか元に戻すことができなくなります。

 とはいえ、個人のお金を貯蓄から投資へ振り向けて、株価の維持、向上へと繋げたい政府の意向と、金融業界の思惑がうまく合致しているのでしょう。子ども版NISAのイメージは、18歳までの子どもの名義で親や祖父母が年間100万円までの投資資金による収益に5年間税金がかからないという仕組みです。現在の大人版NISAは20歳以上に限定しているため、この年令制限を18歳以上とし、18歳未満を子ども版NISAにしようというのです。

 仕組みは簡単です。18歳未満の子どもや孫のNISA口座を金融機関に作り、そこに親や祖父母が年間100万円を上限にお金を振り込みます。このお金で運用して出た利益には税金が5年間税金がかからない。

 ポイントになるのは、同じ子どもや孫が、NISA用の投資資金100万円とは別に、贈与を受けた場合、1年間の合計額が110万円を超えると、贈与税の対象になりそうだという点

 また、子ども版NISAは、原則として18歳まで口座からお金を引き出せないようにするように検討されているといいます。今後、年末にかけて、具体的にどんな制度設計がなされるのか、興味津々です。(執筆者:中村 宏)