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損害保険 2014年を振り返り2015年にのぞむ

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損害保険 2014年を振り返り2015年にのぞむ

 さて、前回の「2014年の「生命保険」を振り返って」の続きで、今回は損害保険全般について今年を振り返りつつ、来年以降の対策を考えたい。

 まず、前回の記事で述べたように「改正保険業法」の影響は当然損保代理店にも波及していく。特に損保代理店はカーディーラーやハウスメーカー、銀行等、自動車購入時の自動車保険加入や、新築住宅購入時に住宅ローンのついでに火災保険加入が多く、もともと保険専業のプロ損保代理店ではない「掛け持ち代理店」で扱われているケースが多く、かつ規模の小さいところが少なからず存在している。

 今後はこういった規模の小さい代理店は統廃合が進むざるを得ない。金融庁の求める体制整備はそれだけコストがかかることなのだ。損保も大規模化し、かつ生保をプロ生保代理店並みに扱えるようならないと今後の保険業界では生き残りは厳しい。それ故、一部の大手損保代理店では生保プロ募集人のリクルートが現在盛んである。

2014年の損害保険を振り返る

 さて、2014年の自動車保険と火災保険を振り返ると、以下のような事件があった。

(1) 東日本大震災を踏まえた地震保険料の改定により、7月1日以降に地震保険料が値上げ

(2) 消費増税の影響で自動車保険は保険料率が改定され、10月までに保険料が値上げ

 さらに2015年以降に損保業界として予定されていることは、

(3) 2014年の自然災害による保険金支払増加による収支悪化を受け、2015年秋に火災保険の料率改定(大幅値上げか?)と長期契約を最長36年から10年に短縮化

(4) 消費増税が10%になった時点で再度自動車保険の保険料率見直し検討

 (3)については、(1)以上に保険料に対するインパクトが避けられない。そのため2015年は「火災保険見直しの年」になるだろう。特に過去に銀行やハウスメーカーで長期一括契約で火災保険に加入されている方は、その保障内容をここで一度見直したほうがいいだろう。見直しのポイントとしては、

a) 加入している火災保険が「住宅火災保険」なのか、「住宅総合保険」なのか。後者の場合、「オールリスクタイプ」なのか。http://insurance.yahoo.co.jp/fire/info/house_01.html (Yahoo!保険「住宅火災保険・住宅総合保険」)

b) 地震保険は加入済みか、家財保険は加入しているか。火災リスクより、地震や竜巻、大型台風、河川決壊等の自然災害リスクのほうが高まっている現状に備えた保険となっているか。その際、なるべく免責を外すようにしよう。でないと、昨冬の大雪の被害のように、カーポート破損等の数万円の被害が保険で救済されなくなるおそれがある。

c) 火災保険の保険金額(再調達価額)が過大ではないか。全焼時に規模や構造が同じ建物を購入する(安価なハウスメーカーの家に建て替えても良いのだ)、もしくは建て替えずにその保険金を別に使う(例、高齢者専用賃貸住宅への入居一時金に使いたい、減築したい、等)のであるならば、保険金額自体の見直しも必要。

d) 保険期間の見直し。2015年以降、最長でも保険期間は10年間となる。これは損保会社の長期リスク予想が困難になったためだ。そこで、見直し時に現在加入可能な最長36年間に再度保険期間をFIXすることも検討したほうがいい。


(4)については、今回の解散総選挙にによって、消費増税が再来年に延びる可能性が高くなったが、損保業界では既に折りこみ済みの案件であるため、来年に自動車保険の保険料率改定をする会社は独自に上乗せをする可能性はあるだろう。そこで、自動車保険についての見直しポイントは以下の通り。


a) 自動車保険は個人加入の損保商品のなかでメインの位置づけと考え、補償内容全般に見直し、逆に他の損保商品をリストラしよう。なぜなら同じ補償種類なら自動車保険のほうがモノがいいのだ。

b) 他の保険との補償重複をさける必要がある(後述)。特に家族が多い人は重要。

c) 保険期間を最長の3年間で加入し直しする(一部の損保では新規は一年契約のみで3年長期は扱いは終了。ネット系は1年のみが大半)


損害保険の見直しのポイントは?

 最後に個人の損害保険の見直しのイロハのイである。まず損保は補償のだぶりについては、保険会社間で協議され二重に保険金が支払われることはないので、補償のだぶりをチェックする必要がある

 そこで、家族が加入している自動車保険、火災保険、自転車保険、生損保カバーする共済、傷害保険、交通傷害保険、会社で加入している団体総合保険、等、全保険証券を見直し対象とし、補償内容のだぶりがないかチェックするのが第一歩となる。

 これをしない損保代理店や損保募集人は正直、プロ失格であろう。なぜなら申込時に契約者に補償のだぶりを確認することが、保険会社から本来要求されているからだ。先日私が損保を見直した顧客では「個人賠償責任保険」が全部で6個もついており、だからと言って補償が6倍になる訳ではない。これでは保険料の無駄で、「個人賠償責任保険」だけで毎月1000円以上保険料を支払っていた。家族で1個で十分な保険なのだ。

 例えば、家族で複数台自動車を保有していて、旦那の車の自動車保険に「人身傷害保険」が付保されていたとする。補償が「契約中自動車限定」でなければ、補償の範囲は他の車に乗車中の事故や別の自動車保険に加入している奥様や、自転車等の交通乗用具に乗車中の事故、歩行中等の車外の自動車事故、駅などの乗降場構内での事故、建物からの落下物による事故等までカバーする(勿論、商品間に補償の差はある)。かつ、補償対象は旦那様だけでなく同居の家族全員だ(別居中の未婚の子含む)。

 また、「個人賠償責任保険」は、火災保険、自動車保険、傷害保険、共済に付けられる特約だが、この保険の補償対象範囲は同居家族全員である。かつ、自動車保険の「個人賠償責任保険」の補償金額は無制限である(火災や共済、傷害は1億円~2億が上限)。

 それ故、家族誰かの自動車保険にフルサポートの「人身傷害保険」と「個人賠償責任保険」が一つ付いていればいい。もしその家族が生保のほうで医療保険にも加入しているようなら、自転車保険はもういらなないだろうし、交通傷害保険は補償のすべてが「人身傷害保険」でカバーできるはず。奥様の自動車の自動車保険は逆に補償を下げて、「安かろう」のネット自動車保険を選んでも良い。(執筆者:伊藤 克己)

《伊藤 克己》
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伊藤 克己

ゆうゆうFP事務所 代表FP(現在閉鎖) 電機・半導体メーカー退社後、外資系生保と乗合代理店で実務を学び、独立系FP事務所を開業。リスク・ファイナンシングを現場実践している「実践派FP」として顧客利益優先に活動。 寄稿者にメッセージを送る

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