中古住宅を高く売るには? 「ホームステージング」もいいですけど…

 先日の新聞記事で「ホームステージング」なる言葉に出会いました。それは、中古の空き物件などをより短期で高値で売却できるよう家具や小物などでモデルルームのように演出することだそうです。なんでも欧米ではあたりまえのようで、それを行う専門家も存在するようであります。

 確かに新築マンションのモデルルームにはおしゃれな家具やインテリアグッズがきれいに配置され、「このマンションに住めばこんなおしゃれな暮らしが待っているんだ~」という誤解が購入活動に繋がることもあると思います。

 それゆえ中古住宅でも、そのような演出で購入者の入居後の生活をイメージしやすくするほうが販売戦略上有利となることは理解できます。

 ところでお菓子などは味という基本的な性能以外に、見た目やラッピング、おまけなどのすべての要素をフル稼働して消費者に訴えています。考えようによってはお菓子と同様、不動産も商品なので、今時の不動産取引にはこのように見た目を良くするようなイメージアップ戦略をとる必要性があるのかもしれません。

 ただ個人的な意見ですが、欧米でホームステージングが一般的なのは、そもそも論として中古住宅の流通に際し、売買情報や修繕履歴の情報が充実し、お金をかけて修繕などをすることで不動産の価値が上がっていく市場がきちんと存在していることがその背景としてあり、いわばホームステージングは中身を充実させたうえで最後に行う、きれいなラッピングのような気がします。

 しかし、日本ではまだまた中古住宅に対する情報が少ないので、中身がどんなものかわからない状態で買う方も多く、現時点では下手にきれいにホームステージングされていると逆に「なにかを隠しているでは?」と疑ってしまう方もいらっしゃるのでないのでしょうか?

 従って売り主としては、単なる見た目の演出ととらえず十分な修繕や維持管理を行ってきて、性能を維持してきたうえでの最後の仕上げの”投資”としてホームステージングを活用するのは有益だと思いますし、そして買われる方はホームステージングされてる物件の演出を楽しみつつも、基本的な不動産の性能チェックを忘れないようにして頂きたいものです。(執筆者:田井 能久)

この記事を書いた人

田井 能久 田井 能久(たい よしひさ)»筆者の記事一覧 (58) http://www.valuation.co.jp/

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士
1981年、日本不動産研究所入所。1985年、不動産鑑定士に登録。2004年、ハドソンジャパン株式会社入社。2006年、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズを設立。不動産の鑑定評価業務を中心に、相続に関する相談、不動産に関する事案について訴訟や調停に関しての相談、セミナー講師や海外不動産に関する業務など多岐にわたる内容に対応しています。
公益社団法人日本不動産士協会連合会会員、在日米国商工会議所(ACCJ)会員
名古屋地方裁判所民事調停委員、愛知大学非常勤講師
<保有資格>:不動産鑑定士
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