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その残業は必要ですか? 労働時間の見直しと効率のよい働き方

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その残業は必要ですか? 労働時間の見直しと効率のよい働き方

 昨今、働き方・賃金や残業代等について様々な議論が交わされています。例えば、「高度プロフェッショナル労働制」は一定の職種に就き、一定額の収入を得ている方を対象に労働時間の長さとは関係なく成果で賃金を決めようという考えです。

 「高度プロフェッショナル労働制」は導入が検討されている反面、成果に追われて際限のない長時間労働になり、結果として過労死は減らないのではないかとの懸念も強く残っています。過労死の原因となる疲労の蓄積をもたらす最重要項目の一つが労働時間であり、労働時間が長ければ長くなるほど過重労働とみなされます。


 他方、有給休暇の消化率を上げるために、従業員が最低でも年5日間の有給休暇を取得するよう企業に義務づける審議も進められています。

 そこで今回は、働き方・賃金や残業代等に関する何らかの新制度が導入される前に、時間も人生の大切な資産であるという「タイム イズ マネー」という点、また新年度を迎え、働き方を見直される方もいらっしゃるという点から効率のよい働き方とご自身の健康について考えるきっかけとなることを願って本コラムを書きます。

効率のよい働き方とは

 昨年3月に厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014」の中に、睡眠時間の減少が仕事のパフォーマンス(認知・精神運動作業能力)にどの程度の悪影響を及ぼすのかについて調査した興味深いレポートがあります。それによると、

1) 17時間寝ていない状態での仕事のパフォーマンス能力

 例えば午前8時に目を覚ました人が一睡もしないで夜中3時を迎えた時には、血中アルコール濃度が0.05%の時と同程度に低下。(日本では、0.03%以上で酒気帯び運転となります。)

2) 24時間寝ていない状態での仕事のパフォーマンス能力

 例えば午前8時に目を覚ました人が一睡もせずに翌朝8時を迎えた時には、血中アルコール濃度0.1%(およそビール大瓶1本飲用に相当)の時と同程度に低下。

 酒気帯び状態での車の運転は禁止されていますから、当然、酒気帯び運転以上の状態で仕事に関する正常な判断・作業はできないことは明らかです。またビール大瓶1本を飲み干した後では、仕事どころではないのが自明のことです。

 このことから「今夜は仕事が終わるまで帰らない!」等と睡眠時間を十分とっていない状態で仕事をすることが、普段はしないような間違いをする又は、間違いに気がつかない等の仕事のパフォーマンスの低下を簡単に招き、仕事の遂行や健康において非常に危険であることが分かると思います。


日常的な長時間労働は悪循環を招く

 併せて、「心の病」は増加傾向にあり、特に「心の病」の多い年齢層は30代で58.2%、40代で22.3%(2010年「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」(財)労働行政研究所)となっております。長時間労働が頻発すると考えられる30代と40代のいわゆる「働き盛り世代」だけで80%強を占める結果となっているのです。

 一般的には「長時間労働のために『心の病』になった」と考えられていますが、このことをもう一歩進めて、「長時間労働のために頭が働かなくなり、仕事が終らないので長時間労働が日常的となった。そして日常的な長時間労働のために必要な睡眠時間が確保できない日が続いたので心身のバランスを失い、『心の病』になった。」と考えることもできると思います。

 さて、あなたの1日の労働時間はどのくらいですか。長時間労働が日常化していませんか。残業時のご自身の仕事のパフォーマンスに満足していますか。また本コラムを読んで下さる方の中に経営者や管理監督の立場におられる方がいれば、ご自身の会社やチームでの働き方・仕事の割り振り等について考えるきっかけとなれば幸いです。(執筆者:岡村 ひろ子)

《岡村 ひろ子》
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岡村 ひろ子

岡村 ひろ子

岡村社会保険労務士事務所 所長 大手電機メーカー、弁護士事務所での勤務を経て、2014年9月社会保険労務士事務所を開業。個人の依頼者向けに障害年金の申請・取得のサポート、法人に対してはメンタルヘルス対策を主軸に採用・退職・人事制度・従業員のケア・就業規則の作成等を通じ、労使中立の立場に立ったコンサルタントを行う。 <保有資格>:社会保険労務士 寄稿者にメッセージを送る

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