国民年金の第一号被保険者の皆様には、そろそろ今年度の保険料納付書が届いている頃だと思います。

 国民年金に関して、「将来、本当に自分は年金をもらえるのだろうか?」とか「年金なんて、どうせ保険料を払ったってもらえない」などと過剰な不信感を持っている方がたまにいらっしゃいますが、よくよく話を聞いてみると、その原因の多くは、誤解や勘違い、知識不足によるものです。

 確かに、現状の給付内容をこのまま維持するのは私も難しいと考えていますが、過剰な不信感を持つほどではないとも思っています。今回はそのあたりをお話したいと思います。

国民年金には税金が投入されています

 現時点では、実際の国民年金の支給額の2分の1は国庫が負担しています。つまり、現時点で支払われている国民年金の半分は税金なのです。極端な話、40年間保険料免除が受け続けられるとすると、保険料を1円も支払わなくても(受給資格だけ確保できれば)老齢基礎年金の半分は受給出来るのです。

注)ただし、若年者納付猶予制度と学生納付特例によって免除された期間について追納しなかった場合は除きます。

 何の申請もせず、国民年金保険料を納めていない人は注意してください。そのままでは大損です。受給資格を確保することだけは、せめて死守しましょう。

国民年金は非常にお得な保険商品のようなものです

 国民年金の保障内容を民間の保険商品で代用しようとすれば、とても国民年金保険料額では賄えません。

 誤解や勘違いされている方の多くは、老齢基礎年金の受給のことだけを話されますが、国民年金には、障害が生じたときに受給できる「障害基礎年金」や遺族の方が受給できる「遺族基礎年金」の保障もあるのです。

 特に「障害基礎年金」は事故だけでなく、がんや糖尿病などの病気で生活や仕事が制限されるようになった場合も支給対象になります。

 要は、民間の年金保険と所得補償保険と死亡保険とが合わさった保険商品のようなものなのです。上記でお話した税金が投入されていることでもわかるとおり、民間の保険会社では絶対に真似は出来ません。非常にお得な保険商品のようなものなのです。

国民年金の納付率は被保険者にとってあまり気にすることはありません

 国民年金の納付率の低さがたびたび取り沙汰されますが、その数字についてはあまり気にする必要はないでしょう。国民年金の納付率は、

「実際に払われた保険料(月数)÷保険料を払うべき人が全部払った場合の保険料(月数)」×100(%)

 で計算されます。厚労省は、保険料納付の免除者や学生などの猶予者を国策で増やし、「納付すべき人(分母)」を減らした納付率を持ち出して「60%を回復した」とか、マスコミは、「真の年金納付率は約40%に過ぎない」などと言っていますが、それは捉え方の問題でしかありません。

 年金財政上の影響はもちろんありますが、被保険者にとって保険料支払上何の関係もありません。保険料の支払いは義務なのですから、いくら納付率が低くなっても納めるべきものなのです。そんなことよりも受給資格を確保すること及び、満額受けられるように努めましょう。

国民年金の受給額は定額制 実は所得の低い方によりやさしい制度

 国民(基礎)年金の保険料は定額制ですが、支払っている税金は所得の多寡により違い、所得の高い人ほど多くの税金を支払っています。ということは、年金財源の一部が国庫負担として税金が投入されていますので、その負担分も加味すれば、所得の高い人ほどその負担率は高いことになります。

 それに対し、国民年金の受給額は納付期間が同じであれば所得に関わらず定額ですから、所得の低い方によりやさしいと考えられるのです。間接的に、高所得者から低所得者に対して所得の再分配が行われているということです。

〔補足〕厚生年金や共済年金の受給額に関しても、「所得代替率」というものがあり、世帯の所得水準(一人当たりの平均所得)が高いほど所得代替率が低くなるようになっています。

※「所得代替率」とは、年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込)と比較してどのくらいの割合かを示すもの

 これまでの話を聞いてどう感じましたでしょうか?

 こういった話を聞けば、国民年金に対する不信感はほぼ、払拭できるのではないでしょうか。あと、生活保護の金額との比較を持ち出される方がいらっしゃいますが、生活保護の受給条件はそんなに甘くありません。安易に考えるべきものではないでしょう。

 何度もいいますが、重要なことは、国民年金の「受給資格の確保」です。これまで、原則として保険料納付期間が25年ないと受給できませんでしたが、今後それが10年に短縮されます。

 消費税率の再引上げ時期にあわせて平成27年10月から施行される予定でしたが、それが延期されましたのでこちらも延期され、平成29年4月に施行される予定です。

 受給資格の確保がしやすくなるのですから、これまであきらめていた方も考えを改めましょう。(執筆者:小木曽 浩司)