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モンゴル視察記 ~援助国から投資国へ~

先月は我々の日本の不動産鑑定士協会(JAREA)とモンゴルの鑑定人協会(MICA)との業務提携、及び記念の共同セミナーを開催する為にモンゴルのウランバートルに行ってきました。

全4日の行程でしたが、韓国でのトランジットに時間が掛かり、実質的には2日間で協会へのご挨拶、セミナーの開催、在モンゴル日本大使やJICAの事務局への挨拶、市内の視察、歓迎晩餐会、調印式、国立公園への小旅行をこなすというめまぐるしいスケジュールでありました。

初めて訪れた国であるので文字や言葉や食事も日本とは大きく異なり、思い出話はキリがありませんが、職業柄、特に興味を引かれたのはゲル地区の視察でした。

都心は人口130万人の国際都市なのでインターナショナルブランドのホテルやショップがあり、日本の地方都市と比較しても遜色はないですが、その都心から車でほんの10分程度の距離にはゲル地区が広がっています。

下記がゲル地区の写真です。

モンゴルというと大草原にテント式のゲルという住居がぽつん、ぽつんと建っているイメージですが、実際はこのウランバートルに総人口の半分以上が集中しているため、都心郊外の狭いエリアに住宅が無秩序に密集しています。

そして個々の住宅はテント式から一般の住宅に建て替えが進んでいますが、都市インフラが追いついていかず、道路は未舗装で下水や上水まで完全ではないようであります。

ろくに土留めもしていないような傾斜地にさえびっしりと住宅が張り付いている様子は、遠くから見ると失礼ながらなにかの昆虫の巣のようにさえ見えます。

整然とした街区を見慣れている外国人からすると、いかにも“遅れた国”と思われがちですが、その場に立った者の感想としては“荒廃”とか“退廃”とか今後寂れていく様子は全くなく、むしろ強い風で発生する土埃と、それにたなびく沢山の子供の洗濯物の様子は、自分でもうっすら記憶している、昭和40年台とかの昔の日本に情景にどこか似ており、懐かしい気持ちにさえなりました。

まだモンゴルの名目GDPは年間約120億ドル程度と日本の約42,100億ドルに対し約0.3%程度と経済規模は小さく、石炭・金・ウランなどの資源が豊富のようでありますが、製造業やサービス業などは未成熟であります。

経済発展の途上国らしく銀行の定期金利は15%なんて商品もありますが、インフレ率も高く、経済基盤の弱さから今後の貨幣価値もどうなるか分からないこともあり、その分リスクは高いといえます。

このように不動産も金融もまだまだ感に満ち溢れていますが、最近では新ウランバートル国際空港の建設、銀行の経営、風力発電プロジェクトなどに日本の一流企業が参画している事例が多くみられます。将来性がなければこれらの企業も動かないわけでありますから、そのマインドが“援助すべき国”から“投資すべき国”に変わってきている証のような気がします。

そして何よりもモンゴルで出会った人々の、自分が分かるまで質問をし続ける知識欲と、お客さんをもてなすホスピタリティの高さに感銘を受けました。若い方の意識も高く、世界的にプレゼンスが上がってくるのは間違いないと感じました。

これから夏に向けてモンゴルは草原に草花が咲くいい季節を迎えるようです。そんなのんびりした風景を楽しむ一方で、発展段階の都市を見に行くのもいのではないかと思います。(執筆者:田井 能久)

この記事を書いた人

田井 能久 田井 能久(たい よしひさ)»筆者の記事一覧 (58) http://www.valuation.co.jp/

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士
1981年、日本不動産研究所入所。1985年、不動産鑑定士に登録。2004年、ハドソンジャパン株式会社入社。2006年、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズを設立。不動産の鑑定評価業務を中心に、相続に関する相談、不動産に関する事案について訴訟や調停に関しての相談、セミナー講師や海外不動産に関する業務など多岐にわたる内容に対応しています。
公益社団法人日本不動産士協会連合会会員、在日米国商工会議所(ACCJ)会員
名古屋地方裁判所民事調停委員、愛知大学非常勤講師
<保有資格>:不動産鑑定士
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