1. 総合口座の自動借り入れ

総合口座には定期預金などを担保にした「自動借り入れ機能」があります。普通預金残高が不足した場合に定期預金の90%など一定の限度額まで自動的に借り入れができる機能です。

急な出費があった時や口座引き落としされる金額を入金するのを忘れていたりした時に、普通預金の残高が不足しても一時的に借り入れができるので、いざというときに安心できると思っている方も多いと思います。

この自動借り入れを使った場合の借入利率は、定期預金を担保にしている場合はその定期預金の約定利率に一定の利率が上乗せされます。この上乗せされる利率は現在0.5%としている金融機関が多いようです。

2. 低金利時代の注意点

かつて金利が高かった時代には定期預金と普通預金の金利差がかなりありました。定期預金を中途解約してしまうと普通預金並みの低い金利が適用されます。このため、一時的な普通預金の残高不足であれば、上乗せがあっても自動借り入れで借入利息を払った方が定期預金を解約してしまうより有利でした。

現在一部のネット銀行などを除いて普通預金の金利は0.02%、期間3年の定期預金の金利は0.03%など低金利が続いています。この金利に比べると自動借り入れで上乗せされる利率0.5%は相対的に高い金利になっています。

自動借り入れをした場合の金利を具体的にみてみましょう。

30万円の定期預金がある場合に10万円の自動借り入れを1年間のうち60日使ったとします。担保にしている定期預金の金利を0.03%とすると借入利率は 0.03%+0.5%=0.53% となります。また、定期預金を解約した場合には普通預金の利息0.02%が適用されるものとします。(残額はそのまま普通預金にするものとします。)

【1】自動借り入れを使った場合

(1) 1年間の受取利息
300,000円×0.03%=90円

国税13円と地方税4円を引くと手取りは 90円-(13円+4円)=73円

(2) 借入利息
100,000円×0.53%×60日/365日=87円

(3) (1)-(2)=△14円

【2】 定期預金を解約(30万円を全額解約)した場合

(1) 1年間の受取利息
200,000円×0.02%=40円

国税6円と地方税2円を引くと手取りは 40円-(6円+2円)=32円
注)1年間の途中で定期預金を解約した場合には100,000円に対してその解約した日までの利息がつきますが、ここでは無視します。

(2) 借入利息

0円

(3) (1)-(2)=32円

自動借り入れを使った(1)の場合には受取利息を上回る借入利息が発生してしまいます

一方、定期預金を解約して自動借り入れ相当額を使用してしまっても(2)のとおり残額に普通預金相当の利息が付き、借入利息はかからないため全体でもプラスになります

3. 自動借り入れで損をしないために

自動借り入れを使用した場合、現在定期預金の利率に比べて自動借り入れの上乗せ利率が0.5%とかなり高いため、定期預金を継続して得られる受取利息よりも借入利息の方が多くなってしまう場合がでてきます。これでは何のために定期預金をしているのかわからなくなってしまいます。自動借り入れの金額が多いほど、また、借入期間が長いほど借入利息が多くなります。

一方、定期預金を解約しても、定期預金と普通預金の金利差がわずかしかないため受取利息の減少は限定的なものとなります。(上記の例で10万円のみ解約できれば残りの20万円は定期預金を解約せずにすみますのでさらに有利になります。)

総合口座が時々マイナス残高になる方は自動借り入れを使わないように、定期預金を一部解約して普通預金にある程度の予備費をおいておく方がよいでしょう。また、自動借り入れを使った場合は、借入額と借入期間によっては定期預金を解約してしまった方が有利となる場合がありますので、その時点でよく検討されることをお勧めします。(執筆者:犬山 忠宏)