今年の秋に番号の通知が始まり、来年の実施に向けて着々と準備が進められているマイナンバー制度ですが、その制度の理解の必要性が最近ひしひしと感じられます。

社会保障、税、災害対策のために必要なマイナンバーは、ID代わりにカードを提示することはあっても、マイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることは法律や条例で定められた目的以外では不正使用にあたり、その情報を使って何かをすることは「制度上」はないはずです。

従って「賃貸借契約の本人確認のため必要だから」とか「新しく売り出すマンションの情報をいち早く教えるから」という理由でマイナンバーを教えて下さいなんてことをいう企業はコンプライアンスが欠落しているため無視する必要があります。

ただし「なるほど、安全のため民間の企業にはマイナンバーは教えないようにしよう」と、そう簡単に割り切れないのがこの制度のややこしいとこです。

例えば不動産の売買や賃貸の場合、売買において、個人から法人へ不動産が譲渡され、その金額が100万円を超える場合、法人は「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を作成します。そしてそこにはお金を支払った相手方の氏名とマイナンバーを記載する必要があるので個人は売却先の法人にその情報を提供することが考えられます。

また年額15万円以上の家賃や地代を法人が支払う場合に「不動産の使用料等の支払調書」を作成するので、やはり個人の地主や家主さんは借主の法人にマイナンバー情報を提供する必要があります。

以上のように不動産は税制と切っても切れない関係にあるため売主であれ、貸主であれ、相手方が法人の場合にはご自身のマイナンバーを提供する場面が多くの場合で発生します

それでマイナンバーを受けとった法人がそれを適切に管理・使用してくれればいいのですが地代や家賃の支払いに遅れがちで、賃貸物件のルールを守らないようなルーズな企業が、他人の重要な情報の保守管理にちゃんと気を使ってくれるのかな-という疑問があり、一応罰則規定はあるものの、法人がマイナンバーをばらまいて倒産したり夜逃げした場合にはどうやって責任追及できるのかも今一つわかりません。

マイナンバーは極めて重要な情報であるにも関わらず、国は民間から提出する書類(法定調書など)に記載させるために民間同士にマイナンバーを取得させそれを管理するよう求めています。個人的には安易に民間でやりとりできないようにすべきと思いますが、制度上、もうこうなってしまったので仕方ありません。

従って地主さんや家主さんの対策としては、お付き合いのある民間企業に対し、情報の提供目的が制度上正しいか、提供したマイナンバーを適切に管理しているかというのをチェックする必要があり、それをうまくできない企業さんとのお付き合いは、今後見直すことを真剣に考えなければいけないと思います。(執筆者:田井 能久)