私たちは簿記・会計の力を過小評価したきらいがあるように思います。前にも述べた通り、会計力には時代を動かす力があります。そこで、今回は前回の続きで通貨発行益(シニョレッジ)について考えてみましょう。

ここで、前回も紹介したコラム(高橋洋一先生の「俗論を撃つ!」第2回目)にある

『国債購入による量的緩和を日銀が行うと、次の期には、国債購入に利子率をかけた額だけ、日銀から政府への納付金が増える。それは日銀が国債を保有している限り続く。そこで、それらの現在価値の総和をとると、国債購入額に等しくなる。これが通貨発行益(シニョレッジ)だ』

を参考にしたいのですが、わかりずらいので、日銀の「バランスシート」をみてもらいましょう。

「バランスシート」の左側の欄(借方)、右側(貸方)となっていますが、山田真哉先生の本では借方を「私」、貸方を「アンタ」と理解すれば良いと言われています。

「アンタ」側の項目にまず、注目してもらいたい。日銀が紙幣を印刷することによって、「負債と純資産」の中の「発行銀行券」と「当座預金」の額が増える。これらの合計額が「シニョレッジ」の源泉で「マネタリーベース」と言っているものである。

それに呼応するかたちで「私」側の「資産」の中に「国債」と「リスク資産」の購入分が増加し、バランスするというわけです。このことを、上の文章は言っているのです。

日銀は銀行券(無利子の負債)を発行することによって、保有する有利子の資産(国債、貸付金等)から発生する利息収入という利益、つまり、通貨発行益(シニョレッジ)を独占していることになります。

「負債」がどうして「収益」を生むのでしょうか? 皆さんは不思議に思われませんでしょうか?

この「仕組み」を逆に言うと日銀の通貨発行益(シニョレッジ)を独占できる権利が「マネー」を生み、その結果として「資産」が増大しているのです。

この夢のような「仕組み」ははたして日銀だけののものなんでしょうか? この「仕組み」をより深く考えることによって私たちはおもいもよらない事実、『ゼロ・トウ・ワン』ピーター・ティールの「隠れた真実」、『東大の数学入試問題を楽しむ(数学のクラシック鑑賞)』長岡亮介先生の「見えない真実に迫る思考」と表現してもいいくらいの出来事に遭遇すると思います。

私のコラムもこの寄稿文をもって「金融リテラシー」というテーマの最終章としたいと思います。長い間、お付き合いいただきまして有難うございました。今後、さらに、より深く「金融リテラシー」を考えられたい方は、増田丞美先生の『OCFC』の門を叩かれんことを最後につけさせていただきます。『OCFC』とは『オプション・キャッシュフロー・クラブ』の略記です。(執筆者:岩永 充)