医療保険に入るなら「給付金がもらいにくい」保険に入ろう

「どうせ医療保険に入るのなら、入院1日目からしっかり給付金が出る保険がいい」
「保険料が掛け捨てではなく、できたら元が取れる医療保険がいい」

等々と考える読者は少なくないのではないだろうか。

でも、冷静になってよく考えてみてほしい。

「入っていて良かった、本当に助かったと思える医療保険」とはどんな保険だろうか?

医療保険が本当に役立つシーンというのは、入院が想定以上に長引き、預貯金等で医療費を賄うことが難しくなる時に給付金が出る状況ではないかと筆者は考えている。

医療技術の進歩や近年の医療費削減の流れから、入院は短期化する傾向がますます強まってきており、疾病や事故などによるけがの治療で入院する場合では2~3日、手術を要する場合でも1週間程度で退院するケースが大半であると思われる。

そうであるならば、入院1日目から給付金が出た方が得であると思われがちだが、短期入院で済む治療費であれば、そもそも経済的負担が家計に大きなダメージを与えることはなく、医療保険に入っていて本当によかった、経済的に助かったと思える状況ではないだろう。

つまり、大きな疾病にかかって長期入院をすることになり、数か月以上にわたって仕事ができなくなる状況になってはじめて役立つ医療保険に加入していることが、より合理的であり経済的な備えとしても意味があると筆者は訴えたい。

保険が役に立つ機会は少なくていい


さらにいうと、会社員や公務員であれば、万一病気やけが等で入院を強いられた場合でも、有給休暇が残っていればそれを消化することで、数日間は給料が出ない状況は避けられるし、欠勤4日目からは傷病手当金がもらえて最大で1年6か月の期間は、給料(正確には、残業代等を含めない基本日給の平均)の3分の2に相当する金額が支給されるというセーフティーネットがある。

もちろん、収入の3分の1が減額されることは自身や家族の生活費をまかなう上で影響は小さくなく、収入の減少分と治療費(自己負担分)は、入院が長期化するにつれて経済的負担が大きなってくるので、なんらかの手段で備えをしておくことは賢明かもしれない。

だからこそ、医療保険では長期入院した際の治療費をまかなう保障を確保すべきであると筆者はあらためて強調したい。

一つの目安として、入院日数が60日以上になった際に給付金がもらえる医療保険はどうだろう。

がん・脳卒中・心筋梗塞などの三大疾病以外で、60日を超える長期入院をする確率は「一生に一度あるかないかというレベル」と考えられなくもないが、想定外の長期入院を強いられた時に役立つ医療保険こそ、本当に入る価値のある医療保険であるといえよう。

「2~4か月、ましてや半年以上も働けない可能性はほとんど想像できないので、もっと役に立ちそうな保険はないのか」と多くの人は感じるだろうが、そもそも保険というのは万一の際の備えであるので、役に立つ機会は多くなくていいのである。

いいかえれば、「お金がもらいにくい保険(保険金や給付金がもらえる条件がきつい保険)」は決して悪い保険ではないのだ。短期入院や短期休業などといった発生頻度が高い事態に、保険はもともと向いていなく、発生頻度が高い事態に備える保険(入院1日目から入院給付金が出る医療保険)であれば、それらの保険料は相応に高くなってしまう

実際に比較してみよう

例として、楽天生命の「ロング(60日超保障型入院保険)」という医療保険を紹介する。

特徴は、60日以内の入院は給付対象にならず、61日目から最長1095日間の長期入院に対して、給付金が支払われる。一方で、保障期間は終身で保険料は格安だ。

【楽天生命のロング(60日超保障型入院保険)】
入院日額1万円・保険期間/保険料払込期間は終身

比較例として、アフラックの「ちゃんと応える医療保険EVER」を紹介する。

特徴は、5日未満の短期入院でも給付金は一律5万円支給され、入院前後の通院対しても給付金を受け取れるタイプが用意されている。

【アフラックのちゃんと応える医療保険EVER】
入院日額1万円・保険期間/保険料払込期間は終身 入金給付なしのタイプ 

60日以下の短期入院をカバーするかどうかの差で、その他の保障内容はほぼ同条件で比較すると、楽天生命の方がアフラックより保険料は圧倒的に安いことが分かるだろう。入院給付金の支給条件を60日超の長期入院にするだけで、男女とも30歳時の加入で保険料はほぼ2分の1になる。

楽天生命の資料によれば、入院した人の約7割が20日未満で退院し、60日超入院する人は8.5%程度とのこと。相対的に長期の入院のみを保障対象にする方が、安い保険料で手厚い保障を備えた保険になりやすいので、上記のような保険料の差がでるのだ。

入院日数は高齢化するにしたがって長期化する


一方、入院日数は高齢化するにしたがって長期化する傾向にある。60歳代後半を過ぎると長期入院のリスクが高まるのだ。

具体的には、脳内出血やくも膜下出血などの脳血管疾患は、入院が長期化しやすい傾向にある。高齢期になれば、脳血管疾患は誰にでも起こる可能性がある病気だからこそ保険でしっかりと備えておきたいのが、長期入院リスクだといえよう。以下は、病気別にみる退院患者平均在院日数(厚生労働省 平成23年「患者調査」による)である。

●急性心筋梗塞 20.1日
●胃がん 22.6日
●くも膜下出血 96.1日
●脳内出血 126.9日

一般的な医療保険であれば、三大疾病無制限型といった「長期入院特約」を付加していなければ、1入院の給付日数は60日と制限されるが、「60日超保障型入院保険」であれば、61日目から最長1095日間の長期入院をカバーするのである。

念のため付言しておくが、筆者は楽天生命と利害関係はなく、「ロング」という医療保険商品を、あくまで長期入院に特化した合理的な医療保険の具体例として挙げさせて頂いた。入るべき医療保険は、実は「給付金がもらいにくい保険」であることをお分かり頂ければ幸いである。(執筆者:完山 芳男)

この記事を書いた人

完山 芳男 完山 芳男()»筆者の記事一覧 (77) http://www.greenmoneylife.com/

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表
米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。
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