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傾斜マンション問題 ~新制度でも解決できないやっかいな問題~

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傾斜マンション問題 ~新制度でも解決できないやっかいな問題~

止まらない不信感


ずさんな基礎工事により建物が傾いてしまった、いわゆる「傾斜マンション問題」についてここで行われたようなくい打ちデーターの流用があちらこちらでも行われたことが発覚し、

単に一つの工事現場の話でなくマンション業界全体の不信感につながりかねない問題になっています


幸か不幸か販売業者が日本を代表するディベロッパーであったため所有者に関してはある意味”手厚い”保証を提示しているようです。まず4/5の合意があれば全棟を建て替えして、建て替え後に同じ住戸に住んでもらい、その間の仮住まい費用や引っ越し費用や慰謝料も支払い、再入居を望まない場合には建て替え後の新築販売想定額で買い取りを保証するという内容のようです。

これは「マンション建替え円滑化法(旧)」または「区分所有法」による建替えにより同じ敷地に同様のマンションを建て、以前の区分所有者が再入居することを前提しているためこのような補償内容になるのでしょう。

ただ、これほどブランドが棄損してしまった建て替え後の新築販売想定価格はいくらになるか気になるところでありますし、いくら建て替えたといっても同じディベロッパーのマンションはもうこりごりと思う住民も多いのではないのでしょうか?

新築マンションの耐震性問題は想定外


再入居を前提とした建替えが難しい場合のマンションの建て替え方法として最近、「マンション敷地売却制度」がスタートしました。


これはマンションとその敷地を法人などに一括して売却し、新たにマンションを建設した場合は、旧所有者は再入居するのも他に転居するのも自由に選択できる制度であります。

この制度を活用できれば、違うディベロッパーによる新たな建て替えが行われ、容積率のボーナスももらえそうですし、建て替えに数年かかった後の旧所有者のそれぞれの生活に合わせて再入居するか否かを判断できそうです。

しかし、この制度の対象となる建物は旧耐震基準で建てられ、耐震性不足が認定された老朽化マンションに限定されているようであります。

新築マンションで耐震性が劣るなんてことが生じるなんてことは、はなから想定しておらず、最近できたばかりの制度であっても今回は適用できなさそうであります。

ですがこのような想定外の事態が生じた場合の一番の被害者は我々消費者でありますので、柔軟な対応方法も考えて頂き一日でも早く解決につながればと思います。(執筆者:田井 能久)

《田井 能久》
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田井 能久

執筆者:不動産鑑定士 田井 能久 田井 能久

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士 大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドに転職し、資産評価業務を担当。全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。1,000件以上の評価実績を有し特に相続や訴訟に関連する案件を得意とする。海外事業では滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」業務を行い、2015年にマレーシアの企業と業務提携開始。MM2H取得アドバイス業務や海外不動産投資アドバイスを行い(https://malaysia-longstay.com/)自身も2018年にMM2Hを取得。元愛知大学非常勤講師で現在セミナー活動もしながら各種WEBメディアに記事提供を行う。 <保有資格>:不動産鑑定士 寄稿者にメッセージを送る

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