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話題の「NISA」 メリットだけでなく、デメリットも知っておこう

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話題の「NISA」 メリットだけでなく、デメリットも知っておこう

2016年から、NISA(ニーサ・小額投資費課税制度)が変わります。


NISAとは、株や投資信託などを買った時に、運用益や配当が一定額まで非課税になる制度です。株や投資信託で儲かると、儲かった金額から所得税と復興特別所得税が支払われます。

2つの税金を合わせて、儲かった額から20.315%を引かれますが、NISA口座で取引されている株や投資信託では、この税金は引かれません。

非課税期間は、最大5年間。5年経ったら、NISA口座の資金は、特定口座や一般口座に移し替えなくてはなりません。この制度は、2027年までなので、2014年に口座をつくって投資したものは1度だけNISA口座で再運用することができますが、それ以外は、再運用はできません。

2016年から変わる2つポイント


このNISA口座が、2016年からは2つの点で変わります。


2016年から変わる「NISA」2つポイント
1. 限度枠が100万円から120万円に拡大
2. 「ジュニアNISA」が始まる

まず、今までの限度枠100万円が、120万円に拡大されます。また、新たに「ジュニアNISA」ができます。

「ジュニアNISA」とは、未成年が対象のNISA口座で、原則として親権者などが代理で運用します。投資額は、年間80万円まで。この口座に入れたお金の払い出しができるのは、18歳以降。中途解約もできますが、この場合には非課税枠は使えず、利益に対して課税されます。

また、この口座を持っている人が20歳になると、自動的に成人のNISA口座が開設されます。

NISA口座のデメリットは?


NISA口座の大きなメリットは非課税ですが、このメリットばかりが強調されているようで、デメリットについてはあまり書かれていないようなので、ここではメリットだけでなくデメリットについても具体的に見てみましょう。


たとえば、NISA口座で100万円の株を買ったとします。

この株が値上がりして150万円になったので売った場合、通常なら利益の50万円から税金10万1575円を支払うことになるので、手取りは39万8425円の儲けということになります。

ところが、NISA口座で買っている株なら、50万円がまるまる手取りになります。これは、NISA口座のメリットと言えます。

けれど、投資の場合には、必ず儲かるとは限りません。値下がりすることもあります。

仮に、値下がりしたらどういうことが起きるでしょうか。ここでは、100万円で買った株が50万円に値下がりしてしまったケースで考えてみましょう。

普通の口座なら、100万円に値が戻るまで気長に待つということができますが、NISA口座の場合には、基本的には最長5年しか置けません。5年経ったら、どんなに損をしていても、特定口座や一般口座に移さなくてはなりません

もちろん、5年経ったら口座を移さず売却するという人もいるでしょうが、100万円が50万円になり、50万円もの損をそこで確定するというのはなかなかできないという人のほうが多く、いったん特定口座や一般口座に移し、株価が回復するまで待つというケースが多いでしょうか。

問題は、NISA口座から普通の口座に投資商品を移すときですが、NISA口座では、普通の口座に移した時の価格が、その投資商品の購入価格となります。つまり、100万円で買った株であっても、NISA口座から出す時に50万円になっていたら、50万円で買った株ということになります。

そして、普通の口座に移して値が上がるまで待ち、やっと最初に買った100万円まで戻ったので売ったとします。通常なら、100万円で買った株を100万円で売るのですから、損は無いと思いがちですが、その時点で税金を10万1575円支払わなくてはなりません。

なぜなら、NISA口座から出した時に50万円だったので、この株の取得価格は50万円ということになり、50万円で買った株が100万円で売られて50万円儲かったと見なされ、儲けに対して20.315%の税金がかかってくるのです

また、NISA口座では、投資額に上限があるために、株が値下がりした時にさらに買い増して取得価格を下げるといったダイナミックな投資をしづらい面があります。加えて、NISA口座の商品は、損益通算や損の繰り越しもできません

メリットばかりが強調されがちなNISA口座ですが、投資を考えるなら、メリットばかりでなくデメリットについてもよく知って、賢く投資しましょう。(執筆者:荻原 博子)

《荻原 博子》
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荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

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