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雇用保険が65歳以上にも適用された後のお得な働き方とは

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雇用保険が65歳以上にも適用された後のお得な働き方とは

先日Yahoo!ニュースを読んでいたら、厚生労働省が雇用保険を65歳以上の方にも適用する案を、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会に、提示したと記載されておりました。


これは安倍総理が掲げる、「1億総活躍社会」を実現するための政策のひとつで、厚生労働省は来年の通常国会に、雇用保険の改正案を提出する予定のようです。

現在は65歳に達した日以後に新たに雇用される方は、勤務時間の長短にかかわらず、雇用保険に加入しません。

ただ65歳に達する日の前日に、雇用保険に加入していた方が、65歳に達した日以後も、同一の事業主に雇用されている場合には、引き続き雇用保険に加入します。

つまり65歳に達した日以後に再就職するか、それとも65歳の誕生日をまたいで同じ会社で働いているかで、取り扱いが変わるのです。

ただ65歳に達した日以後は、雇用保険の「一般の被保険者」から「高年齢継続被保険者」に変わり、保険料の徴収が免除されます。

そのため65歳に達した日以後は、雇用保険に加入しているか否かにかかわらず、保険料は徴収されません

65歳以上も適用になると


ただ雇用保険が65歳以上の方にも適用されるようになると、

65歳に達した日以後に、新たに雇用される方であっても、勤務時間などの要件を満たせば、雇用保険に加入する必要があり、そうなれば当然に保険料が徴収されます


また現在は雇用保険の高年齢継続被保険者となり、保険料の徴収が免除されている方からも、保険料が徴収されるようになります。

つまり65歳に達した日以後に再就職しても、65歳の誕生日をまたいで同じ会社で働いていても、取り扱いが変わらないようになります。

しかしそうなると後者の方が、明らかに損をしてしまうのですが、それは次のような理由があるからです。

ただ65歳に達した日以後は、雇用保険の「一般の被保険者」から「高年齢継続被保険者」に変わり、保険料の徴収が免除されます。

注:実際に保険料の徴収が免除になる時期と、高年齢継続被保険者になる時期は、事務処理上の理由から、多少のずれが生じ、保険年度の初日(4月1日)に64歳になっている方については、保険料が徴収されなくなります。

そのため65歳に達した日以後は、雇用保険に加入しているか否かにかかわらず、保険料は徴収されません。

1年以上なら日数が変わらない高年齢求職者給付金

雇用保険の被保険者であった方が、自己都合や定年などで退職して、ハローワークで所定の手続きを行った場合、次のような日数分の「基本手当」が支給されます。


≪出典:ハローワークインターネットサービス≫

ただ基本手当を受給できるのは65歳までに退職した場合であり、65歳になってから退職した場合、基本手当の代わりとして、次のような日数分の「高年齢求職者給付金」が支給されるのです。


≪出典:ハローワークインターネットサービス≫

一見してわかるように基本手当は、長く働いた方が優遇されるようになっているのに対して、高年齢求職者給付金の方は1年以上なら何年働いても、日数は変わりません

そのため雇用保険が65歳以上の方にも適用された場合、何十年も同じ会社で働き続けた方と、65歳に達した日以後に再就職して、1年程度働いた方が、同じ日数の高年齢求職者給付金を受給することになります。

これでは何十年も同じ会社で働き続けた方が、損をしてしまうことになりますが、逆にいえば65歳に達した日以後に再就職して、1年程度で退職した方は、かなりお得といえそうです。

老齢厚生年金と基本手当は併給できる


それだったら何十年も同じ会社で働き続けた方は、65歳になる前に退職して、基本手当を受給した方が良いことになります。


しかし60歳から65歳までの間に、経過的に支給されている「特別支給の老齢厚生年金」と基本手当は、併給する事ができません

つまり基本手当を受給している間は、特別支給の老齢厚生年金は支給停止になるのです。

それに対して、65歳になってから支給される「老齢厚生年金」と基本手当は、併給する事ができます

しかし65歳になってから退職した場合、「老齢厚生年金+高年齢求職者給付金」という組み合わせになってしまい、「老齢厚生年金+基本手当」という組み合わせにはなりません。

この矛盾した状態を解消するには、65歳になる少し前、つまり基本手当を受給できる年齢(65歳の誕生日の前々日まで)で退職して、65歳になってからすぐに、ハローワークで所定の手続きを行います。そうすると「老齢厚生年金+基本手当」という組み合わせになり、年金と失業手当を併給できます

要するに基本手当を受給する権利を取得するには、65歳になる前に退職する必要がありますが、実際に基本手当を受給するのは、65歳を過ぎてからでも構わないのです。

なお例えば配偶者の死亡により、遺族年金を受給できる方は、「遺族厚生年金+基本手当」という組み合わせを選べば、65歳になる前であっても、年金と失業手当を併給できます。

基本手当の支給が始まったら、それを受給している間に、次の就職先を探します。

雇用保険が65歳以上に適用された場合は上記のように、パートやアルバイトでも1年程度働いた後に退職すれば、高年齢求職者給付金を受給できます。

ですから雇用保険の面だけを考えた、一番お得な働き方とは、65歳になる少し前に退職して、まずは基本手当を受給し、その後に1年程度の短期のパートやアルバイトを繰り返し、何度も高年齢求職者給付金を受給することになります。

退職金の減額には注意する


65歳になる少し前に退職すると、基本手当と老齢厚生年金を併給でき、お得と記載しましたが、

会社が定める定年日より前に退職すると、退職金が減額される場合があります


この減額の金額が大きい場合、あえて「老齢厚生年金+高年齢求職者給付金」を選んだ方が、お得な場合もありますので、この点には注意して下さい。

また厚生労働省は厳正な認定を行なうなど、失業認定の見直しを検討しているようなので、実際に法改正が実施された場合、何度も高年齢求職者給付金を受給するのは、難しくなるかもしれません。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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