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「マイナンバーと基礎年金番号の連結」は年金記録を宙に浮かせない

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「マイナンバーと基礎年金番号の連結」は年金記録を宙に浮かせない

ついにわが家にもマイナンバーの通知カードが、簡易書留で送られてきました。


やはり私の一番の関心はマイナンバーを使うことにより、公的年金の手続きなどが、どのように変わるかになります。

しかし公的年金の手続きなどに使う基礎年金番号と、マイナンバーの連結は、日本年金機構が個人情報を流出させた問題を受け、平成28年1月から導入予定だったのが、半年から1年は延期されることになったようです。

これを良いニュースだと感じる方は多いかと思いますが、基礎年金番号とマイナンバーの連結は、デメリットばかりではなく、メリットもあると考えております。

しかもそれは一般的によく知られている、公的年金の手続きが簡素化されるというものだけでなく、年金記録に誤りを発生させない、もしくは年金記録の訂正に役立つというものです。

人為的なミスで発生した年金記録の誤り


民主党の長妻昭議員の追及により、柳沢伯夫厚生労働大臣は、平成19年2月の国会で、身元不明な年金記録、いわゆる「宙に浮いた年金記録」が、約5,000万件あると認めました。


平成26年8月に厚生労働省は、まだ約2,100万件も宙に浮いた年金記録があると発表していたので、4割程度が未解決のままです。

宙に浮いた年金記録が発生した原因は様々ありますが、人為的なミスでも発生しております。

例えば企業の社会保険事務の担当者が、厚生年金保険の資格取得届に誤った氏名や生年月日を記入して、そのまま年金事務所に提出してしまうというものです。

また人為的なミスではなく、身元を知られたくない従業員が意図的に、架空の氏名や生年月日を社会保険事務の担当者に伝え、年金事務所に提出してしまったケースもあるようです。

こういった場合は年金事務所の側が資格取得届に、戸籍謄本など公的な書類を添付させ、氏名や生年月日に間違いがないかを確認すれば、年金記録に誤りは生じなかったと思います。

しかし現在も年金事務所の窓口で、そこまで徹底した確認は行なわれておらず、原則として添付書類は必要ありません。

その代わりに資格取得届に基礎年金番号を記入させる、または事業主に本人確認を行なわせ、人為的なミスを発生させないようにしております。

これに加えて年金事務所がマイナンバーを活用して、戸籍謄本など公的な書類に記載された氏名や生年月日を確認できるようになれば、更にミスは減ると思うのです。

改ざんされる標準報酬月額と標準賞与額

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ねんきん定期便が届いたら、厚生年金保険の資格取得日(入社日)や資格喪失日(退職日)は、おそらく確認していると思います。


ただ個人的にはそれだけでなく、標準報酬月額や標準賞与額の金額も、きちんと確認してほしいと思うのです。

標準報酬月額とは厚生年金保険の被保険者が、1カ月の間に事業主から支払われる月給や各種手当などの報酬の合計額を、区切りのよい幅で区分したものになります。

また標準賞与額とは事業主から支払われた賞与の、1,000円未満を切り捨てたものになります。

つまり標準報酬月額は月給を元に算出され、標準賞与額は賞与を元に算出されるので、原則として月給と標準報酬月額、賞与と標準賞与額の間に、大きなずれは発生しません。

厚生年金保険の保険料はこの標準報酬月額や標準賞与額に、保険料率を掛けて算出されるので、月給や賞与の金額が大きい方ほど、たくさんの保険料を取られます。

ただ老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金などの金額は、標準報酬月額や標準賞与額の平均額で決まるので、たくさん保険料を納付した分だけ、年金額は多くなります。

ねんきん定期便が届いたら、この標準報酬月額や標準賞与額も確認した方が良い理由としては、事業主が実際よりも低い標準報酬月額や標準賞与額を、年金事務所に申告しているケースがあるからです

その理由として厚生年金保険の保険料は、事業主が半分を負担しているので、標準報酬月額や標準賞与額を低く申告すれば、事業主の負担が軽くなるからです。

そうなると当然に、将来に受給する可能性のある老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金などの金額が、少なくなってしまいます。

また従業員の給与からは、改ざんする前の標準報酬月額や標準賞与額に対応した保険料を控除している場合があり、そうなると年金額が少なくなるだけでなく、余計に保険料を取られていたことになるのです。

例えば標準報酬月額が30万円の保険料は26,742円になり、標準報酬月額が20万円の保険料は17,828になります。

ですから標準報酬月額が30万円から20万円に改ざんされた場合、26,742円-17,828円の8,914円を、毎月余計に取られていたことになるのです。

給与明細を保存してあるなら、十分な証拠になるため、この誤りは訂正できますが、遠い過去のものだと、保存していない場合が多いと思います。

しかしマイナンバーと基礎年金番号が連結されていれば、納税の記録などから、本来の給与の金額を推測できるので、年金記録の訂正が容易になると思うのです。

賃金台帳は3年間の保存義務がある


マイナンバーと基礎年金番号の連結は上記のように、半年から1年は延期されることになりました。


そのためこのような被害に遭った方は当面、他の方法で年金記録を訂正する必要がありますが、そのひとつは「賃金台帳」です。

賃金台帳とは事業主が従業員に給料を支払った際、その支払の都度、それぞれの従業員ごとに作成する帳簿であり、最後に記入した時から3年間保存しておく義務があることが、労働基準法に定められております

標準報酬月額や標準賞与額が実態と合っていないと感じた方は、これを事業主に請求してみるのですが、賃金台帳の作成を怠ると罰則があるので、存在しないとは言えないはずです。

また賃金台帳ほどではないにしろ、源泉徴収票、給与の振込みに使われた預金通帳、雇用契約書や労働条件通知書も役に立ちます。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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