身内はどこまで面倒見ればいい? 家族の扶養義務を考えよう

生活保護に多いのは高齢者、母子世帯、傷病・障碍者世帯


厚生労働省のデータによれば、平成24年に生活保護を受けた世帯のうち「高齢者」は43.7%、「母子世帯」は7.8%、「傷病・障碍者世帯」は30.6%、と合計82.6%になります。

バッシングされることの多い生活保護ですが、「やむを得ず」受給している人が多いのがわかります

生活保護率は全国平均で約16%。地域によっては、30%超えているところもあります。決して他人ごとではありませんし、生活保護を使うのは悪いことではありません。

働かない家族って必ず面倒見るの?


例えば、自分は若い独身女性。兄弟が働かない場合、この女性は働かない兄弟を養っていかなければならないのでしょうか?

いくら家族でもこの兄弟が働かない限り、女性が面倒をみなくてはならないとなると、将来が心配になりそうですね。

民法877条1項で、配偶者、直系血族、兄弟姉妹は家族に扶養義務があることになっています。特に厳しいのは夫婦や親が子供に対してなど自分と同水準の扶養をする義務があります。

ただし、子供から親、兄弟姉妹の関係では、相手が生活難に陥ったときに自分に余力があれば援助すべき、という義務なので、親から子、夫婦のほどは厳しい扶養義務ではありません
 

生活保護の要件

生活保護は世帯を単位として、受けるか受けないか、受けるならどの程度生活保護を受けられるか決まります

世帯とは、同一の住居に住み、生計も一にしている人たちの集まりです。

世帯単位で、収入だけでは最低生活を営めない場合に不足分を支給するのが生活保護で、8種類の扶助にはそれぞれ保護を受ける基準、額の基準が定められています。

生活保護基準は、生活保護を要する人の年齢、世帯構成、所在地などによって厚生労働大臣が定めます。

例えば、単身世帯で最低生活費とみなされる額は、東京都23区や兵庫県神戸市(1級地-1)などで約8万2000円(生活扶助のみ)、東京都青梅市や兵庫県明石市(1級地-2)などで約7万8000円(生活扶助のみ)です。

生活保護の窓口は住所地の福祉事務所です。

世帯分離で生活保護を受けられる場合も


世帯単位で生活保護の支給を決めるなら、上記の兄弟が働かない女性、この方が働いて収入を得ていれば、収入が女性自身と兄弟の生活に足りなければ生活保護を受ける…といった流れになるのでしょうか? それでは、ちょっと気の毒ですね。

こういうケースで同じ住所でも同一世帯として扱わず、特定の者だけ別に生活しているとみなして別世帯の取り扱いをされることがあります。

働けるのに働く努力をしないものがいるときは、その者だけ切り離して生活保護を受けさせず、家族だけが生活保護を受けられることもあります

この女性の場合は、ご自身は働けるようです。ご兄弟に働けない理由があるなら、兄弟だけ生活保護を受けるというのも、あり得ない話ではないでしょう

少し前、人気タレントの母や、役職につく政治家の姉が生活保護を受けていること(別には暮らしてはいました)が週刊誌などで取りざたされていましたね。

住所地の福祉事務所に相談してみましょう。

兄弟が生活保護を受けられなくても、社会保険や免除制度を利用してもらおう


生活保護を受けられなくても他の手立ても考えて見ましょう。

もし、兄弟が病気や怪我で病院にかかり、病院の支払いが高額であれば、健康保険や国民健康保険の高額療養費を申請しましょう

事前に入院などがわかっている場合は、限度額適用認定申請書を健保組合などに申請しておきましょう。年収÷12で約50万円以下の給与だと月約8万円までの支払いで済みます。

健保組合や協会けんぽで無利息で貸し付けてくれる高額療養費貸付制度もあります。国民健康保険には失業などによる減免もあります。市区町村役場へ相談してもらいましょう。

国民年金にも保険料の免除制度があります。1人での全額免除は前年の所得約57(年収約90)万円、1/4免除は前年所得約158(年収約200)万円の場合です

若くても障害年金や遺族年金はあり得るので、滞納せずに市区町村役場の年金課で相談してもらいましょう。

国からのもらえる給付金はない?

働けない場合でも、障害年金や特別障碍者手当、健康保険から傷病手当金が支給されることがあります。

失業なら雇用保険から失業給付が支給されることもあります。病気やケガで退職し、現在働けなくても失業給付の権利があれば、給付をもらえる期間を3年間延長できます。住所地のハローワークに行ってもらいましょう。

兄弟だからといって、働かない人を全面的に扶養するところまで義務はありません。自分にゆとりがあれば、できる範囲で大丈夫なはず、福祉事務所などに相談してみましょう。(執筆者:拝野 洋子)

この記事を書いた人

拝野 洋子 拝野 洋子(はいの ようこ)»筆者の記事一覧 (178) http://haiyo-fpshakaihoken3107.me/sabisu/

年金・保険・家計の節約術専門家 ファイナンシャル・プランナー
(上級資格のうちライフ、保険、タックス、相続を科目合格)
大手地方銀行にて外国為替、内国為替に携わる。税理士事務所にて、社会保険、助成金申請代行、損保代理店業務、行政書士補助、記帳代行などの業務に携わる。400件以上の電話年金相談に対応。東京都中央区で算定相談員、川崎市で街頭相談員、社団法人の労働施策アドバイザーを経験。趣味はクラリネット演奏 音楽鑑賞 読書。25年4月よりオールアバウトガイド 
<保有資格> 社会保険労務士、FP技能士2級、AFP、日商簿記2級
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