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「空き家対策法」の次は「空き地・空き部屋」問題対策が必須

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「空き家対策法」の次は「空き地・空き部屋」問題対策が必須

近年問題になりつつある空き家問題


建物を相続した人が維持管理せず、長い間放置してしまうことで景観を損ねたり、屋根や壁が崩れてしまうなどの安全性が問題になるのが空き家問題であります。

固定資産税が上げるなどのペナルティが一応定められ、解決への取り組みが少しづつ始まりましたが、それとはちょっと異なる問題として「空き地問題」もあるようです

それは土地の持ち主や境界が不明のまま放置されることで、土地の有効利用や公共事業が阻害される社会問題のようです

沖縄県に多い「所有者不明土地問題」とは

かつてテレビで見ましたが、沖縄にも古くから「所有者不明土地問題」があります。

それは、沖縄が戦争でもともとあった公図や公簿類が焼失してしまい、その後に米軍が占領するため公有地や私有地の土地所有権を確定する必要性から土地所有権認定作業が1946年から1951年に渡って行われました。

ですが、その間に何らかの事情により所有者から申請のなかった土地などが「所有者不明土地」となって現在でも多く残っているようです。

この所有者不明土地については「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」の規定に基づき、沖縄県がその管理を行っているようです

しかし、60年以上経過し、当時のいきさつを知る関係者が高齢となることで、ますます解決が困難になり、その面積は現在県全体で100ヘクタール弱にまで増えてしまっているようです。

さてこの沖縄の所有者不明土地問題は戦争により所有者を確定する資料や所有者そのものが亡くなってしまったために起きている問題でありますが、最近の全国で拡大している所有者不明などによる空き地問題は相続が発生してもそのままに放置していることがその主たる原因のようです


今後問題になる不動産の所有権の考え方

未登記であるため相続人が確定できない点は、それこそマイナンバー制を不動産所有者をひも付けするようにしてしまえば、今後の世代の相続人の確定は簡単であります

問題の本質は空き家とよく似てて、持ち主が「所有に熱意を失っている」ことではないでしょうか?

一応日本では熱意があろうがなかろうが、つまり積極的に管理しようがしまいが、不動産の「所有権」に対する絶対性を認めてきたわけであります。

ただ、高齢化社会になるにつれ自分の体でさえ誰かや何かの助けが必要になる人が増えた社会では、居住地以外の自分の土地の管理なんかとてもできない人が多くなるのは必然かも知れません。

そう考えてると空き家問題もこの空き地問題も高齢化社会で起こりうべくして起こった問題であり、おそらく今までの考え方に沿ったルールでは相当解決は難しいと思います

現在住んでいる土地を立ち退かせて道路を作ることは「公共の福祉」といえども慎重に行うことは変わりはないです。

が、このように使用の実態がない土地等を公共の用のために収用するなどの手続きは、少々乱暴かも知れせんがかなり簡素化して国や地方自治体に帰属できるようにしなければ都市そのものも共倒れになってしまうような気がします。

さらに今後は区分所有者が高齢化し居住者が歯抜けに状態になっていくマンションの「空き部屋問題」がものすごいスピードで起こってきます

不動産の所有権に対する考え方を変えなければいけない時期に来ているのかも知れません。(執筆者:田井 能久)

《田井 能久》
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田井 能久

執筆者:不動産鑑定士 田井 能久 田井 能久

株式会社 タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役/専任不動産鑑定士 大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドに転職し、資産評価業務を担当。全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。1,000件以上の評価実績を有し特に相続や訴訟に関連する案件を得意とする。海外事業では滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」業務を行い、2015年にマレーシアの企業と業務提携開始。MM2H取得アドバイス業務や海外不動産投資アドバイスを行い(https://malaysia-longstay.com/)自身も2018年にMM2Hを取得。元愛知大学非常勤講師で現在セミナー活動もしながら各種WEBメディアに記事提供を行う。 <保有資格>:不動産鑑定士 寄稿者にメッセージを送る

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