熊本地震で会社が操業停止や倒産した時に活用できる「社会保険」のまとめ

ここ最近はテレビを見ていると、熊本地震に関連したニュースが、毎日放送されております。

こういったニュースを見ていると、地震により倒壊した住宅などが映し出されておりますが、どうも被害を受けたのは、個人が所有する住宅や家財だけではないようです。

九州地方には自動車、半導体、電子などの分野で、日本を代表するメーカーと、それを支える下請事業者が集まっております

このような会社の中には、熊本地震で被害を受け、操業停止を余儀なくされているところがあり、操業できない状態が継続すると、倒産する会社が出てくるかもしれません

そうならないことを願うばかりですが、もし会社が操業停止や倒産した時には、次のような社会保険を活用したいところです。

未払賃金の立替払制度

お勤めになっていた会社が、熊本地震で被害を受け、賃金が払われないまま、倒産状態になってしまった場合、国が未払賃金の一定額を、会社に代わって立替払する制度があります。

これが労災保険の社会復帰促進等事業のひとつである、「未払賃金の立替払制度」で、独立行政法人労働者健康安全機構によって、立替払が行われております。

この制度の対象となる未払賃金は、退職した日の6カ月前から労働者健康安全機構に対して立替払を請求する日の前日までに支払日が到来している未払賃金の8割程度になりますので全額が立替払されるわけではありません

また退職した日の年齢により立替払される金額に上限が定められておりますので、未払賃金が多い場合にはその8割程度を受け取れない場合があります

制度の具体的な内容については、労働者健康安全機構のサイトの中にある、「未払賃金の立替払事業」というページを参照して下さい。

雇用保険の基本手当に関する特例措置

熊本地震で一時的に、会社が操業停止になったけれども、操業を再開したら戻る予定の方は、原則として雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当を受給できません

しかし厚生労働省は災害救助法が適用された地域については、操業を再開したら戻る予定の方でも、基本手当を受給できるようにする、特例措置を発表しました

この基本手当の受給手続きは原則として、居住地を管轄するハローワークで行います

しかし遠隔地への避難や交通の途絶などにより、そこへ行けない場合には、近くにあるハローワークで手続きができます。

また基本手当の受給手続きに必要な確認書類がない場合でも、手続きができるそうなので条件に該当しそうな方はハローワークに相談してみましょう。

雇用保険の広域求職活動費と移転費

東日本大震災の直後は、東北沿岸の基幹産業であった漁業や農業が壊滅状態にあったため地元での再就職を諦め首都圏などで再就職した方がおり、熊本地震でも同様の方が発生するかもしれません。

こういった方の経済的な負担を軽減するのが、雇用保険の「広域求職活動費」と「移転費」になります。

広域求職活動費とは

基本手当を受給できる方が、ハローワークの紹介により一定以上の遠方にある会社の面接などを受ける場合に交通費や宿泊費が支給される制度です。

移転費とは

基本手当を受給できる方が、ハローワークの紹介した職業に就くため、または公共職業安定所長の指示した公共職業訓練を受講するため、その住所や居住地を変えなければならない場合に、本人と家族の移転に必要な費用が支給される制度です。

実際にこれらを受給するには、距離数などの細かな要件があり、そのすべてを覚えるのは難しいと思うので、興味を持った方はハローワークに問い合わせ、聞いてみるのが良いと思います。

なお広域求職活動費には、ハローワークから広域求職活動の指示を受けた日の翌日から10日以内、また移転費には移転日の翌日から1カ月以内という、請求期限がありますので、最低でもこれだけは覚えておきたいところです。

労災保険の特例措置

熊本地震は午後9時頃に発生したため、労災保険の保険給付を受給できる、仕事中や通勤中にケガをした、または家族が亡くなったというケースは、少ないのかもしれません。

もしこのような条件に該当する方がいて、労災保険から保険給付を受けたい場合、労働基準監督署などに所定の書類を提出があり、その書類には事業主や医療機関から、証明をもらわなければなりません。

しかし熊本地震で会社が操業停止や倒産した場合、証明ができるような状況ではないと思いますので、労働基準監督署は現在、これらの証明がなかったとしても、書類を受け付けております

国民年金の免除制度

お勤めしている会社が熊本地震で、倒産してしまった場合には、会社で加入していた厚生年金保険の、被保険者の資格を喪失しますので、新たに国民年金に加入します。

熊本地震に被災して、住宅、家財、その他の財産の、おおむね2分の1以上の損害を受けた場合、本人が申請を行うことにより、国民年金の保険料の全部または一部の、納付を免除されますので、忘れずに手続きを行いましょう。

この免除制度の詳細について知りたい方は住所地の市区町村、近くの年金事務所、または被災者専用フリーダイヤル(0120-558-656)に、問い合わせして下さい。

ところで一時的な操業停止で仕事を休み、操業を再開したら戻る予定の方は、会社との使用関係は存続しておりますので、原則として厚生年金保険の被保険者の資格を喪失しません

また厚生年金保険と健康保険は、原則としてセットで加入しますので、健康保険の被保険者の資格も喪失しません

そのため操業を停止している間の、厚生年金保険や健康保険の保険料の納付方法については、会社の指示に従います。

なお熊本地震により会社が、財産に相当な損害を受け、納付すべき厚生年金保険や健康保険などの保険料を納付できない場合、申請により納付の猶予が受けられます。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

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1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種
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