日本では銀行口座の持ち主が亡くなってしまった場合、その口座は銀行が死亡事実を知った時点で一旦凍結されてしまう

凍結された口座から資金を引き出すには死亡した人や相続人の戸籍謄等々、書類を揃えて手続きをする必要がある。

具体的に全部でどれだけの書類が必要になるかはケースバイケースで一概には言えないがすべてが解決するまでに何度も役所と銀行を往復したりしてかなりの手間がかかることもしばしばだ。

HSBC香港の口座の持ち主が亡くなった場合

HSBC香港の口座の持ち主が亡くなった場合も同じような状況になる。銀行は口座の持ち主が亡くなったという事実を知るとその口座を凍結してしまう。

凍結解除には「検認(Probate)」という手続きが必要だ。

基本的には死亡した人と預金を相続する人の関係性をあらゆる角度から確認して相続に合理性が認められれば良いのだが、具体的に何と何を揃えてどういう順序でやればOKというわけではなく弁護士を通じてやはりケースバイケースで対応しなければならないようだ。

ちなみに私もHSBC香港に検認手続きについて電話で問い合わせたが

「裁判所に確認してほしい」

と一蹴された。

香港においてもこの手続きはかなり複雑だということがうかがえる。

知人の弁護士に問い合わせてみたら、具体的な手続きは一口では説明できないが遺言書があるのとないのでは手続きの難易度が大きく変わってくるとのことだった。

遺言書がない場合

一連の手続きを法律事務所に依頼すると日本円で150万円程度(概算)の費用がかかるとのことだ。

遺言書がある場合

費用は若干低く抑えられるようだがいずれにしてもかなり高額の費用がかかることが見込まれる。

日本と香港では家族法が違うために書類を揃えるのにかなりの業務負荷がかかるのだ。

もちろん書く書類を英文に翻訳する必要もある。

それにかかる手間も考えれば200万円以下の預金にこの手続きを行うのはほぼ意味がない

ちなみに弁護士事務所に遺言書の作成を依頼することも可能。費用はだいたい15万円とのこと。

凍結後の手間とコストを避ける2つの方法

何れにしても単独名義の口座の持ち主が突然亡くなった場合はかなりの手間とコストが必要だということを覚悟しなければならない。

それを避けるためにはどうすれば良いか?

現実的な方法が2つある。

1. ATMカードの所在と暗唱番号を信頼のおける人間に教えておく

ひとつはATMカードの所在と暗唱番号を誰か信頼のおける人間に教えておくことである。そうすれば口座の持ち主以外の人がATMから現金を引き出すことができる

「UnionPay(銀聯)」に加盟しているATMであれば海外からの引き出しも可能だから、セブン銀行などで出金すれば良い(※1)

※1:口座の持ち主が存命のうちに引き出せば問題はないはずだが、死亡後に出金をすることに香港で違法性がないかどうかは現在確認中。

ただATMから出金できるのはHKD Saving(香港ドル普通預金口座)かHKD Current(香港ドル当座預金口座)からのみになり、米ドルやユーロ、日本円口座など外貨預金口座に入っている資金は直接引き出すことはできない

なのでその場合はインターネットバンキングで両替をする必要がある。信頼できる人にインターネットバンキングのログインデータも渡しておいて、さらに使い方も教えておかなければならない。

その人がHSBC香港の使い方に慣れていれば別だが、そうでない場合はハードルが高いだろう。

2. HSBC香港口座を共同名義口座(Joint Account)にしておく

もうひとつはHSBC香港口座を共同名義口座(Joint Account)にしておくということである。

共同名義口座は2人の名義人が共同で持てる口座でATMカードもインターネットバンキングもそれぞれ別々に発行される。

こうしておけばどちらか一人が亡くなった場合でもその口座は凍結されずに残った人が継続して使ってゆくことが可能(※2)だ。

※2:日本の法律に照らした相続は発生するので注意が必要

共同名義口座を開設するためには共同名義人の2人がHSBC香港を訪れる必要がある。

もともと単独名義口座だったものをあとで共同名義に変更することも可能だ。その場合も2人でHSBC香港の窓口へ出向いて手続きをしなければならない

死亡による口座凍結を防ぐにはこれが最も現実的な方法かもしれない。(執筆者:玉利 将彦)