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レーシック離れが進んでいる「理由」と「最新事情」を安全性や費用の面で検証してみた

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レーシック離れが進んでいる「理由」と「最新事情」を安全性や費用の面で検証してみた

裸眼で見える快適な生活を夢見る筆者

筆者は近視であり長年コンタクトレンズで視力を矯正している。レンズの洗浄・消毒や管理を比較的しっかり行っていることもあり、幸いにも今まで大きな目のトラブルに見舞われたことはない。

でも、ほぼ毎日レンズを装着し適宜メガネと併用するものの、1日当たり最低でも12~15時間はコンタクトレンズを使用しているので、日常的に目の疲労やドライアイ症状には悩んでいる。

そこで、近い将来レーシック手術を受けることで視力回復を実現したいと考え、具体的な手術内容や安全性、諸費用について調べてみた。


レーシック手術に関心

読者の中には、すでにレーシック手術を受けて視力を回復した人もいるかもしれないが、近視を矯正する方法としてレーシックに関心はあるが、手術を受けることに対する不安や費用が高額なために躊躇している人も少なくないだろう。

メガネやコンタクトレンズを装着する煩わしさから解放され、

「裸眼でなんでもクリアに見える快適な日常生活」

を送れるという感動がレーシックの最大のメリットであるが、本コラムでは、レーシック手術を受けることによるデメリットはもちろんのこと、お金・費用面について考えてみたいと思う。

世界で最初のレーシック手術

世界で最初のレーシック手術は1990年にギリシャで行われたとのこと。その後、1995年にFDA/アメリカ食品医薬品局がエキシマレーザーの使用認可を出し、1998年以降レーシックが屈折矯正手術の主流となった。

近視や遠視、乱視は、目の屈折が正視よりずれることで起こり、その屈折のずれを直すのが屈折矯正手術である。

角膜をエキシマレーザーという特殊なレーザー光で削り、角膜のカーブを変えることによって屈折異常を矯正する手術方法のことを一般的にレーシック手術と呼ぶ。

手術の種類について細かくいうと、角膜をレーザー光線で削る前に、角膜表面に蓋(フラップ)を作る方法を特にLASIK(レーシック)と呼び、フラップの作り方によって、LASEKやEPI-LASIKなどといった様々な手法がある様だ。

さらに、近年ではフラップを作らないでレーザーを照射する方法(PRK)という手術方法もある。

日本では…

2000年1月に当時の厚生省がエキシマレーザーの使用認可を出してからレーシック手術が受けられるようになった。

比較的歴史が浅い手術法であるため、長期にわたる安全性が実証されていないという見方もあるが、近視に対するレーザー手術は長期的に見ても安全かつ有効であるという研究論文が、世界中で7,000本以上発表されている

レーシック手術は角膜にレーザーを照射するための専用の医療機器が必要ではあるが、手術自体は15分程度で終わり比較的難易度が低い。よって、眼科の手術としてレーシックはすでに確立された術式で安全性や有効性は十分に確認されている。

要は、信頼のおける医療機関で手術を受け、術後のアフターフォローをしっかり実施してもらえるのであればレーシック手術は大丈夫だと考えていいだろう。

尚、レーシックは全ての人が受けられるわけではない。生まれつき角膜が薄い人や、極度の近視である場合は、レーシック手術そのものが受けられないケースも稀にあるようだ。

レーシック手術が激減! その真相とは

先日、産経新聞で「レーシック手術が激減! その真相とは」という記事が載っていた。

2008年に約45万件だったレーシックの手術件数が2009 年から減り始め、2012年は約20万件と半減し2014年には手術件数が約5万件へと激減しているとのこと。

記事の中で、慶応大学医学部の根岸准教授は、

「2008年は手術件数が多いが、同年9月に起きたリーマンショック以降は件数が大幅に減少した。レーシック手術は保険適応でなく、ある程度の費用がかかるだけに、減ったのは景気の影響ではないか」

とコメントをされている。

手術費用

医療機関にもよるが、手術費用は片目で10万円~30万円程度かかり、全額が自費診療となるため、経済的な事情で手術をあきらめた人も少なくないかもしれない。

角膜感染被害が発生



また、記事でも言及されている様に、レーシックをめぐっては2008年7月から2009年1月の間に、東京都中央区にあった「銀座眼科」で手術を受けた患者の多数に角膜感染被害が発生した。


結果として、同眼科の患者7人に不正乱視や角膜混濁など後遺症が出る細菌性角膜炎を発症させたとして、同眼科の元院長は起訴され、業務上過失傷害罪で禁固2年の実刑判決が確定している。

同眼科は破格の安値でレーシック手術を行い多数の患者を集めていたが、その代償として衛生管理を十分にしていなかったため「レーシック集団感染事件」を引き起こしたということだろう。

つまり、角膜感染の発症は、基本的な衛生管理を怠ったまま手術をしたことによるもので、レーシック手術自体の問題ではないということだ。

衛生管理の問題ではあるが…悪いイメージが広がる

でも、この事件が大きく報じられたことで、「レーシック手術は危ない」という悪いイメージが広まり、このことが手術離れにつながった可能性はある。

一方で、眼鏡をファッションアイテムとする「メガネブーム」の高まりや、コンタクトレンズの性能が格段に良くなったこともレーシック手術減少の一因だと推測することもできるだろう。

医療費控除の申請ができる


レーシック手術は公的医療保険の対象外なので、手術費用は自由診療となり全額を自己負担することになる。また、当然だが手術費用に消費税が課税される。

ただし、確定申告で医療費控除を申請することで、所得税・住民税の還付を通じて、手術費用の一部を取り戻すことは可能だ。

「レーシック手術が、医療費控除の対象となる医療費として認められるかどうかは税務署によって取り扱いが異なる?!」

といった誤解もあるようだが、レーシック手術は、眼の機能を医学的な方法で正常な状態に回復させるものなので、それに係る費用は医師の診療または治療の対価と認められ、医療費控除の対象となる。レーシック手術を受ける際は必ず医療費控除を申請しよう。

控除例

例えば、年収450万円の会社員でレーシック手術費用として40万円かかった場合、医療費控除で税金がいくら還付されるかを以下の前提のもと簡易に計算すると所得税・住民税合わせて8万円が還付される。

前提条件としてレーシック手術以外の医療費(生計を一にする家族が支払った医療費の合計)を年間10万円とした。給与所得控除や各種控除を勘案すると所得税率は10%、住民税は10%(所得金額にかかわらず全国一律)となる。

また、生命保険などで医療費が補填される金額や、健康保険などから支給される高額療養費などはないものものとする

(A) 50万円(レーシック手術40万円+その他の医療費10万円)
(B) 0円(保険金などで補填される金額)
(C) 10万円(総所得金額が200万円以上の控除額)
医療費控除を申請したことによる還付される税額
{ (A) - (B) - (C) }× 20%(所得税10% + 住民税10%)=8万円

医療費控除の対象となる医療費については、国税庁タックスアンサーの該当ページにて各自確認をして欲しい。

お客様からのよくある質問

「高額なレーシック手術の費用を抑えるために、これから民間の生保の医療保険に入ることは有効ですか?」

レーシック手術を受けるにあたり、医療保険で手術給付金が出るのかどうかは多くの読者も気になるところだと思うが、残念ながら、これから新規に医療保険に加入してレーシック手術を受けても手術給付金は出ない

過去に加入された契約であれば給付金の対象になる医療保険もある

現在、民間の保険会社で販売されている医療保険では、レーシック手術は手術給付金の給付対象から除外されている。

かつては、レーシックも給付金の対象になっていた時期もあったが、2007年4月に各保険会社が約款の改定を行い、それ以降の新規加入ではレーシックは手術給付金の対象外となったからだ。

したがって、

『契約日が2007年4月1日以前の医療保険』

手術給付金の対象となる場合があり、対象となればレーシック手術において5万円~10万円程度が給付される可能性はある。

給付金の対象になるかどうかを含め契約の詳細は、加入している医療保険ごとに異なるので、長く医療保険に加入している読者は、取り扱う保険会社に問い合わせてみてはどうだろう。

手術の有効性は確立されているがリスクはある

レーシック手術は安全性や有効性は確立されているとはいうものの、手術で角膜を削る以上、どの眼科クリニックで手術を受けた場合でもある程度のリスクはある。つまり、角膜は一度削ったら元に戻らないためリスクはゼロではない。

ネット上などではバラ色の効果をうたうものも多いが、術後に何らかの症状がある患者も少なくないということは肝に銘じておこう。ちなみに、屈折矯正手術に伴う角膜感染症の発生頻度は5,000例に1例程度とされている。

手術を受けるかどうかを最終判断する前に、受診した眼科クリニックに、レーシック手術が失敗した場合、再度手術を受けられるかどうか、またどのようなサポートがあるのかについてしっかり確認することが大切だ。


手術を受けた友人・知人から筆者が聞いた話…

最近はレーシック手術を受ける人が多いので、友人や身近で手術を受けたことがある人に術後の感想を聞いておくのも安心材料になるかもしない。

筆者が、レーシック手術で視力回復をした友人・知人から訊いた「ネガティブな感想や術後の経過等」をお伝えしておこう。

・夜間に光が眩しいと感じることがある

・ドライアイ(術前のコンタクトレンズを使用していた頃よりは症状はマシだが)

・術後5年以上経過しているが、少し近視が戻ってきた

・手術後も定期的に通院をする必要があるので、それなりに費用かかる

・レーシックで近視は治ったが、老眼の症状が際立ってきて近くのものが見えにくくなった。

安心して手術を受けられるクリニックを見つけましょう

術後の経過や視力の回復具合は個人差があるので、必ずしもネガティブに捉える必要はないと思われるが、複数の眼科クリニックで実際に診察・検査を受けてみて、手術件数等の実績や費用、アフターフォロー体制を総合的に考慮し、ここであれば安心してレーシック手術を受けられると自分自身で判断できるクリニックを見つけよう。

手術費用の安さ(両眼で7万円という格安費用を謳うクリニックもある?)だけで医療機関を決めるのは賢明ではない。また、受診したその日にレーシック手術を強く進めてくる医療機関も避けた方がいいだろう。

そして、レーシック手術を受ける場合は、必ず医療費控除を申請すること、そして加入中の医療保険で給付金が受給できるかどうかを忘れずに確認しよう。(執筆者:完山 芳男)

《完山 芳男》
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完山 芳男

完山 芳男

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表 米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。 寄稿者にメッセージを送る

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