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子供がいない夫婦は住宅を持ち続ける必要があるのか?

ローン 住宅ローン
子供がいない夫婦は住宅を持ち続ける必要があるのか?

住宅購入をどう考えるか


住宅購入は人生のなかで、もっとも慎重な決断が求められる買物です。

先日、住宅ローンの借換え相談に訪れた40代後半のご夫婦から「子供がいない夫婦が住宅を持ち続ける必要があるのでしょうか?」という衝撃な質問がございました。

住宅購入を決断した理由として「将来の子供のために」と答えるご夫婦が少なくありませんが、残念ながら子供部屋の予定が物置部屋になってしまっている場合も起こりうるでしょう。

住宅購入後の悩みの多くは「生活スタイルの変化」が要因です

しかし、90歳まで生きることを想定した生活設計(ライフプラン)を考えたときに「住宅を買う」意味が違ってくるのではないでしょうか。

今回は、住宅購入後の基本的な考え方をについてお伝えします。

住宅を持っていると老後生活の糧となる?

夫婦2人の世帯は「教育費」や「資金贈与」の可能性が低いからといっても一生賃貸で暮らし続けるお金が貯められるとは限りません。

内閣府の高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(平成27年度)では、50代までに行った老後の備えの主なものとして「預貯金」や「個人年金への加入」とした一方で、4割の高齢者は「何もしていない」ことが明らかになっています。

全体的には、5割を超える高齢者がお金の問題で悩んでいる現実を鑑みると、「教育費などの支出がない世帯」だからといって老後資金対策が準備されているとはいえないようです

老後資金不足の背景としては、若い時期から老後を見据えて準備を始めてこなかったことが、高齢者の貧困割合が高い理由にあります

住宅は古くれば財産にならないともいいますが、定年後、賃貸のアパート代を払い続けることを考えると、自己所有の自宅は気持ち的に余裕が生まれやすいといえるのではないでしょうか。

家賃を先払いしているという考え方もできる

住宅ローンで家を買うことに悲観的なご意見もございますが、「家賃を先払いしているように考えることもできる」と思うのです

筆者は、家の価値を実感できるのは返済が終わった時からだと考えています。

相談にお越しになるお客様には、住宅ローンの返済は「年金に似て近いもの」と説明することがあります。年金は40年・住宅ローンは最長35年と長い年月を払い続けていかなければなりませんが、完済後は老後の糧となるものなのです。

ローン返済後の家賃分が数万円かもしれませんが、公的年金は円安、インフレとなれば減額される可能性はあります。老後資産形成のひとつとして、住宅は老後生活の糧になるのではないでしょうか。

住宅ローン返済予定の65歳前後がもっとも貯蓄が減る?


65歳前後の資金流れをについて考えてみたことがある人はどのぐらいおられるのでしよう。

率直な意見としては「その時になってみないと判らないという」のが答えなのではないでしょうか。

一般家庭の4人家族モデルのケースですと65歳前後の出費として、結婚資金・住宅資金の援助・お孫さんへの学費援助などで平均すると約1,000万円ものお金を消費しているといいます。

お子さんのおられないご家庭では、子育て関連費用の1,000万円は基本的には不要になりますが、後期高齢者医療制度の対象となる75歳を超えると状況が変わってくることに注意が必要です。

頼れる肉親がいないご家庭では、病気などで介護が必要となると、他人の手を借りる決断をしなければなりません。75歳を超える夫婦は、どちらかに介護が必要になるケースをよく見かけます

単純に答えが出せるわけでありませんが、仮に在宅療養で介護費を5年分用意するとなると300万円以上の費用が必要となります

若い人の手を借りることができないのであれば、基本的に外部の介護事業所に委託せざるを得ないと認識しておく必要があります。

住居費、食費等、日用品等のお金は年金で賄うとしても、夫婦二人分の介護費用は早めに準備しておく必要はあるでしょう。住宅費の心配が少ない分、老後の費用・葬儀費用をしっかり考えましょう

終活と住宅の関係


高齢者夫婦のみの世帯では、どちらかが先立つと残ったパートナーが財産を引き継ぐことになりますが、全てが相続できるというわけではないので気を付けなければなりません

仮に、ご主人が先に他界されたときに、ご主人のご両親(直系尊属)が健在である場合、相続財産にあたる1/3が遺産の相続分として発生します

両親がいない場合でも兄弟(兄弟姉妹)がいれば遺産を1/4を請求される可能性もあります

夫婦のみの世帯だと、相続のことについて関心が低く「遺された配偶者に全財産が相続されると誤解」している人が少なくありません。ここが夫婦のみ世帯の盲点なのです。

この対策としては「遺言」をしたためておくことが望ましいでしよう

自宅も相続財産の対象ではありますが…

「住み慣れた家で配偶者暮らし続ける権利」として民法の改正や居住権を保障すべきとの意見が多くなっており、自宅を追い出される懸念は低いといえます。

ちらみに現金・有価証券など遺産は、遺言が有効となれば遺留分の心配がないため兄弟姉妹に遺産を分割する心配がなくなります。

夫婦のみでも相続時にトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではないようです。年齢に関係なく、「遺言」を作っておくことをおすすめします

「住宅をもつ不安は誰も感じています」でも大丈夫!

目先の損得で物事を考えてしまうと迷います。コツコツと地道に向き合っていくと、確実に資産形成できるようになっていくはずです

ちょっとして不安でも大きく感じるのが人の癖みたいなもの。1万円得するより5,000円損するほうが痛いと感じのではないでしようか。

数10年後の生活を考えられるようになると「住宅を買って後悔した」という感情がどこかへ消えていくかもしれません。(執筆者:村井 一則)

《村井 一則》
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村井 一則

村井 一則

ノーリエ合同会社 代表社員 北海道札幌市出身。理容師免許取得後サロン勤務・管理職・店舗経営を経て、2004年に訪問理美容の専門事業を展開。事業拡大に伴い2011年4月にノーリエ合同会社を設立。現在、福祉系FPの年金アドバイザーとして、老後の資産設計や介護に関する悩みをお持ちの方のご相談のサポートとして活躍。メール無料相談も実施中しておりますので困ったことがありましたらお気軽にお尋ねください。 寄稿者にメッセージを送る

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