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投資は「資産配分」が9割 銘柄選択やタイミングは気にしなくていい

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投資は「資産配分」が9割 銘柄選択やタイミングは気にしなくていい

アメリカの心理学者のアルバート・メラビアンが1971年に提唱した、「メラビアンの法則」というものがあります。

このメラビアンの法則によると、ある人物の第一印象は次のように、5割程度は「視覚情報」を元に作られているそうです。

・ 見た目、しぐさ、表情などの「視覚情報」:55%

・ 声の大きさや質、話し方、話の速さなどの「聴覚情報」:38%

・ 話の内容などの「言語情報」:7%

つまり話の内容などの言語情報は、ほとんど第一印象に影響を与えず、それより見た目や声の方が圧倒的に重要ということになり、少し意外な感じがするかもしれません。

このように重要だと思っていたことが、実はあまり重要でなかったという話は、投資の世界にもあります。


投資の成果の9割程度は「資産配分」によって決まる

例えば皆さんが投資を始めようとした場合、どの株式や債券を購入するか、またそれをいつ購入するかを決めるのに、かなり頭を使うと思います。

その一方で、例えば手持ちの資金の30%は株式、50%は債券に投資して、残りの20%は投資しないで預貯金で保有しておくというような、「資産配分」を決めるのに、あまり頭を使わないと思います

この理由として「銘柄選択」と、それを売買する「タイミング」こそが、投資の成果を左右すると考えているからです

しかしブリンソン、フッド、ビーバウワーらが、1974年から10年間に渡って、アメリカの80の年金基金の運用について調査し、1986年に発表した論文によると、投資の成果は次のように、9割程度は資産配分によって決まるそうです

・ 資産配分:93.6%
・ 銘柄選択:4.2%
・ タイミング:1.7%

その後にもアメリカの投資信託会社であるバンガードによって、同様の調査が実施され、「資産配分が影響を与えるのは77%」という、上記の論文ほどではないにしろ、資産配分が重要という結論が出されております。

資産配分の変更で激しく乱高下する公的年金の積立金

公的年金の積立金は、「年金積立金管理運用独立行政法人(以下では「GPIF」で記述)」により、国内債券、外国債券、日本株式、外国株式などで運用されております。

従来は国内債券を中心にした、安定した運用が行われてきましたが、安倍総理の指示により2014年10月から、日本株式と外国株式の比率が、それぞれ12%から25%に引き上げされました

これにより2014年度の積立金の黒字額は、過去最高を更新しましたが、翌年度の第2四半期(7~9月)は一転して、積立金の赤字額が過去最悪を更新しました。

こういった公的年金の積立金の、激しい乱高下を見ていると、資産配分が投資の成果に与える影響の大きさを、感じられると思うのです。

「100マイナス年齢」が株式に配分する資金の目安

個人で投資をする場合にも、GPIFの運用を参考にして、国内債券、外国債券、日本株式、外国株式といった4つの資産を、選択すれば良いと思います

また激しい乱高下を怖いと感じる方は、かつてのGPIFのように、国内債券を中心にした投資を行い、逆に怖いと感じない方は、現在のGPIFのように、日本株式と外国株式の比率を、高めにしていけば良いと思います。

これは「リスク許容度」を元に、債券と株式の比率を決める方法ですが、年齢を元にこれらの比率を、決める方法もあるのです

それは株式の比率を「100マイナス年齢」にするというもので、例えば30歳なら70%、50歳なら50%、70歳なら30%を株式に配分して、残りは債券に配分します

この理由としては若いほど、定年までの期間が長くなるため、投資で失敗したとしても、それを労働による収入で取り戻せるからです。

一方、高齢になるほど、定年までの期間が短くなるため、投資の失敗を労働による収入で、取り戻せなくなるからです。

なお日本株式と外国株式の比率については、世界の株式市場の時価総額比率から考えて、「日本:10%、外国:90%」というのが、ひとつの目安になると思います


公的年金の積立金の8割程度は「パッシブ運用」

株式について記載された雑誌などを見ると、「ドナルド・トランプ大統領の政策により値上がりする銘柄」や、「AI(人工知能)の発展により値上がりする銘柄」などといった特集を、最近はよく見かけます。

しかし上記のように銘柄選択が、投資の成果に与える影響は、4.2%にすぎないのですから、この点で悩むのは、時間がもったいないと思うのです。

そこで時間をかけないため、GPIFの運用を参考にしてみると、国内債券、外国債券、日本株式、外国株式のそれぞれについて、8割程度は「パッシブ運用」を実施しており、「アクティブ運用」は2割程度にすぎないとわかります

パッシブ運用とは

このパッシブ運用とは、TOPIX(東証株価指数)などの指数と、同じような値動きを目指す運用方法で、目標はあくまで市場平均並みの、投資成果を確保することです

アクティブ運用とは

それに対してアクティブ運用とは、運用責任者であるファンド・マネージャーなどが、投資対象や市場などの調査や分析を行ったうえで、投資対象を決定し、市場平均を上回る投資成果を目指す運用方法です。

公的年金の積立金の激しい乱高下を見ると、GPIFは何かリスクの高いことをやっているように感じますが、それぞれの資産の8割程度は、市場平均並みの投資成果で良いという、けっこう堅実な運用をしているとわかります

個人が日本株式でパッシブ運用を実施したい場合

個人がGPIFと同じように、パッシブ運用を実施したい場合、例えば日本株式については、TOPIXに連動した運用を目指す「インデックスファンド」を、購入すれば良いのです。

また国内債券、外国債券、外国株式についても、それぞれに対応したインデックスファンドが、多くの金融機関で発売されているので、それを購入するのです。

株式や債券の売買は一定のルールを決めて実施する


株式や債券の売買のタイミングが投資の成果に与える影響は、上記のように1.7%にすぎませんから、銘柄選択以上に時間をかける必要はないと思います

ですから例えば会社員であれば、給与の振込口座から、毎月決まった日に、決まった金額を、自動的に引き落とし、それぞれの資産に対応したインデックスファンドを、購入するように設定しておけば、購入のタイミングを決めるのに時間がかかりません。

また売却についても、自分がお金を必要とする時に、必要な分だけ売却すると決めておけば、タイミングを決めるのに時間がかかりません

投資でもっとも大切なのは資産配分であり、これを考えるのに時間をかける必要がありますが、売買のタイミングについては、このように一定のルールを決めて実施し、時間をかけて考える必要はないと思うのです。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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