確定申告の提出が始まっています(平成28年分は平成29年3月15日まで)。

サラリーマンの多くの人が年末調整を行っているでしょうし、最近話題のふるさと納税も「5か所以内」、「ワンストップ特例の手続き」など条件を満たしていれば確定申告は不要なので、今年も税務署に行かない人は多いと思います。

確定申告の必要がないサラリーマンにとって「義務」ではありませんが、「確定申告書作成」の経験は、自分が生活する上で必要な税金に関する知識を高める上で非常に価値があります

年末調整で生命保険控除を申告し忘れた人や、住宅ローン控除の手続き(住宅借入金等特別控除証明書と残高証明書の提出)を忘れた人も確定申告で手続きできます。あきらめる必要はありません。

また確定申告書の作成はパソコンでできます。提出の必要がない人も、作ってみればきっと新たな発見があります。

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≪私もやってます≫

確定申告しなければいけない人、したほうがいい人

確定申告が必要な人

・給与年収が2000万円超の人

・1事業所から給与を受け、給与や退職金以外の所得合計が20万円超の人(不動産所得や事業所得がある人など)

・2つ以上の事業者から給与・賃金を受けている人

・被災し、前年の給与に源泉徴収税額の徴収猶予・還付を受けた人

・懸賞や福引きの賞金品や競馬などの公営ギャンブルで50万円以上の利益が出た人(勝った馬券の収入-馬券購入費>50万円)(負けた馬券の購入費は経費になりません)

・遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等を受け取った人

・生命保険の一時金を受け取った人

・FX取引などで利益が出た人

給与以外にも収入がある人はほとんどの場合確定申告が必要です。

確定申告をしたほうがいい人

・高額な医療費を支払った人(所得金額の5%あるいは10万円以上)

・中途退職し、年末調整を受けていない人

・2000円以上の寄付をした人(ふるさと納税など)

・住宅を購入し、住宅ローンを組んだ人(次年度以降は年末調整)

・配偶者と離婚、死別した人(寡夫・寡婦控除 収入による)

・災害又は盗難若しくは横領にあった人

・子供の国民年金を負担している人

・小規模企業共済、確定拠出年金に加入している人(年末調整した人は除く)

・マイホームを売却した人(マイホーム売却時に受けられる「譲渡所得の特別控除」や「軽減税率の適用」などの特例は確定申告が適用の条件になります)

・株式の売買で損失が出た人

・FX取引などで損失が出た人

など様々なケースがあります。(詳細は国税庁HP、税務署、税理士などにご確認ください)

よくあるのは医療費控除や、住宅ローン控除ですがその他にもさまざまなケースで確定申告をしたほうが良い場合があります

株式や投資信託の売買やFXで損が出た場合、申告しておかないと来年以降に損失を繰り越せません(繰り越すと来年利益が出た時に今年の損失分を差し引けます)。

確定申告をする人はふるさと納税のワンストップ特例は使えませんので注意が必要です。

払うべき税金を払わなければおとがめを受けますが、払い過ぎても教えてくれません

自分の収入と支出を把握し、どのような場合に所得税が変わるのかを理解すれば、自分の税金の内訳が理解でき、税金を払い過ぎている場合に取り戻すことができます。

作成前に準備するもの


申告書の作成を進めるにはさまざまな書類が必要です。

・源泉徴収票
・生命保険料(介護医療・年金保険含む)控除証明書、地震保険料控除証明書、住宅ローンの残高証明書、確定拠出年金などの払込証明書(年末調整済みの人は源泉徴収票に反映済み)
・株や投資信託、FXなどの取引がある人は金融機関発行の取引報告書(ネットでダウンロードできる金融機関もあります)
・ふるさと納税や指定機関への寄付を行った場合の寄付証明

などなどいろいろな書類があります。

その年の収入・支出の記録は全部保管しておきましょう。

記録がない人、見つからない人は仕方がないのでとりあえず作成作業を進めます。(不動産所得や事業所得がある人はそれぞれの事業の収支を計算しておく必要がありますが、詳細は割愛します。)

確定申告書の作成はパソコンで


さて、確定申告の手続きは「確定申告書」を作成し、必要な添付書類を添え、今年からはマイナンバーの記入とマイナンバーカードあるいは通知書と本人確認書類をもって税務署に行くことになります。(e-taxの手続きをしていれば自宅からパソコンでも手続きが可能です)

自分で確定申告書の作成をしてみると

1. 所得税の仕組みが理解できる
2. いろいろなシミュレーションができる

というメリットがあります。

作成はパソコンで行います。国税庁のホームページで「確定申告書作成コーナー」(確定申告で検索すれば出てきます)をクリックしてスタートします。

次のページ以降、
「作成開始」⇒「書面で提出」⇒パソコンの環境などを確認(提出しない方はプリンターがつながっていなくてもとりあえず全部チェック)「事前準備完了 次へ」

「所得税コーナー」に入ると次のページで過去のデータが読み込めます。

本人や家族のデータ、給与や年金の支払い者の情報、住宅ローン控除を受ける場合の居住開始日などの情報などの過去に入力した情報のほか、過去に損失を申告し、繰り越せる金額がある場合には過去のデータが使えます。

次のページでは「給与・年金の方」、「左記以外の収入がある方」、「選択がわからない方」の三つのボタンがありますが、ここでは真ん中の赤いボタン(左記以外の収入がある方)を選択します。

「書面で提出する」を再度選択し生年月日を入力、その後の記入を進めます。

なお、記入したデータは、自動的に税務署に提出されてしまうようなことはありませんからご安心ください。

次のページからいよいよ本格的に入力するページになります。

「収入・所得」

最初のページは「収入・所得」の入力ページです。すべての項目を入力する必要はありません。わかるところから入力していけばOKです。

まずは給与所得から始めましょう。

「入力する」ボタンを押すと、源泉徴収票のサンプルがあり、どの欄の数字をどこに記入するか丁寧な説明があります。

年末調整されている人はその情報も源泉徴収票に反映されていますのでここで一気に入力できます。

給与や年金以外の所得・収入がある人はそれぞれ該当があるところに入力します。それぞれの項目の横に「?」マークがついています。

これをクリックするとそれぞれの説明を見ることができます。

「所得控除」

次は「所得控除」です。

ここで入力したデータをもとに所得の一部が控除されます。

所得控除にもさまざまな項目があることがわかります。該当のあるものを入力します。源泉徴収票ですでに控除されている項目は、給与所得の入力で記入していますので既に入力されているはずです。

医療費控除や寄付金控除などもここにあります。配偶者控除・配偶者特別控除などは配偶者の収入を記入すると自動的に控除額が計算されます。

医療費控除はとりあえず総額だけでも把握しましょう。医療費が10万1,000円で控除対象が1,000円ならば、それだけのために確定申告するのは労力のほうがかかるでしょう。

他にも申告する項目がある、あるいは申告しなければいけない人はついでにやったほうがいいでしょう。

所得控除は課税所得が下がります。所得税は所得が多いほど税率が上がる「累進課税」ですので、所得が多い人ほど控除額が大きくなります。

個人型確定拠出年金の掛金は全額所得控除になります。パートなどで収入が103万円を超え、所得税がかかるのでは?という場合でも所得控除によって103万円以内に収まる可能性があります。

また、課税所得が330万円以下の人では特定口座で自動的に引かれる源泉徴収税額よりも低い10%の税率になるので払い過ぎになり、確定申告で取り戻すことができます。

「税額控除」

次は「税額控除」です。

税額控除は税額を直接引き下げます。住宅ローン控除などはここに入ります。税額控除に該当する場合に所得控除よりも大きな効果が出ることがありますが、支払う所得税額以上の金額が戻ってくることはありません。

ふるさと納税は「寄付金控除(所得控除)」ですが、政党やNPO法人など一部の団体に寄付した金額は「寄付金特別控除(税額控除)」となるものもあります。

税額控除には「その他の項目」欄もありますがここでは割愛します

ここまで入力すれば、確定申告書は完成です。

自分で入力した人だけができるシミュレーション

確定申告・女性

せっかく入力したのでいろいろ試してみましょう。

例えば、ふるさと納税はいくらまでできたのか。

ふるさと納税サイトでは予測した所得から概算の適用枠の計算ができますが、ここで入力した数字はリアルな数字です

ここで、枠が余っていたことに気が付いてももう遅いのですが、来年の参考として知っておく価値はあるでしょう。

その他にも、生命保険控除や配偶者控除などの数字を入力したり変えてみることもできます。親の収入が少ない場合に親を扶養に入れるシミュレーションもできそうです。

これらは数字を入れ替えるだけで控除額や納める税金の額、還付される税金の額がリアルタイムで変わり、わかりやすいと思います。

いかがでしょうか。
ちょっと時間はかかりますが、自分のリアルな数字で何がどう変わるのかがわかりますので興味が湧くと思いますし、税金の課税の仕組みや、どんな控除項目があるかを知ることにより、自分のお金を有効に活用する役に立つと思います。

めんどくさがらずに自分で手続きした人だけが知ることができる「お得な情報」が確定申告にはたくさん隠れているように思いませんか?(執筆者:西山 広高)