先月、NHKの「あさイチ」で「富女子」の特集がありました。

この中で金融コンサルタント・永田雄三氏のセミナーが紹介され、プログラムのひとつに、「5年で1,000万円を目標に貯蓄計画を立てる」というものがありました。

5年で1,000万円はインパクトがあり、それ以来、

「なぜ5年なんだろう?」
「なぜ1,000万円なんだろう?」

と気になって、私なりに考えてみました。

その結果、「新社会人は、3年以内に手取り年収の1年分を貯めましょう」というアイデアに達しました。

目標達成の確率50%がいちばん真剣になる

3年以内に1年分という事は、最低でも貯蓄率を33%にするという事です。

支出の中で大きいのが住居費です。自宅から通勤する方、寮に入る方、ひとり暮らしされる方、状況に応じて貯蓄がしやすい方、大変な方がいると思います。

また、収入が多い方、少ない方によっても貯めやすさは変わってきます。額ではなく率にしているのはこのためです。

貯めやすい方は、目標達成までの期間は3年にはこだわらず、期間を早め、2年でも2年半にしても構いません。

ポイント

目標達成の確率が50%程度になるように期間を設定するということです。

難しい目標では「最初から無理」と考えて真剣になれないし、簡単な目標でも真剣になれないからです。

まずは支出をコントロールするのが重要

資産形成の方法は

1. 収入を増やす
2. 支出を減らす
3. 運用する(利回りを高める)

このうち収入を増やすことと支出を減らすことは、資産形成の源泉となります。また「収入 ― 支出」は会社でいう利益にあたります。この利益が、貯蓄となり、投資元本となるわけです。

収入は自分で決められないが、支出は自分で決められる。支出は自分でコントロールできるので重要度は高くなります

33%も貯蓄に回すとなると、支出項目を真剣に考えるようになります。

使えるお金が少ないため、

「この買い物は必要かどうか」
「この支出の優先順位は?」
「いつ・いくら必要だから少しずつ貯めておこう」
「お金をかけずにできないか」

など、様々なことを考えます。

貯蓄力UP

つまり、自分の価値観を考え、将来の支出に備えて積立し、創意工夫するようになります。そうすることによって自身の貯蓄力が高まります。

また、新社会人には7月までに、あらゆる金融機関から、勧誘の声がかかります。33%も貯蓄に回せば、言いなりのまま金融商品を買うことはないでしょう。

どんな商品かを調べ、本当に必要かどうか真剣に考えて決めるはずです。

資産運用にも良い影響がある

私は、投資するには最低限の資格があると思っています。それは、

・ 十分な預貯金があること
・ 毎月の余剰資金で投資すること

長期投資といいますが、長期投資するためには、長期間、投資したお金に頼らなくていい経済基盤が必要です。

多くの人は景気が悪いとお金に困り、多くの投資は景気が悪いと値下がりします。投資対象が値下がりしたとき、お金を必要とするのです。

十分な貯蓄は予想外の支出への備え、毎月の貯蓄は予定支出をあらかじめ積み立てた後の余剰金です。

金融の知識を学ぶ

 
目標達成したあと、一生懸命貯めたお金をどうしましょう。ましてや手取り年収1年分の投資先には真剣になるはずです。投資先を選択するために勉強するはずです。

3年という歳月は経済基盤を作るためだけでなく金融の知識を学ぶための期間でもあるのです。

また、あなたには3年間で培った貯蓄力があります。運用がうまくいかずマイナスになったとしても、貯蓄力のおかげで回復は早いでしょう。
 
この3年間で、あなたのファイナンシャルインテリジェンス(お金に関する知識)は相当高くなっているはずです。 (執筆者:田島 稔之)