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「給与が払われない…」そんな時は国が立て替えしてくれる「未払賃金立替払制度」を活用しよう

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「給与が払われない…」そんな時は国が立て替えしてくれる「未払賃金立替払制度」を活用しよう
「会社が倒産して給与が支払われない」

「会社が事実上休止してしまって退職したが、数か月分の給与を支払ってもらえない


今まさにこのような悩みに直面していたり、今自分が働いている会社がそういうことになったらと不安になっている方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、企業倒産などに給与が支払われないまま退職した労働者の方に対して、未払いである給与の一部を立替払いする制度をご紹介したいと思います。

「未払賃金立替払」制度とは

「未払賃金立替払」制度は、企業倒産などにより賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一部を国がその会社などに代わって立替払する制度です。

あくまでも「立替払」ということになり、立替えられて支払われた賃金は、国が労働者に代わり会社などに求償しています。

「立替払」を受けることができる要件とは

「立替払」を受ける要件とは、「会社」と「労働者」についてそれぞれあります。

(1) 「会社」について、以下の2項目の要件を満たす必要があります。

【項目1】 1年以上事業活動を行っていたこと

労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業として1年以上にわたって事業活動を行ってきた会社

【項目2】倒産したこと

「倒産したこと」とは、大きく分けて次の2つの場合があります。

法律上の倒産】(破産、特別清算、民事再生、会社更生)

この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。

事実上の倒産】(中小企業で、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がないなど)

事業活動に著しい支障を生じたことにより労働者に賃金を支払えない状態になったことが必要です。

(2) 「労働者本人」について、以下の項目の要件を満たす必要があります

基準日(※1)の6か月前の日から2年の間に退職した場合に限られます。

※1 基準日とは、

会社が、(法律上の倒産の場合)倒産について裁判所への申立て等、又は(事実上の倒産の場合)労働基準監督署への認定申請を行った日

のことを指します。

また、パートタイマーやアルバイトとして働いていた方であっても、国籍、雇用形態等を問わず未払賃金の立替払の対象労働者となります

H29.4.1に「会社が倒産について裁判所への申立て等や労働基準監督署への認定申請」を行った場合


立替払の対象となる「未払賃金」とは

立替払の対象となる「未払賃金」は、定期的に支払われる給与や退職金となります

ボーナス(賞与)や賃金でないもの(実費弁償としての旅費や用品代、解雇予告手当など)は対象とはなりません

また、立替払の額は、未払賃金総額(労働者が退職した日の6か月前から、労働者が立替払請求日の前日までに支払期日が到来している金額)の全額ではなく8割です

ただし、未払賃金総額には、退職日の年齢によって上限額(88万円~296万円の範囲)があります

「未払賃金立替払」制度の申請は

「未払賃金立替払」制度に関する申請書類一式が最寄りの労働基準監督署に置いてあります。

また、「未払賃金立替払」の請求先である「独立行政法人 労働者健康安全機構」のホームページからも申請書類一式がダウンロードできます。

立替払の請求ができる期間は、基準日(※1)の翌日から起算して2年以内に未払賃金の立替払請求書を「独立行政法人 労働者健康安全機構」に提出しなければなりません。

この期間を過ぎた場合は立替払を受けることはできません。

まずは、「未払賃金立替払」制度をご自身が使えるかどうか、最寄りの労働基準監督署にご相談ください。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)

《高橋 豊》
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高橋 豊

ゆたか社会保険労務士事務所 代表 大学卒業後、中堅企業にて労働関係法規や社会保険関係法規等に絡む業務、社内研修などの企画立案・実施、新卒採用などの人材採用・人事を経験。社会保険労務士事務所開業後は、企業に対して「人材がやめない企業づくり」をモットーに各種制度提案、就業規則等の作成、退職金制度設計、助成金申請などを行い、個人に対しては、遺族年金・障害年金等の複雑な年金請求のサポートを行っている。また、大学や短大でキャリア教育講座の講師を務めており、学生の就職活動支援なども行っている。 <保有資格> 社会保険労務士、宅地建物取引士、管理業務主任者 ・愛知県雇用労働相談センター 相談員 寄稿者にメッセージを送る

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