※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

「老後はマンション投資の家賃収入で安泰」を待ち受ける落とし穴

投資 不動産投資
「老後はマンション投資の家賃収入で安泰」を待ち受ける落とし穴

マンション投資の賃料収入で老後は安泰か?


「年金があてにならない中で、マンション投資なら確実な賃料収入が安定的に老後をささえます」

こんな宣伝文句に、心惹かれる方もいるのではないでしょうか。

しかも、

「1,000万円の投資で、年間100万円の家賃収入。利回りなんと10%。頭金ゼロでもオーケー。節税効果もあります」

などといわれたら、なおさら興味が増します。

「年金に10万円を上乗せできたら、楽な生活ができる」などと思うのではないでしょうか。

では、「1,000万円の投資で、年間100万円の家賃収入。頭金ゼロ。節税効果あり」と言うのは、本当に魅力的な投資話なのでしょうか。

1,000万円のマンションで、年間100万円の家賃収入ということは、月約8万3,000円の家賃だということです。

都心でも、築10~20年くらいの中古マンションなら、1DKでこれくらいの賃料が取れる物件はあります。

1,000万円の物件、総返済額は約1,727万円

ここでまず注意しなくてはいけないのは、1,000万円の物件といっても、1,000万円では買えないとうこと。

中古物件の場合、業者への手数料が3%プラス6万円というところが多く、さらに、登記費用や司法書士報酬、ローン事務手数料などで合計10%、つまり1,100万円が必要。

さらに、クリーニング、リフォーム、エアコンや電子レンジなども付いていないと借り手がないので、こうした費用を50万円とすると、この1,150万円が必要で、これを全額ローンで借りるとして計算しましょう。

投資用マンションのローン金利は通常の住宅ローンよりも少し高めなので、2~5%。仮に1,150万円を3.5%、25年返済で借りると、総返済額は約1,727万円。

月々の返済額は、約5万8,000円になります。

そうすると、家賃が月8万3,000円入ったとしても、約5万8,000円がローンの支払いで消えるので、手元に残るのは2万5,000円となります。

マンション経営では、ランニングコストもバカにならない!

月々2万5,000円でも手元に残るならいいと思われるかたもいらっしゃるでしょう。

けれど、さらにここから、物件のランニングコストが引かれます

マンションを買ったら、管理費、修繕積立金、固定資産税、各種保険料を支払わなくてはなりません

これらが月に2万5,000円とすると、手取りはこの支払いをするとゼロになります。

さらに、自分でいちいち毎月の家賃を徴収するのは大変なので、入居者の募集から家賃徴収までを不動産業者に委託するケースが一般的ですが、これが家賃の5~7%

これで、月5,000円前後の持ち出しということになります。

ただし、月5,000円での持ち出しで済むのは、マンションの家賃がローンの終わる25年後まで変わらず、常に誰かが借りていて空室がない場合です。

通常は、マンションは古くなればなるほど、家賃が下がっていきます

当初は8万代で貸し出せたマンションが、古くなるにしたがって7万円代、6万円台と下がっていくと思ったほうがいいでしょう。

そうなると、持ち出しはさらに膨らみます。

また、25年間まったく空室になることがないという物件は、まず1,000万円では買えないでしょう

年平均1か月空室になれば、その1か月分家賃収入は無くなり、ローンの8万3,000円は全額自己負担しなくてはなりません。

加えて、エアコンが壊れたり、トイレが詰まったりした時の費用も、その都度、マンションオーナーが全額持ち出しで負担します

投資用マンションは、老朽化が早い?!


ローンが終わるまで、かなり自己負担が多いマンション経営ですが、25年後にローンがなくなれば、そこからはプラスに転じて老後の収入になるのでしょうか?

確かに、ローンの支払いが終われば物件は自分のものになりますが、ただ、買った時に築10~20年のマンションは、25年経つと築35~45年

通常のマンションでも、そろそろ建て替えという時期を迎えます。

実は、投資用マンションは、通常マンションよりも老朽化がかなり早く進む懸念があります

通常のマンションの場合には、終の住処としてファミリーで住んでいるケースが多いので、マンションの管理組合などがマンションを長持ちさせるために修繕をしっかりしています。

けれど、賃貸マンションの場合には、借りている人は老朽化したら別のところに引っ越せばいいので、通常のマンショ人比べてメンテナンスが粗雑になりがち。

しかも、1DKに住んでいるのは独身者が多いので、マンションをメンテナンスしようなどという発想もないでしょう。

そうなると、通常のマンションより速いスピードでマンションの老朽化は進みます

多額の持ち出しをして、やっと自分のものになったと思ったら、物件はボロボロなどという事態になっていないとも限りません。

ただでさえ、オリンピックが終わるとマンション不況が来ると言われています

それだけに、いま、安易にマンション投資になど手を出すべきではないでしょう。(執筆者:荻原 博子)

《荻原 博子》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集