健康保険の扶養に入れば、健康診断を受診できます(詳細は加入先による差異はありますが)。

しかし被扶養者の未受診が多く、来年度からは健康保険料に跳ね返りそうな動きも出ています。

健康保険被扶養者の受けられる保障

健康保険が医療において果たす役割は、大きく下記2つに分かれます。

(1) 医療費の負担を保険給付により原則3割に抑える

(2) 病気療養に伴う休業や、産前・産後休業中の休業保障

健康保険に加入し保険料を負担している会社員は「被保険者」、扶養に入るほうは「被扶養者」となりますが、(1) は両者共通で受けられる保障となります。

一方(2) は被保険者のみの保障となります。

出産育児一時金であれば被扶養者の出産でももらえますが、傷病手当金や出産手当金は会社員の休業保障ですので、基本的に被扶養者に関わるものではありません

健康診断に関しては病気予防のために行うものですが、(1) の医療費負担に関わることでもあります。

40歳~74歳が対象の特定健康診査(特定健診)は被扶養者も受けることができ、その他の健診に関しても加入先によっては受診できるものがあります

被扶養者の健診受診率が4割台 被保険者8割台と大差

被扶養者の健診受診率については、特定健康診査の実施率(2015年度)において被保険者が85.5%なのに対し、被扶養者は42.1%にとどまると健康保険組合連合会が発表しています。

健康保険の加入先は健康保険組合・協会けんぽなどですが、特定健康診査は2008年度から加入先側団体(加入者側の個人ではない)に実施義務が定められました。

実施するからには、被扶養者を含めた加入者の受診率が低いのは問題と見ています。

被扶養者の特定健診受診率を向上させようという動きは、国(厚生労働省)が推奨しています。

なぜ受診率が低調なのか?

被保険者である会社員であれば、健康診断については職場で周知されるため、体調管理の一環から受診するのが一般的です。

ただ普段職場にいることがない被扶養者に関しては、健診を受けられることを知る機会が乏しいとも言えます。

被扶養者未受診が健康保険料上昇につながる可能性も

扶養に入った場合に、健康保険料を払わずに医療費3割負担の特典を受けるということは、見方を変えれば被扶養者にも医療費の7割は保険給付がされていることになります。

少子高齢化の中、国民医療費は年々増え続け40兆円台にまで達しました。

健診を受けずにいたことで病巣の発見が遅れ、医療費が膨らむような事態は国も防ぎたいと思っています。

特定健診実施率の低い健康保険組合等には、2018年度からペナルティ(国へ納めることになる後期高齢者支援金の加算率)を引き上げる方針にもなっています

加入者個人の健康保険料に影響してくる可能性もありますし、被扶養者の低受診率問題は大きくなっていくものと考えられます。

最後に

各月で上限が設けられる高額療養費制度もあわせて、被扶養者も健康保険制度を活用する権利があるわけですが、一方で各健康保険組合や協会けんぽを通じて国が求めている役割も理解する必要はあります。

マイナンバーカード発行により利用できるマイナポータルで、健康診断のお知らせを通知する機能が組み込まれることも考えられます。(執筆者:石谷 彰彦)