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これから不動産投資を始める人が心得ておくべきこと

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これから不動産投資を始める人が心得ておくべきこと

不動産投資は昔から存在します。

ただ、昔は一部の資産家がその資産である土地を貸したり、建物を建てて貸すことが中心で、一般個人が投資を目的に不動産を購入し、経営することはまれでした。

ここ数年、昔からの資産家ではない「一般の方」(サラリーマンや公務員の方など)が不動産投資を始めるケースが増えています。

「頭金がなくても、土地がなくても不動産投資ができる」、「入居率が高い物件だけを紹介する」と宣伝する会社もありますが、結果としてうまくいかないこともあり得ます。

では、不動産投資を始めるためにはどんなことを心得ておけばよいのでしょうか。

「不動産投資」は「事業」


不動産投資は事業です。


投資用不動産を購入した場合は自宅など居住用不動産の購入と違い、原則として「消費者契約法」の対象外になります。

消費者契約法は「事業者」と「消費者」の間で行われた契約が対象ですが、不動産投資の場合はたとえワンルームマンション1戸でも投資家は「事業者」として扱われます。(自宅が留守の間だけ貸すなどの場合は除きます)

ですので、当然「事業者」として望まなければなりません。

「当初想定していた利回りで回らない」
「想定していた賃料では入居者が入らない」
「入居していた賃借人がすぐに退去してしまった」

などがあっても契約の解除はできません。

よほど悪質な業者の嘘のセールストークや不法行為でもない限り、無償解除することはできなくなります。クーリングオフの対象にもなりません

不動産業者は販売することによる利益、売買契約を締結することによる仲介手数料の受領が目的ですので、買ってくれなければ儲けるポイントがありません。

そのため、リスクをあまり説明せず、メリットを強調し、購入者をその気にさせようとする傾向があります。

投資用不動産を購入する際は「事業者になる」という自覚を持ち、自分なりにしっかり分析・検討し、納得して取り組むとともに、「消費者」としての保護は受けられないことを認識する必要があります。

考えられるリスク


不動産投資でどのようなリスクがあるかについて十分に理解しておかなければなりません。


主なリスクとしては

1. 空室リスク
2. 金利変動リスク
3. 家賃変動リスク
4. 物件価格の下落リスク
5. 災害リスク

などがあります。

その他にも、管理会社の質、入居者同士や近隣とのトラブルなど様々なリスクがあります。

どのようなリスクがあり、どのようにすれば回避できるのか、どの程度のリスクまで許容できるのかを知っておかなければいけません。

不動産投資の目的

不動産投資にはいくつかの目的があり、投資家それぞれで優先順位が変わってきます。

不動産投資の目的には

1. 家賃収入による所得(インカムゲイン)を得る
2. 不動産売買による値上がり益を狙う(キャピタルゲイン)
3. 生命保険と同等の効果を得る事
4. 税金対策
  (ア)相続税対策
  (イ)所得税の節税

これらのうち、どのメリットを得ることを優先するかにより、不動産投資のスタンスも変わります。

1. 家賃収入による所得(インカムゲイン)を得る

初めて不動産投資に取り組もうと考える人の中で最も多い目的が「家賃収入による所得を得ること」ではないでしょうか。

確かに、購入時から順調に満室で稼働している物件の場合、毎月家賃収入による所得が得られます。

一方、不動産は保有しているだけでもコストがかかります。

固定資産税・都市計画税、管理費、修繕積立金などがかかるほか、入退去の際のクリーニングやリフォーム、取得費を借入により調達した場合には利息もコストです。

借入金の元本返済も当然必要です。空室に募集をかけるときには広告費がかかることもあります。

これらのコストを差し引いた後の手残りが思った以上に少ない、あるいは赤字になってしまうということも珍しくありません

表面利回りと実質利回り

多くの不動産業者が「表面利回り(=年間想定家賃収入/物件取得価格)」を表示していますが、さまざまなコストも併せて検討した「実質利回り」を検証することが必要です。

これらのコストで多くの物件は表面利回りから2~3%、場合によっては5%近く実質利回りを押し下げることになります。

2. 不動産売買による値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う

バブルの頃までは「不動産神話」、すなわち「不動産の価格は下がらない」と盲目的に信じられていました(今考えれば不思議ですが)。

しかし、バブル崩壊後不動産価格は商業地も住宅地も価格が大きく下がりました。

以降、単純に「買ったものを売る」だけでは大きなキャピタルゲインを得ることは難しくなっています。(一部の商業地などではバブル期の価格を回復しているところも出てきていますが、住宅地はほぼすべての場所でバブル期の価格に遠く及びません)

よほど安い価格で購入できた場合はキャピタルゲインを得られる場合がありますが、そのような物件はほとんど市場に出ません。

購入後のリフォームなどで付加価値を付けた場合などに、購入価格+付加価値分を売却価格が上回るという場合がありますが、この場合には結構な手間が必要でサラリーマン投資家が片手間でやるのは難しいでしょう。

3. 生命保険と同等の効果を得る

不動産投資をする際、多くの投資家は「借入れ」により資金を調達します。個人の方が不動産投資をする際は「アパートローン」を組むことになるでしょう。

ローンを組む際には多くの場合「団体信用生命保険」に加入することになります。

文字通り、生命保険ですから、借入れた人がローン残債のある間に死亡または高度障害を負ったような場合、その残債分が保険により金融機関に支払われます。

借入金がなくなり投資物件は残るので、その後の家賃収入は税金など一部コストの負担は必要ですが、ほとんどが相続人の収入になります。

不動産投資のキャッシュフローが赤字でも生命保険に入っていると考えれば…という考え方もあります。

しかし、不動産投資をされている方の中には、赤字が大きく、一般の生命保険のほうが安い、という人もいますのでやはり事前のリスク検討は重要です。

4. 税金対策

相続税対策


不動産投資による節税効果で非常に効果が高いと考えられるのは「相続税対策」です。

現預金を多く持っている人にとって相続発生時の相続税対策、すなわち、いかに多くの資産を次の世代に残すか、というのは大きな課題です。

相続税を節税するためにはいくつかの方法がありますが、その一つは「相続税評価額を圧縮する」ということです。

投資用不動産に限らず、不動産は実勢価格よりも低い価額で評価されます。

建物の評価

建物は固定資産税評価額での評価になり、実勢価格の7割程度になるケースが多くなります。

さらに「貸家」として評価され、固定資産税評価額から貸家割合でさらに30%減額になります。

土地の評価

土地は相続税路線価での評価になり、実勢価格の8割程度。

さらに、貸家建付け地としての評価で30%減。

小規模宅地の特例等が利用できればさらに50%減になります(適用条件は確認が必要です)

これらの評価減が相続税対策に繋がります。

このように相続税対策としての不動産の活用には効果がありますが、先に述べた、物件価格の下落や空室・家賃変動のリスクなどにより、想定していた効果が薄れる可能性もありますので注意が必要です

また、不動産は相続の際にもめやすい資産であることも意識しておく必要があります。

どのように相続するのかも考慮しておくべきでしょう。

所得税の節税

所得税を計算する際、「総合課税制度」の対象となる所得は合算します(総合課税制度の対象となる所得については別途ご確認ください)。

不動産事業の所得も対象ですので赤字が出ている場合、給与所得などと合算することで所得税を減額する効果があります。

多額の資産・収入があり、所得税額を抑えたいというニーズがある方には効果がある節税方法ですが、すべての人に効果的な方法とは言えません。

まとめ


このように、不動産投資にはメリット・デメリット、目的に応じた投資法があります。


いずれにしても、しっかりと分析をし、自分の期待しているパフォーマンスが得られるかどうかを検証したうえで始めることが必要です。

不動産投資は手元資金があまりなくても始められることがあります。手元資金を使わないと「自らが投資している」という実感がないまま大きな投資をすることにもなりかねません。

しかし、不動産投資は事業です。1000万以上、数億円規模の投資までありえますが、その金額の分だけリスクも高いといえます。

どのような投資法でもそうですが「簡単に儲かる」ものはありません。さまざまな知識を得、分析・検討し、良い物件に出会えた時に自信をもって投資することが重要です。(執筆者:西山 広高)

《西山 広高》
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西山 広高

西山 広高

西山ライフデザイン株式会社 代表取締役 慶應義塾大学卒。大手建設会社に入社し、主に建築営業とお客様の不動産の活用提案業務に従事。2015年に退職、西山ライフデザインを設立。ファイナンシャル・プランニングと不動産の知識と経験でクライアントの「ワンダフルライフ」の実現をサポートする。趣味は2006年から始めたマラソン。第1回東京マラソンに出場。その後、ウルトラマラソンやトレイルランニングの大会も出場、完走歴あり。妻と2人の子供の4人家族。1968年生まれ。東京都大田区在住。 <保有資格>:宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、住宅ローンアドバイザー、ビジネス法務エキスパート 寄稿者にメッセージを送る

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