今回は、健康を損い、保険料の支払いに窮したケースで役に立つ保険の知識を紹介します。
病気やケガで就業不能となった場合など、保険料を支払えないからと保険を諦める人も多いですが、保険料の支払いが不要となるケースもあることを知っておきましょう。
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目次
高度障害保険金を請求する
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生命保険で保障されるのは、死亡時だけではないことをご存知でしょうか。
「高度障害状態」になったときも、保険金(死亡保険金と同額)を請求することができます。この保険金を「高度障害保険金」と呼びます。
高度障害保険金が支払われると、同時に保険契約は終了し、保険料の支払いも不要です。
請求できる条件は以下のとおりです。
所定の高度障害状態とは
約款には、所定の高度障害状態として以下のように記載されています。
約款の文言は少しわかりづらいので、【具体的な状態】もそれぞれ説明します。
1. 両眼の視力を全く永久に失ったもの
【具体的な状態】両眼を失明した状態。矯正視力が0.02以下で回復の見込みがない。
2. 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
【具体的な状態】音声言語による意思の疎通がまったくできない状態(失語症、声帯全摘など)。または、そしゃくの機能障害で流動食以外のものが摂取できない状態。
3. 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
【具体的な状態】脳から脊髄まで続く神経の中心部・精神、呼吸器、循環器などの障害により、介護なしでは生活できない状態。
(1) 食物の摂取
(2) 排便・排尿・その後の始末
(3) 衣服の着脱・起居・歩行・入浴
いずれも自力でできない状態。
4. 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
【具体的な状態】両腕を失ったか、まったく動かなくなった状態(完全硬直)。
5. 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
【具体的な状態】両足を失ったか、まったく動かなくなった状態(完全硬直)。
6. 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
【具体的な状態】片腕を失い、かつ片足を失ったかまったく動かなくなった状態(完全硬直)。
7. 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
【具体的な状態】片腕がまったく動かない(完全硬直)、かつ片足を失った状態。
高度障害保険金を受け取る条件
・高度傷害状態の原因が、保険の責任開始日以後の傷害(不慮の事故)または疾病であること
・約款所定の高度傷害状態に該当すること
・症状の回復が見込めないこと
・保険会社所定の診断書に、医師がこれらを証明すること
これらの状態をすべて満たした場合のみ、高度障害保険金を受け取ることができます。
例えば、一時的に両腕が動かなくなり、リハビリをすれば回復する、というケースは対象外です。
保険料払い込み免除
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一般的な生命保険は、不慮の事故からその日を含めて180日以内に、被保険者(学資保険の場合は契約者)が所定の身体障害状態になったとき、以後の保険料の支払いが不要です。
所定の身体障害状態の例
・ 1眼の視力を全く永久に失ったもの
・ 両耳の聴力を全く永久に失ったもの
・ 脊柱に著しい奇形または運動障害を永久に残すものなど
高度障害保険金の支払い要件はどの保険会社もほとんど差がない一方、保険料免除の条件である「所定の身体障害状態」は保険会社によってさまざまです。
ご契約の保険の約款を確認し、どのようなときに保険料が免除となるのか確認しておきましょう。
保険料免除が認められれば、以後の保険料は不要となり、保障は満期まで継続されます。
商品によってはその他の状態で保険料免除となる場合も
保険料免除特約(特則)のついた契約なら、上記以外にも一定の状態となったときに保険料の支払いが免除となります。主な要件を以下に列挙します。
・三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)と診断されたとき(入院や手術、労働制限があることが条件になるものもある)
・所定の身体障害状態になったとき(視力・聴力の障害や、上肢・下肢(手指含む)の障害、内臓の障害など)
・所定の介護状態が継続しているとき
この条件も保険会社や保険商品によってかなり差があります。
もしこの特約をつけるのであれば、比較的条件が厳しくないものを選ぶことがポイントです。
大病を患ったり身体が不自由な中、保険料を払い込むことなく保険を継続できれば、保険はよりありがたい存在となるでしょう。
保険を賢く役立てましょう
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高度障害保険金の支払い、保険料免除に該当する条件は、いずれも「回復の見込みがない」ことが条件であるなど、非常に重篤な状態に限られています。しかしだからこそ、困ったときに役立つ機能です。
保険料の支払いに窮したとき、役に立つ保険の機能を4回にわたって紹介してきました。保険料が払えないとき、解約ばかりができることではありません。
保険を有効に役立てるため、ぜひ参考にしてみてください。(執筆者:近藤 あやこ)
【「保険料の支払いが苦しい」時の対応シリーズ】
第1弾:払済保険と延長保険
第2弾:減額・特約解約と転換
第3弾:自動振替貸付と契約者貸付
第4弾:高度障害保険金 ←いまここ