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仮想通貨・2種類の医療費控除…新論点は確定申告前にチェックしよう

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仮想通貨・2種類の医療費控除…新論点は確定申告前にチェックしよう

12月に国税庁が仮想通貨(ビットコインなど)の具体的な計算例などQ&A形式で発表し(国税庁のサイト(PDF))、仮想通貨投資家には年内の税金対策に動く一助になっています。

その他、確定申告書作成コーナーの入り口となるサイト(後述)で、平成29年分より活用できるセルフメディケーション税制のシミュレーションもできます。

仮想通貨の所得は原則総合課税の雑所得


今回のQ&Aは、9月に公表したタックスアンサーを具体化したものです。


ビットコインの使用により生じた利益が総合課税の雑所得(ただし個人事業の決済で使用している場合、仮想通貨取引を事業としている場合は事業所得)であることを具体的に説明したものです。

この使用とは、投資したものを利益確定して円に換金するだけでなく、

・(ビックカメラなど)仮想通貨が使える店舗等での商品購入
・他の仮想通貨への換金

においても所得が発生することを意味しています。

ただしビットコイン→ビットコインゴールドなど、仮想通貨の分裂までは対象としていません。商品購入価格や換金時の円価格が、収入金額とみなされます。

総合課税雑所得の損失は、他の所得と損益通算できない

ビットコインの取引が総合課税の雑所得に該当し、そこで損失が生じたとしても、給与所得など雑所得以外の所得と相殺することはできません

また、FX・商品先物取引など先物取引等に係る雑所得は、法令で定められた分離課税の雑所得ですので、ここから相殺することもできません。

たとえ仮想通貨の取引がFXのような証拠金取引であったとしても、総合課税の雑所得に該当することをQ&Aで明らかにしています。

総合課税雑所得内の内部通算は可能

ただし「損益通算」とは別に各所得内で通算できる「内部通算」の概念があり、仮想通貨の損失は同じ総合課税の雑所得内では通算可能です。代表的なものには、

・定期的にもらえる年金収入(公的年金の他、個人年金のような私的年金含む)
・時給制でない副業の所得

があります。

したがって、仮想通貨取引の他に平成29年内に生じうる雑所得があれば、損出しすることで税金対策を行うことも考えられます

セルフメディケーションと通常型医療費控除の比較


国税庁の平成29年分確定申告書作成コーナーは平成30年1月4日から利用できる予定です。


ただ、12月には準備編として開設しており、その中で「平成29年より始まるセルフメディケーション税制と通常型医療費控除ではどちらが有利なのかをシミュレーションできるコーナー」を設けています(ただし給与所得者向けです)。

シミュレーション例

例えば

・給与年収400万円
・配偶者は扶養範囲内
・16歳以上扶養親族1人
・控除対象の医療費が14万円

うち、セルフメディケーション税制対象の医薬品購入額が6万円

のケースでは、

・通常型医療費控除では控除額40,000円、所得税減税額が2,000円程度
・セルフメディケーション税制では控除額48,000円、所得税減税額が2,500円程度

となり、セルフメディケーション税制が有利なケースとわかります。

ちなみに医療費控除額の数式は

通常型:医療費の額―10万円(*) 
*給与年収約311万円以下の場合、10万円を下回り給与所得の額×5%
    ※控除額上限は200万円

セルフメディケーション税制:医薬品購入額―12,000円
    ※控除額上限は8.8万円

となります。支出額を今のうちに集計し、シミュレーションを進めるといいでしょう。(執筆者:石谷 彰彦)

関連記事:仮想通貨どこで買うのがよいの? お勧めの「取引所」はココ!


《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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