※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

ユーラシア・グループの「世界10大リスク」発表について解説します

ビジネス 経済
ユーラシア・グループの「世界10大リスク」発表について解説します

ユーラシア・グループ(Eurasia Group)は、地政学的リスク分析を専門とするコンサルティング会社のさきがけとして有名なシンクタンクで、毎年年初に世界10大リスクを発表していて、その内容は全世界の政治や経済の関係者たちが注目しています。


≪画像元:ユーラシア・グループ 世界10大リスク

年ごとに比較するために過去の10大リスクから時系列に追いかけてみましょう

2016年10大リスク

1. 同盟の空洞化
2. 閉ざされた欧州
3. 中国の存在感
4. 「イスラム国」と支援者
5. サウジアラビア
6. 科学技術者の興隆
7. 予想できない指導者達
8. ブラジル
9. 十分でない選挙
10. トルコ

2017年10大リスク

1. わが道を行くアメリカ
2. 中国の過剰反応
3. 弱体化するメルケル
4. 改革の欠如 新興国などで構造改革進展なし
5. テクノロジーと中東
6. 中央銀行の政治化
7. ホワイトハウス対シリコンバレー
8. トルコ
9. 北朝鮮
10. 南アフリカ

でした。そしていよいよ今年です。

2018年10大リスク

1. 中国は真空状態を愛す(米国不在の間隙:真空状態をついて中国の影響拡大)
2. 偶発的なアクシデント
3. 世界的なテクノロジーの冷戦
4. メキシコ
5. 米・イラン関係
6. 組織・機関の衰え
7. 保護主義2.0
8. 英国
9. 南アジアの政治
10. アフリカの安全

2018年は国際的に中国の影響力が強まるとみられている


≪画像元:ユーラシア・グループ 世界10大リスク

中国は広域経済圏構想「一帯一路」やインフラ投資などを通じて、関係国への影響力を強めると予測、存在感の低下する米国の間隙(= 真空状態)を突くように中国が台頭する状況を、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は「中国は真空状態を愛す」と独特の表現で評しました。

トランプ大統領が登場したことと中国が世界的に台頭してくるタイミング、これは何かあるのでしょうか。

はたして歴史の偶然なのでしょうか。

地球上におけるトランプ大統領の誕生は、全世界の内なる闇を表にしたような気がして仕方がありません。

保護主義政策は、アメリカからヨーロッパへと広がっているようです

欧米という今までの世界の牽引国が内向き政策をとっている間に中国の世界戦略が進められる、まさに

世界のリーダーを放棄し自国保護主義に徹するアメリカ

世界の中心、リーダーに一気に駆け上ろうとしている中国


という構図が、2018年以降の世界的テーマになりそうです。

テクノロジー面でも中国の技術力は高まっている


≪画像元:ユーラシア・グループ 世界10大リスク

テクノロジー面でもAIやスーパーコンピューターの分野で中国の技術力が高まり、IT技術を独占してきた米国とのあつれきが強まると指摘しています。

なにせ中国のネット決済人口は5億人ですからね。

世界スタンダード獲得争いということで、これを制したほうが世界のリーダーになれるということでしょう。

2位の「偶発的なアクシデント」に関しては、欧米など先進国の影響力が弱まっていることから、北朝鮮やシリアなどで国際的な紛争が起きるリスクが高まっていると指摘しています。

北朝鮮問題に関しても、中国が大きな鍵を握っています

2016年からの10大リスクを見てくれば、中国がその中心にいることがはっきりとわかると思います。その存在感が年を追うごとに強くなってきています。

経済的にもいずれ中国はGDPで米国を抜くことでしょう。

アフリカでの中国マネーの勢いは止まらず、一帯一路政策は、まさに中国マネーが世界を制圧する政策と言えます。

日本企業に関係が深い項目も


日本企業に関係が深い項目として、4位に「メキシコ」が挙げられました。

2018年に予定される大統領選で反米を掲げる候補が当選すれば、外資導入など従来の経済重視路線が変更を迫られ、進出する日本企業も影響を受けかねないと指摘しています。

米国とのNAFTA交渉の進展具合で、万が一、米国が離脱することになれば、メキシコ・ペソは暴落です

その際、米国は返す刀で、日本にFTAを迫って来ることも予想されます。これは大きな円高要因となります

5位には核合意を巡って関係悪化が進む「米国・イラン関係」を、8位に欧州連合(EU)離脱の実質的な交渉期限が迫る「英国」などを挙げました。

イランの反政府デモは、中東の原油価格にも影響を及ぼしています。

中東で気になるのは、やはり、トランプ大統領によるイスラエルの首都としてエルサレムを容認するという発言です。

イスラエルとイラン、米国のからみ、2016年のリスクに挙げられたサウジアラビア、2017年のリスクに挙げられたトルコ、中東をめぐるリスクは、今後拡大する危険性を秘めているといえるのかもしれませんね。

中国の存在感、それはアジアにおいても、それこそ貿易面で欧州やオセアニアにおいても、そしてインフラ投資でのアフリカにおいて、つまりは全世界において強まってくる、その第一歩が2018年という年ではないでしょうか。(執筆者:原 彰宏)

《原 彰宏》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

原 彰宏

原 彰宏

株式会社アイウイッシュ 代表取締役 関西学院大学卒業。大阪府生。吉富製薬株式会社(現田辺三菱製薬株式会社)、JTB日本交通公社(現(株)ジェイティービー)を経て独立。独学でCFP取得。現在独立系FPと して活動。異業種経験から、総合的に経済、企業をウォッチ、金融出身でないことを武器に「平易で」「わかりやすい」言葉で解説、をモットーにラジオ出演、 セミナーや相談業務、企業労組の顧問としての年金制度相談、組合員個別相談、個人の年金運用アドバイスなどを実施。個人投資家として、株式投資やFX投資を行っている。 <保有資格>:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集