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国民年金の「未納・納付忘れ」を納付済にできる特例は今年(期限2018年3/31、9/30)まで

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国民年金の「未納・納付忘れ」を納付済にできる特例は今年(期限2018年3/31、9/30)まで

特例が、2018年内に次々と終了します


国民年金の保険料は原則として、翌月の末日までに納付しなければならないため、例えば2018年1月の保険料は、2018年2月28日が納付期限になります。

その一方で保険料の徴収権の時効は原則として、保険料の納付期限から2年になるため、この期間内ならまだ納付できます

これを過ぎてしまうと未納と確定するため、日本年金機構は国民年金の被保険者から、保険料を徴収できなくなると同時に、国民年金の被保険者が保険料を納付したいと思っても、納付できなくなってしまうのです。

ただ国民年金法の第96条第5項には、保険料を納付しない方に督促状が送付されると、時効が中断すると記載されています。

このように時効が中断すると、進行中の時効は振り出しに戻ります。

つまり納付期限から2年が経過すると一律に、未納と確定するわけではないのですが、何らかの事情で督促状が送付されずに、未納になってしまう場合があるのです。

未納の期間が多くなるほど、老齢基礎年金の金額は少なくなる

国民年金から支給される年金としては、原則65歳から支給される「老齢基礎年金」があります。

また一定の障害状態になった時に支給される「障害基礎年金」、自分が死亡した時に遺族に対して支給される、「遺族基礎年金」や「寡婦年金」もあります。

これらの年金を受給するには、一定の保険料の納付要件を満たしている必要があるため、未納が多い方については、受給できなくなる場合があるのです。

また老齢基礎年金の金額は、20歳から60歳までの40年に渡って保険料を納付して、満額を受給できた場合には、2017年度額で77万9,300円(月額6万4,941 円)になりますが、未納の期間が多くなるほど金額が少なくなるのです。

例えば老齢基礎年金を受給するために必要な期間、いわゆる「受給資格期間」の10年しか保険料を納付しなかった場合には、その金額は2017年度額で19万4,825円(月額1万6,235 円)になります

満額でも決して多い金額ではなく、10年だと普通に生活できる金額ではないため、未納はできるだけ少ない方が良いのです。

国民年金の被保険者の種別は3種類に分かれている

日本国内に住所を有している20歳以上60歳未満の方は、原則として国民年金に加入しなければなりません。

またその被保険者の種別は、保険料の納付方法などの違いによって、次の3種類に分かれているのです。

第1号被保険者

学生、自営業者、フリーランス、無職の方などは、第1号被保険者という取り扱いになり、国民年金の保険料は納付書などによって、自分で納付する必要があります。

第2号被保険者

会社員や公務員の方などは、第2号被保険者という取り扱いになり、国民年金の保険料は給与から天引きされた後に、お勤め先が納付します

つまり給与から天引きされている厚生年金保険の保険料の一部は、国民年金の保険料として活用されているため、20歳から60歳までの40年に渡って、厚生年金保険の被保険者だった場合にも、満額の老齢基礎年金を受給できるのです。

第3号被保険者

第2号被保険者に扶養されている配偶者の方は、男女を問わず第3号被保険者という取り扱いになります。

国民年金の保険料は第2号被保険者が加入している年金制度が負担してくれるため、自分で納付する必要はありません。

種別の切り替えを忘れて未納になると、保険料を納付できなくなる


このように第3号被保険者になるには、「(A) 第2号被保険者」に「(B) 扶養されている」という、二つの要件を満たす必要があります。

例えば配偶者が会社員を辞めて、自営業者になった場合には、(A)の要件を満たせなくなるため、第3号被保険者は第1号被保険者に変わります。

また第3号被保険者の年収が130万円以上になると、(B)の要件を満たせなくなるため、第3号被保険者は第1号被保険者に変わります。

そのため市区町村役場の窓口などに行って、種別の切り替えの手続きをする必要があるのですが、忘れる方が多かったのです。

この手続きを忘れたままにして、保険料の納付期限から2年が経過すると、上記のように未納と確定するため、国民年金の被保険者が保険料を納付したいと思っても、納付できなくなってしまいます。

3号不整合期間に関する保険料は、2018年3月31日までに納付する

こういったケースのように年金記録の上では、第1号被保険者の期間になるのに、種別の切り替えの手続きを忘れたため、第3号被保険者のままになっている期間は、「3号不整合期間」と呼ばれております。

この3号不整合期間が多くなると、未納と確定した期間が多くなるため、将来に老齢基礎年金を受給できなくなったり、将来に受給できる老齢基礎年金が少なくなったりするので、二つの特例が実施されております。

特例1.) 特定期間該当届提出

その一つ目は「特定期間該当届」を提出すると、保険料の納付期限から2年が経過して未納と確定した期間も含めて、受給資格期間を満たしているのかを判断されるのです。

ただ保険料は納付されていないため、受給資格期間を満たして老齢基礎年金を受給できても、その金額は少ないままです。

特例2.) 最大10年分の保険料を納付できるようにする

そこで3号不整合期間に関する、最大10年分の保険料を納付できるようにするという、二つ目の特例が実施されております。

この特例は2015年4月1日から2018年3月31日までの、3年の時限措置になっているため、その期限を迎えるまで、あとわずかの期間しかないのです。

後納制度は10年から5年に短縮して、2018年9月30日に終了する


2018年内に終了が予定されている、未納と確定した期間を納付済にできる特例がもう一つあり、それは「後納制度」になります。

保険料の納付期限から2年が経過して、未納と確定した期間は上記のように、国民年金の被保険者が保険料を納付したいと思っても、納付できなくなります。

しかし後納制度を活用すれば、過去5年分の保険料に限って、特例で納付できるのです。

ただ特例で保険料を納付できるのは、2015年10月1日から2018年9月30日(日曜)までの、3年の時限措置になっているため、その期限を迎えるまで、あと数か月の期間しかないのです。

なお後納制度はもともと、過去10年分の保険料を特例で納付できる制度として、2012年10月1日から2015年9月30日までの、3年の時限措置で開始されました。

それが次の3年については、5年に短縮されておりますから、後納制度は2018年9月30日で、終了する可能性が高いと考えられます。

そうなると過去の未納を納付済にできる、最後のチャンスになるのかもしれません。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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