仮想通貨に関しては損失が出ても他所得との損益通算はできませんが、上場株式や国内FX取引に関しては、損失した年以降3年間にわたり繰り越すことが可能です。
繰越のためには確定申告が必要ですが、損失を申告し忘れた場合に取り返しがつくものでしょうか?
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目次
確定申告の手続きを行っていなければ基本的に可能
サラリーマンなど確定申告義務のない人が、損失が発生した年に確定申告しておらず、その後も確定申告していなければ、損失申告は可能です。
(例1) 相殺できる例
たとえば
平成29年にFXで50万円の黒字
の場合、平成26年分~平成29年分の4年分確定申告を行うことにより、50万円の利益と30万円の損失を相殺することができます。
サラリーマンであれば、平成26年分~平成29年分の4年分の源泉徴収票なども必要です。
(例2) 住民税の注意点
・ 平成28年に源泉徴収あり特定口座の取引で50万円の黒字(所得税7万6,575円・住民税2万5,000円が源泉徴収されている)
の場合、5年間還付申告が可能なことから、平成30年内であれば平成25年分~平成28年分の4年分確定申告を行うことが可能であり、平成28年分の申告において30万円分の損失に対する所得税4万5,945円を還付金として得られます。
ただし平成30年に入ってしまったら、30万円の損失に対する住民税1万5,000円は還付されません。
住民税に関して、繰越損失と相殺することで還付もしくは控除を受けられるのは、納税通知書発送(給与天引きであれば5月中旬、それ以外であれば6月中旬)までに申告することが条件だからです。
平成28年分の確定申告を平成29年4月までに行っていれば、住民税1万5,000円の還付または控除を受けられました。
いったん確定申告した場合は取引口座によって異なる
これに対し、すでに確定申告を行っていて漏れていた損失を付け加えたいとなると、やっかいなことも起きます。
源泉徴収あり特定口座の損失
例2において、すでに平成25年分の確定申告を行っていて、さらに30万円の損失が源泉徴収あり特定口座の損失であった場合、やり直しはできないことになります。
大原則として複数の申告方法があって有利選択できる場合は、後から申告をやり直すことはできません。
源泉徴収あり特定口座は赤字・黒字に関わらず取引口座ごとに申告対象の選択が可能であり、いったん申告対象から外したら、(例2においては30万円の損失に関し)申告しないことを選択したとなります。
上記を除く投資損失
一方で例2においてすでに平成25年分の確定申告を行っていても、30万円の損失が源泉徴収なし口座の損失であった場合、平成25年分の確定申告に対し、更正の請求という手続きによって損失申告することができます。
それとともに平成26年分~平成28年分の確定申告を行うことにより、30万円分の損失に対する所得税4万5,945円を還付金として得られます。
ただし、すでに平成26年分~平成28年分のいずれかの確定申告をすでに行っていた場合は、厳しくなります。
また例1において平成26年分の確定申告を行っていた場合でも、平成26年分の確定申告に対し更正の請求という手続きによって損失申告することができます。
なお更正の請求は税務署の審査があるため、還付までの期間が通常の確定申告と異なり、数か月かかってしまう点は気をつけてください。
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仮想通貨の損失
なお仮想通貨取引、また海外FX取引は総合課税の雑所得にあたるため、損失の繰り越しができない上に、総合課税雑所得以外との損益通算もできません。
やり直しは公的年金・副業の所得等、他に総合課税の雑所得があって損失を申告し忘れたようなケースに限定されると考えられます。(執筆者:石谷 彰彦)