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投資信託の99%は、最初から検討に値しないクズ

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投資信託の99%は、最初から検討に値しないクズ

筆者は、しばしば

「投資信託の99%は、はじめから検討に値しないクズです!」

と言う。

投資信託

個人の感情としては、過去に投資信託のファンドマネージャーをやっていたこともあるし、投資信託関連のビジネスに関わる会社に勤めて報酬をもらっていたこともあるので(今もそうだ!)、些か申し訳ないような気もする。

しかし、投資信託を選ぶロジックを理解してもらう上では、筆者がなぜ自信を持ってこう言えるのかについて理由を知って欲しい。

以下の理由について、相手がプロであるか素人であるかを問わず、筆者は、議論する価値のあるような反論を受けたことが一度もない。

投資信託の最終投資家が得るリターン(投資収益率)の内訳を考えてみよう

まず(1) 投資対象ファンドが投資する市場の平均的なリターンであり

次に(2) 運用の巧拙によるリターンであり

さらに(3) 手数料が影響する

投資家が得るものは、これら三つの合計である。

例えば、国内株式に投資するファンドであれば、

(1) 国内株式の平均的なリターンに、

(2) ファンドマネージャーの運用の巧拙(運用の腕)による勝ち負けが増減されて、

(3) 手数料が差し引かれたものが、投資家の受け取るリターンを説明する全てだ。

これらのうち、

(1)は同様のファンドを保有する投資家に共通であり、

(2)は「事前には」評価できない


運用がうまいのか、下手なのか将来の評価はできない

世の中には、投信評価会社があるし、投資信託についてアドバイスする金融ジャーナリストやファイナンシャル・プランナーがいるし、もちろん証券会社の社員もプロとして顧客に投資信託を選んで勧める。

しかし、運用がうまいのか、下手なのか、については、過去の評価はできても、将来の評価はできないというのが金融研究及び金融業界の常識だ

たとえば、期間を3年取ろうが、5年取ろうが、過去の運用成績は、これからの運用成績と無関係なのだ。

考えてみるに、過去の運用成績以外の要素でも、何らかの方法で、同一のカテゴリー内で相対的な運用成績がいいファンドを意味のある確率で選ぶことができるならば、投資家がそのファンドに殺到して、他のファンドが成り立たなくなるはず

だが、しかし現実に、ファンドの人気・不人気はあっても、多くのファンドが残っているし、人気のファンドの将来の成績がいい訳でもない。

明確な「差」が付くのは手数料だけ

さて、「運用の腕」が評価できないのだとすると、これからの運用成績の期待値でファンドを選ぼうとする時に、明確な「差」が付くのは手数料だけだという、つまらないけれども強力な事実が残る。

仮に、同一カテゴリー内にファンドが26本あって、手数料が高い順にAからZまでアルファベット順に並んでいるとしよう。

これらのうち、AからYまでの25本のファンドは、Zよりも手数料が高いので、投資家が最終的に受け取るリターンの期待値はZと比較して

「市場全体のリターンがプラスだった時には儲けが少なく、市場全体のリターンが0%ないしマイナスであった場合は損が大きい」

ことになる。

つまり、手数料が高いファンドは、市場が好調でも不調でも、常に相対的な期待値が劣るので、選択肢として検討する価値がない

カテゴリー別のファンドの数と、どの辺までの差を重視するかということで、99%が、実は98%なのか、あるいは99.5%なのかといった細かな刻みが異なる可能性はあるが、理屈は以上の通りだ。

この理由とセットで「投信信託の99%はダメ!」と結論を覚えておくのが分かりやすい。

投信を選ぶ時には真っ先に「手数料」を確認すること

投信を選ぶ時には真っ先に「手数料」を確認

投資家は、投信を選ぶ時には、「株価は上がるか?」、「為替レートはどうなるか?」、「世界の景気はどうか?」などと、相場の動きや投資環境から先に考えてしまいがちだ。

しかし、具体的な商品を評価する時には、「まず手数料を見る」のが早道だし、選択を間違えにくい

金融機関に勧められた投資信託のほとんどの商品が、手数料を見るだけで「検討不要」になるはずだ

逆に、なるべく高い手数料を稼げる投資信託をセールスしたい金融機関の立場では、投資環境、あるいはファンドの人気のような、手数料以外のテーマに顧客の注意を惹きつけることがポイントになる。

投資家の側では、例えば0.01%の手数料差まで厳密に比べる必要はないと個人的には思うが(1千万円運用していて、年間1千円の差だ)、現状では、年間で掛かる手数料を、高くても0.3%未満に抑えたい(1千万円で、年3万円未満だ)。

現在、投資家が主に選ぶであろう「外国株式(先進国中心)」のインデックス・ファンドと国内株式のインデックス・ファンドであれば、年間の支払手数料が0.2%程度以下のものを選べるようになってきた

販売手数料ゼロは当然の条件

もちろん、販売手数料がゼロ(「ノーロード」と呼ぶ)は当然の条件だ。

また、ネット証券でETF(上場型投資信託)を買うなら、同程度以下の手数料で運用が可能だ。

こうした、「選んでもいい1%」の投資信託は、金融機関の窓口で勧められることはまずないので、投資家が自分で探さなければならない。

実は、プロの意見を聞こう、あるいはプロに商品を選んで貰う方が安心だという考えは全く方向違いの誤解であり、運用は、自分で決める方が安心だし、実は簡単でもある

証券マンや、銀行員でも、「相談」などしない方がいいし(無料相談も良くない)、ロボアドバイザーが相手であっても同様だ。(執筆者:山崎 元)

《山崎 元》
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山崎 元

山崎 元

経済評論家 株式会社マイベンチマーク 代表取締役 1958年北海道生まれ。1981年東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。その後、野村投信、住友生命保険、住友信託銀行、シュローダー投信、NBインベストメントテクノロジー、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一證券、第一勧業朝日投信投資顧問、明治生命保険、UFJ総合研究所に勤務。楽天証券経済研究所客員研究員、国家公務員共済組合連合会資産運用委員会委員。1994年東洋経済高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。2005年1月に株式会社マイベンチマークを設立し代表取締役に就任。 寄稿者にメッセージを送る

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