【節税対策】会社員も年金受給者も必要経費(日常の支出)を計上できる「控除」があります»マネーの達人

【節税対策】会社員も年金受給者も必要経費(日常の支出)を計上できる「控除」があります

個人事業主の場合は年間の事業収入から、事業のために必要な支出、いわゆる「必要経費」を差し引いて、事業所得を算出します。

それに対して会社員の場合には、個人事業主のように経費が計上できないため、年間の給与収入から必要経費に代わる「給与所得控除額」を差し引いて、給与所得を算出するのです。

また年金受給者の場合には、年間の年金収入から必要経費に代わる「公的年金等控除額」を差し引いて、公的年金等の雑所得を算出します。

その後にはそれぞれの所得から、所得控除を差し引いて「課税所得」を算出し、それに税率を乗じるのですが、ここまでの流れを大まかにまとめると次のようになります。

(A) 1月~12月のそれぞれの収入の合計額 - 必要経費(給与所得控除額、公的年金等控除額)= 所得

(B) 所得 - 所得控除(例えば基礎控除、配偶者控除など)の合計額 = 課税所得

(C) 課税所得 × 課税所得によって変動する税率 = 所得税

以上のようになりますが、(B)と(C)に関しては、所得の区分(事業所得、給与所得、公的年金等の雑所得)による違いはありません。

しかし(A)の必要経費は、実際にかかった支出をもとに算出するのに対して、給与所得控除額と公的年金等控除額は収入によって変動しますが、あくまで概算額という違いがあります。

節税、必要経費



2020年から改正予定の「給与所得控除額」と「公的年金等控除額」

2017年12月14日に与党から発表された、2018年度の「税制改正大綱」の中には、(A)の給与所得控除額と公的年金等控除額を、改正すると記載されているのです。

具体的には給与所得控除額が2020年から、年間の給与収入がいくらであっても、一律に10万円引き下げられます

また給与所得控除額の上限額が、「195万円(現状 : 220万円)」に引き下げられ、この上限額が適用される年間の給与収入が、「850万円超(現状 : 1,000万円超)」に引き下げられます

公的年金等控除額についても同時期から、年間の年金収入がいくらであっても、一律に10万円引き下げられるのです。

また年間の年金収入が1,000万円超の場合には、「195万5,000円」という公的年金等控除額の上限額が設定されます。

その代わりとして所得が2,400万円以下の場合には、(B)の中にある基礎控除が、38万円から48万円に引き上げされるため、全員が増税になるわけではありません

ただ会社員や年金受給者を対象にした増税は、さらに実施されていくと考えられます。


会社員も必要経費を計上できる「特定支出控除」

個人事業主は日常の支出、例えば事務所に使っている自宅の家賃、水道光熱費、電話代などを必要経費にして、節税のために活用しております。

給与所得控除額や公的年金等控除額の引き下げにより、増税になってしまう時代は、会社員や年金受給者であっても、日常の支出を節税のために活用できないかを、考える必要があると思うのです。

例えば会社員などの給与所得者の場合には、日常の支出の一部を節税のために活用できる、「特定支出控除」という制度があります。

これは「通勤費」、「転居費」、「研修費」、「資格取得費」、「帰宅旅費」、「図書費」、「衣服費」、「交際費」にかかった支出が、給与所得控除額の2分の1を超えていれば、必要経費として計上しても良いという制度です。

確定申告をする必要があったり、「業務の遂行に必要だった」という勤務先の証明書が必要だったりして、ほとんど普及しておりません。

しかし給与所得控除額が引き下げられると、この制度を活用する方は少しずつ増えていくと思うのです。


社会保険に加入しなければ、老齢厚生年金は支給停止されない

年金受給者のための特定支出控除のような制度は、残念ながら存在しておりません。

ただ定年退職後に起業して個人事業主になり、自宅の一部を事務所にすれば、例えば家賃、水道光熱費、電話代などを必要経費にして、節税のために活用できます。

その他のメリットとしてパートやアルバイトの場合、収入が増えると社会保険に加入する必要があり、そうなると「在職老齢年金」の仕組みによって、老齢厚生年金の全部または一部が支給停止になる場合があります

しかし個人事業主の場合は収入がいくらになっても、社会保険に加入する必要はないので、老齢厚生年金は支給停止されないのです。

個人事業主として成功するのは大変なことですが、例えば現役時代の経験を活かして、コンサルタント業を始めるなら、起業のために退職金をつぎ込んだり、借金をしたりする必要はないので、失敗してもダメージは少なくなります。

シニア、起業



意外な支出で利用できる「医療費控除」と「雑損控除」

(B)に記載した所得控除の中には、一定額以上の医療費を支払った場合に受けられる「医療費控除」や、災害や盗難により住宅や家財などに、損害を受けた場合に受けられる「雑損控除」があります。

前者の医療費控除を受けられる医療の中には、意外に思われるものが含まれているのです。

例えば痛みの改善など「治療」を目的として、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の施術を受けた場合には、医療費控除の対象になります

また厚生労働省から認定された「温泉利用型健康増進施設」で、温泉療養を行い、かつ一定の要件を満たしている場合には、往復の交通費や施設の利用料金が、医療費控除の対象になります

後者の「雑損控除」を受けられる住宅や家財の損害の中にも、意外に思われるものが含まれており、例えばシロアリにより被害を受けた場合の駆除費や修繕費は、雑損控除の対象になります

年金受給者の方はこのような支出を、節税のためにうまく活用していきたいところです。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

木村 公司 木村 公司»筆者の記事一覧 (134) http://manetatsu.com/author/kkimura/

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種
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