春は出会いと別れの季節、卒業と入社の季節ですね。

長い長い学生生活に別れを告げた新社会人のみなさまも、やっと初任給を受け取る時期でしょうか

これまで悲喜こもごもありながらも子育てを続けてこられたお父様お母様、初めてまとまった金額の給与明細を持ち帰るわが子の姿には、その感慨の深さは察するに余りあります。

さて、バイト経験がないなら初めてになるお給料と給料明細を持ち帰った新入社員。

彼や彼女たちにはっきりと教えてあげましょう。

「来年も同じだけもらえると思うなよ」

「もしかしたら来月だって少ないかもよ」

「給与明細、よく読む人になろうね」

給与明細ちゃんとみれますか?

初めての人にこれだけは伝えたい、給与明細の見方

給与明細を自力で読んで、その意味するところを理解できるかどうか。

はっきり言って、これがその新社会人のその後の人生を大きく左右する分岐点になるのではないでしょうか

ダメ社会人は「差引支給額」すなわち手取りしか見ない

それだけじゃ、「今月はこれだけ使えるんだ~」なんて無駄づかいまっしぐらになってしまいそうです。

それでは、新社会人に伝えたいポイントを一気に解説いたします。

1. 大項目「勤怠」、「支給」、「控除」のなかでは、「勤怠」に注目せよ

間違いや漏れがないかチェックする。

これが給与明細を配布している大きな理由のひとつです。

そして、特に間違いが多いのがこの「勤怠」なんですね。

「時間外労働時間」、「休日出勤日」はきちんと計上されていますか?

この欄は毎月変わるので、会社のシステムによっては担当者の手入力であることもあります。

だからミスが一番多いんですよね。

そしてこの時間数・日数は「支給」の「時間外手当」の欄に反映されます。

1.25倍の割増賃金(休日出勤なら1.35倍)です。

それに時間外労働と時間外手当にルーズなら、ブラック企業の可能性もあります。よく見ましょう。

2. 「控除」の「住民税」

新入社員は0円になっています。

住民税とは、都道府県や市町村に納める税のこと。

それが0円で済むはずはありませんよね。

この理由は住民税のシステムにあります。

住民税って所得に課税されますが、納税は翌年6月~翌々年5月になるんですよね。

だから初任給からは、まだ天引きされません。

ただし、まだ納めなくて良いだけで、納税義務は着実に発生しているんです。

そして住民税の税率は10%。この天引きは、忘れたころにやってくる。来年の6月からです

そのタイミングで初任給からの昇給が一定額を超えていなければ、手取りが減ることになりますね。

「来年も同じだけもらえると思うなよ」

ちなみに住民税はふるさと納税で取り戻すことができます

これを機会に、得られる控除額上限をシミュレーションしてみても良いですね。

3. 「控除」の「所得税」

いっぽう所得税はタイムリーに天引きされます

ただこの天引き額は見込み計算ですから、年末調整で戻ってくる可能性があります。

この際ですから、「医療費控除」や「生命保険控除」のような、所得を圧迫して節税する方法を伝授しても良いですね。

もちろん、所得を圧縮すれば住民税もいっしょに減ることになります。

4. 「控除」では「社会保険料」も

「健康保険」、「厚生年金保険」、「雇用保険」の社会保険料。(40歳以上なら「介護保険」もありますが、新入社員には該当者は少ないかな。)

ここも解説してあげましょう。

決して「たくさんとられちゃったね」なんて言っちゃいけません。

だって社会保険料って労使折半ですから。

だから、この金額と同額を会社が従業員のために支払っているってことでもあるんです。

いざというときにはここからお金をいただくのですから、「たくさんもらってるね~」が正しい教え方だと思います

「独立したら社会保険料自分で払うなんて知らなかった!」っていう人、けっこういますよね。

5. 「支給」では「通勤手当」を

最後に、「支給」の欄では「通勤手当」を見ましょう

ここは、間違いや漏れがないかだけではなく、何か月分が支給されているかも合わせてチェックする必要があります。

公共交通機関を利用して通勤しているなら、ここは実費をいただくのが普通ですよね。

ですから、これは自由に使えるお金ではありません。

今月辞めたら返却しなければならない可能性もあるものなのです。

これが毎月支給なら良いのですが、3か月ごと,半年ごとに支給というところもあります。

たまにいるんですよね。通勤費に充てるためのものだと気付かずに、パーッとつかってしまう人。

「来月はないんだよ」と忠告してあげるべきです。

なお通勤手当は非課税(上限あり)ですが、社会保険料の算出には含まれます

給与明細の見方を伝授

最後に

「捨てるなよ」

これがいちばん大事なのではないでしょうか。

ファイリングさせましょう。これが新入社員を「消えた年金記録」の被害から救います。

それに職を転々としたとしても、給与明細を数年分ためているだけでローンをくむときの扱われ方が違いますから。

加えて、年末(または年始)の「源泉徴収票」、「住民税決定通知書」も保管させておきたいですね。(執筆者:徳田 仁美)