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「投資する人のタイプによって、適した商品・運用方法がある」は全くの嘘

職業柄、筆者はお金の運用に関する質問を受けることが多いが、よくあるのは、

「初心者に向いた運用商品を教えて下さい」

とか

「退職金の運用方法を教えて下さい」

といったものだ。

質問者は「運用する人のタイプや運用する資金によって、適した運用方法あるいは運用商品があるのではないか」という前提で、尋ねてくる事が多い。

また、こうした前提を持っているのは、いわゆる素人ばかりではない。

例えば、マネー誌や新聞・雑誌のマネー記事でも、お金を運用する人の年齢や所得、運用金額などによって、「お勧めの運用」が異なるという前提で、記事のレイアウトが組まれるケースが少なくない。

FP(ファイナンシャル・プランナー)などが、こうした記事にそのまま「お勧めポートフォリオ」(たいていは円グラフ付き)を答えているが、彼らは専門家として大丈夫なのか、と常々疑問に思う。

おすすめポートフォリオ

投資家の「タイプ」によって、最適な運用方法、あるいは運用商品があるという前提は疑った方がいい。

このことを分かって頂くためには、「お金」というものは、たいへん自由なものなのだということから、理解して頂くのがいいと思う。

お金には、大きく分けて三つの自由があるのだ。

1. お金は使い道が自由。

先ず、お金は使い道が自由だ。

お金を何に使うのかは、必要な時点で、持ち主が自由に決められる。

例えば、1,000万円持っているサラリーマンがいるとして、このお金は、今すぐ海外旅行に使ってもいいし、少し先の子供の学費に使ってもいいし、将来の病気への備えや、老後の生活費であってもいい。

お金の使い道は、後から自由に決めていい。

お金の使い方は自由

子供の学費、結婚資金、老後の備えといった、資金の使途で運用方法を変える必要はない。

なるべく効率良く増やしておいて、使い道を後から決めたらいいのだ。

また、言うまでもないことだが、普通は、お金が増えすぎて困ることはない。

仮に「リタイアまでに3,000万円持っていたい」と思って、お金を貯めて運用していて、運用が上手く行って4,000万円になったからといって、目標以上に増えた1,000万円の部分が邪魔だということはない。

2. お金は大きさも自由。

お金は、大きさも自由だ。

加えて、大きな金額でも小さな金額でも、同じ対象(株式や債券、投資信託など)を同じ比率で持っているなら、「率」で見ると、ほぼ同じリターンを実現できるはずだ。

そして、100万円でも、1億円でも、大凡同じ運用商品を同じ比率で持つことが可能だ。

3. お金はそれを持つ形も自由。

お金は、それを持つ形も自由なのだ。

お金は、それを持つ形も自由

つまり、仮に「最も効率のいい運用商品の組み合わせ」があれば、富裕層であっても、富裕ではない人であっても、これを使って運用するといい

そして、この事情は、運用の初心者であっても、ベテランであっても同じだ。

仮に運用の初心者であるとしても、明らかに効率が劣る運用商品で運用したいとは思わないはずだ。

もちろん、運用のベテランも同様に思うだろう。

「使途の自由」、「大きさの自由」、「形の自由」

といった「お金が持つ三つの自由」を組み合わせると、お金の運用は、誰であっても、将来の使途が何であっても、

「無理のない範囲で、最も効率の良い方法で、なるべく増やせばいい」

ということが分かる。

最適な運用方法と運用商品の組み合わせは、原則的に一通りでいいのだ。

最適な運用方法と運用商品の組み合わせは、原則的に一通りでいい

人によるちがいは、「運用する金額」と、「その中から幾らの金額をリスクを取った運用に回すか」の二点だけでいい。

お金持ちも、そうでない人も、初心者も、ベテランも、若者も、高齢者も、運用のやり方は同じでいいはずだし、まして「適する運用商品」が、人によって変わるということはないのだ。

例えば、「高齢者は、効率が悪くとも、配当や分配金が多い商品で運用することがいい」(毎月分配型の投資信託や外貨建ての年金保険が、こう言ってセールスされる)などということはない。

最も効率のいい運用商品の組み合わせで、適度なリスクを取って、お金を増やして、計画的に資産を取り崩す方が得になる。

たいていの高齢者は、預金を持っているだろう。

生活費はその預金から支出するといいし、必要が生じたら、持っている株式や投資信託などの資産を適当な額だけ取り崩したらいい。

生活費が、配当や分配金で賄われる必要は無い。

だが、多くの人は、あたかも年齢や体型、好みなどによって「自分に似合う洋服」が変わるように、自分の属性によって自分に適した運用商品が変わるかのようなイメージを抱いていることが多い。

しかし、もう分かって頂けたと思うが、これは誤った先入観なのだ。

間違っています。

多くの人が、こうした先入観を持っているのは、一つには長年そのような考え方が一般的であったことが原因でしょう。

また、それと共に、運用会社や運用商品を販売する金融機関、及びそれに加担する投資アドバイザーなどが、彼らのビジネス上の都合に沿って、「投資家のタイプによって、適した運用商品が異なる」というイメージを流布してきたからであろう。

これは、多種多様な運用商品を売るための方策の一つであったし、売り手側から見て、手数料の高い収益性のある商品を顧客に買って貰うためのマーケティング戦略でもあった。

多種多様な運用商品

投資家の側では、先入観を「解毒」することが肝心だ。

いずれ本欄でも惜しみなく説明するつもりだが、お金の運用には、誰にとっても簡単でシンプルで効率が良く、自分で設定可能な方法がある

投資家のタイプ別に、適した運用方法・運用商品があるというイメージは誤りなのだ。

運用商品の売り手側の販売戦略に乗せられない方がいい。(執筆者:山崎 元)

この記事を書いた人

山崎 元 山崎 元»筆者の記事一覧 (10)

経済評論家
株式会社マイベンチマーク 代表取締役
1958年北海道生まれ。1981年東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。その後、野村投信、住友生命保険、住友信託銀行、シュローダー投信、NBインベストメントテクノロジー、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一證券、第一勧業朝日投信投資顧問、明治生命保険、UFJ総合研究所に勤務。楽天証券経済研究所客員研究員、国家公務員共済組合連合会資産運用委員会委員。1994年東洋経済高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。2005年1月に株式会社マイベンチマークを設立し代表取締役に就任。
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