なぜネット銀行の審査は厳しいのか

ネット銀行の審査が厳しい

いわゆるネット銀行が登場してから、もう10年以上が経とうとしています。

ネット銀行の代表格と言える、住信SBIネット銀行とソニー銀行などは、住宅ローンでの審査の厳しさが話題になりました。

当初は審査能力に問題があるのではないかと言われていましたが、他のネット銀行も含めて、住宅ローンでの審査の厳しさは現在も継続しています。

今回は、このからくりについて解説していきたいと思います。

理由1:顧客とのやり取りが郵送だけである

世間でもよく言われていますが、ネット銀行で住宅ローンを申し込む場合、ネット上から申し込んだ後は、全て郵送でやり取りします。

従って、上場企業に勤務する普通のサラリーマン家庭であれば、審査の中心は企業なので、企業に問題がなければ、簡単に審査が通ることもあります。

しかし、非上場企業であったり、自営業者の場合は、そもそも評価する指標がありませんので、簡単に「不承認通知」が送られてきます

ただ上記の場合でも、メガバンクなどでは、ヒアリングを行い、顧客を評価しますので、ネット銀行で不承認であっても、メガバンクで再優遇金利での承認が決定した事例は多数あります

理由2:ネット銀行は直貸(じきがし)である

ネット銀行はリスクのある融資ができない

ネット銀行も審査能力を向上させ、メガバンクなどに取られた顧客を取り戻したい所ですが、そこまでリスクを取れない、もう1つの理由があります。

それは見逃されている論点ですが

「ネット銀行は直貸(じきがし)」

だからです。

メガバンクなどで住宅ローンを申し込んだ時には、系列の保証会社と「保証委託契約」を締結します。

これは、顧客に延滞などの債務不履行が発生した場合、系列の保証会社に「代位弁済」してもらう契約です。

「代位弁済」というと、難しく感じるかもしれませんが、要は保証会社が代わりに弁済することで、メガバンク本体には傷が付かない仕組みです。

地銀も含めて、ほとんどの金融機関は系列の保証会社を持っているため、このように多少リスクのある案件でも融資できるのですが、ネット銀行は系列の保証会社を持っていないため、リスクのある融資ができないのです。

このように、保証会社を使わない融資の事を「直貸」と言いますが、「直貸」で延滞などの債務不履行が発生した場合は、その損失はそのままネット銀行が抱えます

ネット銀行の審査が厳しいワケ

ネット銀行の苦悩

ネット銀行では融資において損失が発生することは、他の金融機関以上に避けなければならず、必然的に審査が厳しくならざるを得ないのです。

この辺りは、ネット銀行自身にとっても融資残高を順調に伸ばせないネックになっており、ネット銀行自身にとっても痛し痒しといった所です。

今後、三井住友銀行のWEB専用住宅ローンのように、メガバンク自身がネット銀行と対峙する時、ネット銀行にとっての本当の正念場がやって来そうです。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)