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銀行融資の高い敷居を攻略【第2回】 銀行による「融資していい相手」の判断基準をガッツリ教えます。

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銀行融資の高い敷居を攻略【第2回】 銀行による「融資していい相手」の判断基準をガッツリ教えます。

銀行は客を選べる

第1回の記事では

銀行はサービス業ではあるが、サービスの提供を拒むことができる

ということから、「融資していい相手」3つの条件について書きました。

今回は、その条件についてさらに細かく説明します。

 銀行融資の高い敷居を攻略【第1回】 銀行員が教える「融資していい相手」3つの条件

「融資していい相手」3つの条件

その1:安全性がある

その2:成長性がある

その3:収益性がある

安全性 その1:返す意志、返す能力があるか?

個人信用情報を確認

「借りてたカネを返す気持ちと、能力のある人」をどうやって確認するかという点です。

これには「個人信用情報」を利用します。

以下の情報を総称して「個人信用情報」といいます。

・ 住宅ローンなど金融機関のローン全般

・ クレジットカードの利用

・ リボなどの分割支払(割賦販売ともいいます)

・ カードローンやキャッシングなどの利用情報

多くの信用情報機関があり、情報の内容や登録基準などはさまざまですが、基本的には以下の情報が登録されています。

借入の基本情報:クレジットやローンの基本的な内容、残高、支払状況など

申込した情報:金融機関やカード会社への申込内容

情報の照会履歴:金融機関やカード会社が信用情報を照会(調査)した履歴

銀行は「個人信用情報」のここを見る

個人信用情報は、ローン、クレジットから割賦販売まで全てを借金と見なし、その申込み内容から、今までの支払状況、延滞した記録、そして代位弁済などのいわゆる事故についてまで記録されています。

顧客から借入の申込みがあると、同意書などの書面で本人の承諾を得たうえで、この個人信用情報を調査(銀行では「照会する」といいます)します。

支払状況

「返済日と実際の入金日」

「督促した記録、回数」

「本人以外からの入金」

「異動=代位弁済などの事故」

申込内容

「ローン、カードの種類」

「申込金額」

「借入年数」

「調査対象者の名前(本人と、保証人も調べる)」

「申込を受けた金融機関、信販会社名」

照会(調査)履歴

「照会した金融機関、信販会社名」

「照会の目的(借入申込み、音信不通、信用状況の再調査など)

銀行は個人信用情報照会で何を知るのか

銀行は個人信用情報を事細かに調べるので、

「どんな借金が? いくら残っていて? ちゃんと返済しているか?」(支払状況)

「どんな申込みをして? 審査が通ったのか断わられたのか?」(申込内容)

「所在不明、債務整理、自己破産などの法的整理していないか?」(照会履歴)

など、あらゆることがわかります。

よくいう「審査が通る」とは、まず個人信用情報に問題ないのが大前提なのです。

自分の個人信用情報は確認できます

個人信用情報は自分でみれる

個人信用情報は、インターネットなどで簡単に取り寄せられます。

数字や記号が多く、一般の人にはわかりにくい内容ですが、情報機関のホームページなどで、その見方や言葉の意味など説明しています。

参考となるポイントをいくつか説明します。
   
異動:代位弁済、所在不明、音信不通、自己破産など法的整理等のいわゆる事故を異動と表示しています。

個人信用情報に異動の記載があったら、銀行は融資しません

銀行にはいわゆるブラックリストというものは存在しません。

あるとすれば、この異動などのネガティブ情報だけです。
   
照会履歴:金融機関やカード会社、信販会社に申込みをすると個人信用情報に登録されます。

審査は通ったが内容に納得いかず自分からキャンセルした場合などでも、申込んだ記録は残ります

申込み記録が多いのは金融機関に敬遠されるので、申込みする際には個人信用情報照会の同意について慎重に考えるようにしてください。
     
割賦販売:例えば携帯の機種代金分割払いもこれに該当します。

毎月の携帯料金引き落としには特に注意してください。

携帯料金の延滞で、銀行融資を断わられるケースが結構あります。

「電話代も払えない人間が銀行融資を払っていけるはずがない」

きびしい表現ですが、銀行ではそう考えます。


安全性 その2:反社会的勢力、またはその関係者ではないか?

銀行は融資はいうまでもなく、預金を含め反社会的勢力とは一切取引しません。

銀行のホームページには反社会的勢力との関係遮断と記載されています。
  

反社会的勢力と「見なされてしまう」場合

本人に自覚がないのに反社会的勢力、またはその関係者と見なされてしまいますと、これもやはり銀行と取引できません。

主な例と内容は以下の通りです。

1. 原因は過失だが、警察に逮捕されてしまった

「仕事中に重大な事故を起こし、業務上過失の罪状で逮捕されたことがある」

「飲酒運転で逮捕されたが、免許停止だけで済んだ」
   
逮捕歴、犯罪歴なども反社会的勢力に関する情報として、銀行は把握しています。

罪状や過失の内容を見る以前に、逮捕歴があるというだけで融資取引しません

反社会的勢力の判断では、ブラック(反社会的勢力なのは明白)ではないがグレー(反社会的勢力の可能性がある、逮捕歴もこれに該当)でもだめなのです。
   
2. 家族や親類が(または先祖)反社会的勢力

両親、兄弟であればまだ納得できるでしょうが、例えば顔を見たこともないような遠い親類でも、銀行からあなたが関係者であると見なされてしまうとダメです。

これは「ご先祖様」にもいえることです。

地方ほどその傾向は強く、

「ひいおじいさんが地元で有名なヤクザだった」

「あの家は先祖代々、個人で金貸しをしている」

など、もはやウワサや風評に近い情報でも、銀行が不適格と判断するケースがあるのです。

銀行は断わる時に具体的な理由をいわない

反社会的勢力として融資を断わるとき、銀行は「あなたは反社会的勢力なので融資しません」とは絶対にいいません。

「総合的な判断で融資の件はお断りします」というだけです。

万一反社会的勢力と見なされていたとしても、申込んだ人がその事実をしることはありません

納得できなければ聞いてみよう

疑問点があったら聞きに行こう

問題は、上記のように自分に自覚がないのに反社会的勢力と見なされた場合です。

融資を断わられたとき「反社会的勢力のことでは?」と思い当たるなら銀行員に聞いて見ることも必要です。

もちろん真実をこたえてくれるかわかりませんが、今後のために疑問は払拭しておくべきでしょう。

自分の逮捕歴は、正直難しい問題ですが、過失なら過失と強調してみるべきです。

また遠い親類や、それこそご先祖様が原因の可能性があるなら、自分は無関係であると訴えてみるのもいいでしょう。

場合によっては情報が間違っていた、あるいは銀行の先入観が強すぎた点を考え直してくれるかもしれません。

銀行は断わる理由はいいませんので、正直難しいところはありますが、一度断わられているのですから、だめもとで話してみるのもいいでしょう。

成長性 その1:これまでなにを、どのくらい続けてきたか?

ここでいう成長性とはどれだけ業績を伸ばすか、事業を拡大できるかという将来の予想ではありません

銀行が重視するのは

少なくともすぐに破綻することはないか

という点であり、これを成長性と考えています

すぐに破綻しないかをチェックするポイントの1つが「これまでなにを、どのくらいの期間続けてきたか?」です。

・ 事業内容と経歴をどのくらい続けてきたか

起業して間もない、違う業種に転換したばかりの場合は、

・ 起業後間もないが、サラリーマンとして長く経験を積んでから独立した

・ 過去の事業経験や人脈を有効にいかして、新事業を展開している

といった前向きな考えをもっているかが重要です。

銀行が重視するのはある程度の期間、事業を継続してきた経験なのです。

銀行は将来事業がどうなるか、はそれほど重視しません

未来は予想できませんし、銀行も無理に予想しません。

業績が順調に伸びるなら取引を続ける。

逆なら取引をやめる、それだけです。

銀行は今までの積み重ね、つまり過去を重視します。

これは銀行の保守的な性格を象徴する点のひとつです。

「事業を成長、発展させようというやる気」は大事です。

やる気のアピールは忘れないようにしてください。

成長性 その2:事業や個人の体力はあるか? 体力は維持できそうか?

すぐに破綻しないか判断するポイントの2つ目は、事業の体力と維持する力です。

事業の体力とは収益のことです。

確定申告で収益=黒字が続いている

なら、少なくともその事業はそれなりに軌道に乗っているし、これからもしばらくは同じ状態が続くだろうと予想できます。

個人の体力とは資産のことです。

預貯金や有価証券、不動産などです。

個人で事業を継続して、その結果として蓄積してきたものが資産です。

自力で築いた資産を重視するので、先祖から引き継いだものは余録とみます

銀行にとって資産は多いに越したことはありません。

これは何も不動産を担保にとる、といった意味だけではありません。

・ 自力でこれだけの資産形成が可能な体力がある

・ いま体力があるのだから、しばらくはこの体力を維持できるだろう

資産の総額や内容で、上記のような予想ができるのです。

事業を継続する力

収益性 その1:銀行にとって「儲けさせてくれるひと」

収益性とは銀行にとって儲かるひとのことです。

銀行も営利企業なので、赤字の融資はしません。

金利で頑張っても儲けがなければ、銀行は肩代わりの話からサッサと手を引きます

金利以外で積立やカード類など銀行で取り扱う、さまざまな商品やサービスにどれだけ付き合ってくれるひとか

これが重要です。

当然ながら銀行の提供するサービスはほとんどが有料です。

付き合ってもらえば(あなたは「付き合わされる」)儲かる(余分なカネがかかる)わけです。

個人の場合、年齢性別に応じて商品サービスが多数ありますので、家族・従業員にも付き合わせる覚悟も必要です。

   

収益性 その2:銀行にとって「使えるひと」

月末や期末など融資を増やしたいときに付き合って借りてくれるひと。

金利は当然顧客が支払うので、銀行(支店、銀行員個人も)の都合につきあってカネを借りてくれるひとが「使えるひと」の代表例です。

もちろん、借りてくれと頼まれるようになるまでには時間がかかりますので、全てのひとに当てはまることではありません。

しかしカネを借りること以外でも、使えるひとになれます

銀行の対外的アピールへの貢献

・ 新事業、商品開発をした。それが銀行融資のおかげだと地域にアピールした

・ ボランティアなどをする時、銀行に声を掛けてくれて、銀行も地域貢献できた

・ 銀行に職場見学するよう、子供の通う学校に働きかけてくれた

支店、支店長、銀行員個人の顔が立つ貢献

・ 銀行主催の講演会、商談会には積極的に参加してくれる

・ 銀行の企業内機関誌などの取材にも快く応じてくれる

・ 地域の新聞やメディアへ、事業の取材時銀行の支店も取材するよう段取った

これらは必ずしも全てが、銀行の収益に直接結びつくわけではありませんが、銀行にとって、あるいは支店・銀行員個人にとって使えるひとは、やはり銀行にとって儲かるひとなのです。

当たり前のことですが、それが大切

当たり前のことを真面目に考える

銀行員が融資を決めるポイントについて説明しました。

書かれた内容は、当たり前に思えることばかりかもしれません。

しかしながら、これらはすべて銀行が真面目に考え、実際に融資審査の基準としているものです。

融資を断られた経験があったり、これから融資を受けようと思っている方は、この「当たり前」ができているかを確認してみてください。(執筆者:加藤 隆二)

《加藤 隆二》
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加藤 隆二

執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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