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年金保険料の「掛け捨て」や「払い損」問題に、3つの予防策 何歳が損得分岐点か?

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年金保険料の「掛け捨て」や「払い損」問題に、3つの予防策 何歳が損得分岐点か?

生命保険保険料の「払い損」

例えば、自分が死亡すると配偶者に死亡保険金が支払われる、保険料が掛け捨て型の生命保険に、子供が社会人になるまでの、期間限定で加入したとします

この場合、子供が社会人になるまで無事だった場合、今まで支払った保険料は払い損です

ただ生命保険に加入することによって、自分に万が一の事態が発生しても、配偶者や子供は生活費や教育費などで困らないという、安心感を得られたと思います。

また払い損になった保険料は、不幸にも若くして亡くなった方の、配偶者や子供などに、死亡保険金として支払われ、その方々の生活費や教育費などとして活用されています。

このように考えると保険料が払い損になっても、生命保険に加入したことを、後悔しないで済みます。

保険というものは、生命保険にかぎらず、保険金を受け取って得する方と、保険金を受け取れずに、保険料の払い損になる方の両者が発生します。

払い損になった保険料は、保険事故(死亡、病気やケガ、自然災害など)が発生した時の、保険金として使われています

今までの保険料は払い損

独身者は既婚者よりも、年金保険料の掛け捨て問題が発生しやすい

公的年金(国民年金、厚生年金保険など)に加入して、保険料を納付した期間、または保険料の納付を免除された期間などの合計が、原則として10年以上ある場合、65歳になると国民年金から、「老齢基礎年金」が支給されます。

厚生年金保険に加入した期間が1か月以上ある場合には、これに上乗せして厚生年金保険から、「老齢厚生年金」が支給されます。

先日ある週刊誌を読んでいたら、

独身者がこれらの支給開始年齢に達する前に死亡した場合、何も受給できないため、年金保険料は払い損になる

という、年金保険料の掛け捨て問題について取り扱っておりました。

既婚者も独身者と同様に、本人は何も受給できませんが、その配偶者や子供などに対して、国民年金から「遺族基礎年金」、「寡婦年金」、「死亡一時金」が支給される可能性があります

厚生年金保険から「遺族厚生年金」、「中高齢寡婦加算」が支給される可能性があるため、世帯単位でみると掛け捨て問題は、独身者より発生しにくいです。

遺族基礎年金や遺族厚生年金などの、遺族年金を受給できる子供とは、実子だけでなく養子も含まれるため、養子縁組をすれば掛け捨て問題の防止になります。

ただ遺族年金を受給できるのは、18歳に達する日以後の、最初の3月31日までの間にある子供、または障害等級1級か2級の障害の状態にある、20歳未満の子供になるため、成人の方を養子にしても、遺族年金は支給されません。

年金保険料の掛け捨て問題

公的年金は社会福祉ではなく、長生きするリスクに備える保険

公的年金は

・ 労災保険
・ 雇用保険
・ 健康保険
・ 介護保険

などと同じように、社会保険の一種です。

つまり公的年金は社会福祉ではなく、日本年金機構という公的機関が運営する保険です。

冒頭で紹介した生命保険は、死亡するリスクに備える保険ですが、公的年金はこれとは逆に、長生きするリスクに備える保険です

なぜ長生きするのがリスクなのかというと、死亡する前に現役時代にためた預貯金が尽きて、生活できなくなるかもしれないからです。

75歳程度になる前に死亡すると、年金保険料は払い損になる

国民年金の保険料は、2018年度額で1万6,340円になるため、20歳から60歳までの40年間に渡って納付すると、784万3,200円です。

また国民年金から支給される老齢基礎年金の満額は、2018年度額で77万9,300円です。

ですから65歳から受給を始め10年が経過すると、779万3,000円になるため、現役時代に支払った年金保険料の合計額と、65歳以降に受給した年金の合計額が、だいたい同じになります

厚生年金保険から支給される老齢厚生年金は、現役時代に勤務先から受け取った給与の平均額で決まるため、個人差があるのですが、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給を初め、10年くらいが経過すると、元がとれる場合が多いです。

このような仕組みになっているため、75歳程度になる前に死亡すると、

「現役時代に支払った年金保険料の合計額 > 65歳以降に受給した年金の合計額」

になり、年金保険料の払い損が発生します

一方で75歳程度より長生きすると、

「現役時代に支払った年金保険料の合計額 < 65歳以降に受給した年金の合計額」

になるため、長生きするほどお得です

また公的年金は上記のように、社会福祉ではなく保険のため、75歳程度になる前に死亡し、払い損になった方の年金保険料は、国が没収するのではなく、75歳程度より長生きした方の年金に使われます

長生きするほどお得

年金保険料の掛け捨て問題には、3つの予防策が考えられる

予防策1

健康状態に不安があり、75歳程度まで生きる自信のない方は、年金の支給開始年齢を繰上げして、60歳から65歳までの間に受給を始めると、年金保険料の掛け捨て問題の予防になります

すでに病気やケガになっている方は、一定の障害状態に該当するなどの要件を満たせば、60歳になる前に障害基礎年金や障害厚生年金などの、障害年金を受給できる場合があります

予防策2

受給要件を満たしている間は、継続的に障害年金を受給できるため、年金保険料の掛け捨て問題の予防になります。

予防策3

国民年金の保険料の納付が免除される要件を満たしたら、すぐに免除申請を行います

理由は、全額免除が認められると、保険料を納付する必要がなくなり、また一部免除が認められると、納付する保険料が少なくなるため、仮に掛け捨て問題が発生しても、払い損になる保険料は少なくなるからです。

そのうえ老齢基礎年金は財源の2分の1が税金のため、20歳から60歳になるまでの40年間に渡って、ずっと全額免除を受けた場合でも、満額(2018年度額は77万9,300円)の2分の1となる、38万9,650円の老齢基礎年金を受給できます

国民年金の保険料の免除申請は、他の2つより手間がかからないので、要件に該当する方は、積極的に手続きをしましょう。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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