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九州ほどの面積が所有者不明 相続で困難を招く「相続登記」していない不動産の対処法を解説します。

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九州ほどの面積が所有者不明 相続で困難を招く「相続登記」していない不動産の対処法を解説します。

年末年始で親戚一同が集まる機会もあるかと思います。

こういうタイミングは、これまで後回しになっていた親族間の手続きを解決するのにも良い機会です

最近、仕事でよくこの問題に遭遇するので、問題点と解決策をお伝えしたいと思います。

不動産の相続登記、してありますか?

不動産の「相続登記」してありますか?

最近立て続けに、不動産の相続登記がされておらず、

「遺言を書くにも困っている」

「相続手続きが完了できない」

などといった案件に遭遇しています。

いずれも、相続発生から10年以上たっており、非常に厄介な状況になってしまっています

このような状況に陥るのを避けていただくため、「動けるうちに動く」を実践してほしいと思います。

「相続登記」していない

相続登記未済の不動産は誰のもの?

本来相続が発生した場合、遺言がなければ相続人同士の話し合い、いわゆる「分割協議」によって相続する財産が決まります

この協議がなされるまでの間は、仮置きとして、法定相続人全員の共有とみなされます。

相続登記をしていない状態で、売買などを行うことも可能ですが、法定相続人全員の総意でなければ不可能です。

被相続人に子供がいないケースはとても厄介

被相続人に子供がおらず、親も既に亡くなっている場合、法定相続人は配偶者と兄弟姉妹です

実は、私が仕事上遭遇しているケースがまさにこれです。

被相続人の配偶者から相談を受けているのですが、被相続人は9人きょうだいの7番目で、被相続人を含め、兄弟姉妹のうち8人が亡くなっているという状況です。

この場合亡くなっている兄弟姉妹に子供がいれば、代襲相続人として、被相続人からみた甥や姪が権利者です

相続発生から10年以上経過しており、被相続人やその兄弟姉妹が死亡していることもあり、親戚付き合いは薄れてきていて、甥・姪ともなると、どこに住んでいるかすら分からないという状態です。

この相続登記を進めようとした場合、存命のきょうだい1名と、代襲相続権のある甥姪全員にコンタクトをとり、全員の実印のある遺産分割協議書をつくらなければなりません

非常に大変な作業です。

被相続人に子供がいないケースはとても厄介

他の相続手続きはどうしたのか

「なぜ前述の方が相続発生時に登記をしなかったのか」

「不動産以外の財産はどうしたのか」

と疑問に思われた方も多いでしょう。

預金など、生命保険以外の財産は基本的に分割協議書がないと名義変更・解約ができないのですが、例外があります。

預金の相続手続きには特例があり、一定の残高以下の口座の相続手続きは分割協議書や戸籍謄本をすべてそろえなくても解約ができる規定があります

先ほどの方は、金融資産の大半を生命保険にしていたことと、やはり亡くなる直前に数十万のみ残高を残して引き出しをされていました。

そのため、亡くなった後も、妻は特段お金のやりくりに苦労することもなかったし、夫のきょうだいたちと話し合うのも面倒だったため、不動産の名義変更も「そのうちやれば良いだろう」という気持ちで、放って置いたそうです。

放っておいた間に、当時存命だった夫のきょうだいも亡くなり、代襲相続者に権利が移ったため、より複雑な不動産の共有関係が生まれてしまったわけです。

とにかく早く片付けたほうが良い

登場人物が増えないうちに解決しよう

実際に不動産を管理しているのは妻で、固定資産税も妻が払っています。

「夫の兄弟姉妹はそういう資産があることすら知らない、登記も面倒だし、しないで済むならそれで良い」という考えだったのでしょう。

子供がいれば、共有者は妻と子供のはずでしたから、登記をせずとも妻が亡くなった後に子供に権利が移ります。

子供の代で登記をすることも可能でしょう。

しかし、現状のまま放っておけば、この妻が亡くなった際には、妻のきょうだいと夫のきょうだいが共有する関係になります。

きょうだいが亡くなっていれば、お互いの甥姪たちが共有します。

登場人物が増えるとややこしくなる

登場人物も増え、お互い顔も知らないような関係の者同士で円満に協議が成り立つとも考えにくいです。

なるべく登場人物が増えないうちに、もともとの登記未済の原因がたどれるうちに解決するに越したことはありません

日本にはこういった登記未済で現状の権利者が確定できない土地がたくさんあり、合わせると九州ほどの面積になるそうです。

空き家問題しかり、土地の有効活用・再開発などの妨げになっており、いまや大きな社会問題です。

もしこのような問題が身の回りにあるのであれば、なるべく早く解決に向けて動きましょう。

自力で動くのが無理であれば、司法書士などの専門家に相談して、きちんと登記が完了できるようにしましょう。(執筆者:鈴木 みゆき)

《鈴木 みゆき》
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鈴木 みゆき

元メガバンク勤務のファイナンシャル・プランナーです。現在は金融商品の販売を行わず、中立的な立場で幅広い顧客層へお金のアドバイスを行っています。また、これまでの経験を活かし、金融関連の記事やコラムを執筆も行っております。 寄稿者にメッセージを送る

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